HOME Profile Workshop Gallery Guidance KOSO  
topへ戻る 紹介 クラフト ギャラリー ・ 販売 案内図・製作費
長野県★更新情報・お知らせはトップページをご覧下さい。★建築設計事務所
KOSO  ばんCRAFT研究室 己楚
  BAMクラフト研究室  Hartsfield  Workshop 意見 感想 問い合わせ → e-mail 
長野   建築設計  
「 クラフトの世界へ」のお誘い、世界で唯一のものを、自分の手で・・・  柏崎Sさんharts へ戻る
  ※このページの記事・画像の著作権は
柏崎S氏にあります。
無断でのコピー等を禁止します。
833a Amp for Hartsfield by S氏
  product
 Blog


 画像はサムネイル表示です
クリックすると拡大されます。
 

柏崎S氏製作 833A amp.for Hartsfield

Hartsfield用アンプ製作開始 製作記



--------------------------------------------------------------------------------------
第11回
2011.10. 30up

10. 833A HeaterSW Regulatorを使用した点灯実験(2)

 先回の実験では、最初は実験用定電圧電源装置を用いて、
次いでSW Regulator Unit(12V 14A)を使用した予備実験で一応のHeater点火の様子はつかめたのですが、
以下の点で問題があることが分かりました。


833Aのフィラメント点灯で、これまで用いた電源ユニット(中国製を含めて数機種)は
全て出力10V 10Aの規格を満足するが、
長時間の使用を考慮するとこのたび準備できたSW Regulator Unit(12V 14A)でも不安があることが分かりました。
15分位連続運転すると、手で触れないほど放熱器が発熱します。
長時間の運転ではファンなしでの使用は無理であると判断しました。


この代替えとして、
最近ヤフーオークションで今まで以上の規格のもの(12V 30A)で日本のTAMURA電機製のものを入手することができました。
早々に実験した結果、ファンの必要もなく、連続30分の運転にも放熱器がほんのりと温まる程度です。
やはり10v 10Aの電力を安定して長時間供給するためにはこれ位の容量の電源が必要です。
このユニットは
安全のためにAC入力側にヒューズが入っていますので、
外形は大型ですが、安心してアンプに組み込むことが出来ます。

 次にBridge Diodeについての問題点。
Bridge Diode50A規格のものですがBridgeの一片のDiodeDC 10Aをまともに流したら
十数秒で手で触れない位に発熱します。
従ってここでは50A Bridge2個使って4Diodeをパラにして使用します。
AC整流とDCではDiodeの発熱が全く異なることを経験しました。
それに対して、次の
突入電流回避のためのSoft Start回路用のMOSFETの発熱はほんの僅かですので、
小型放熱器を付けただけで十分です。


今回のバラック実験の様子です。



--------------------------------------------------------------------------------------
第10回
2011.09.27 up


9. 833A Heater 回路の見直しとSW Regulatorによる点灯実験

このアンプの困難な箇所の一つに出力管833Aのヒーター電源供給回路がある。
設計当初不安な処であったが、Simple is the best! ということでこれに決めた経緯がある。

DC9V 4.5A×4の全波整流で、整流後の平滑回路を通過後で10V 10Aを得る計画であったが、
実験を重ねるうちに整流器が故障、次にリップルが多く使えない、整流後の電圧が低く、安定しないなどの理由で
全面的にHeater 電源回路、整流回路見直しすることになった。

そして、DC10V 10A のヒーター電力を安定に供給するためには
よほどしっかりしたトランスと整流・平滑回路が必要であることがわかった。
今回はこれまでの方法を見送って、スイッチングレギュレーターによるヒーター電源の供給を考えた。

市販のSwitching regulatorを使った場合、
10Vもしくは12V(今回使用したSW レギュレーターは12V 14A の出力±10%可変型)のレギュレーションが良いため、
SW ON
直後のRush Currentが非常に大きい。
そのため833AHeater に多大なストレスがかかることになり、真空管の寿命を縮めるハメになる。
これを防ぐために、ヒーター電圧がゆっくり立ち上がるようにSoft Start 回路を挿入する。


今回はMOSFET を使った大変簡単な回路を試してみたが、調子よく動作することを確認した。
SW Regulator回路から出力された10V 10Aの電力はノイズを少なくするため1mH 10Aのトロイダル・チョークに入り、
次にMOSFETを使用したSoft Start回路に入り、出力される。


動作は、SW ON直後ではMOSFETOFFになっているので、
回路は0.5Ω 5WRを直列に挿入されている状態になっており、
この抵抗で大きな電圧降下が生じ、833Aにはそれほど電力はかからない。
暫らくして(約0.5 Sec後)この抵抗をFETでショートする。以後10Aの電流はFET中を流れるが、
この電圧降下は外付け0.5Ωの電圧降下よりもずっと僅かになるように
使用するMOSFETは挿入損失が小さく、発熱量が最小になるように、
ON 抵抗のきわめて小さいものを選択する(数十mΩ以下)。


作製は、一枚の小型PCボード上に放熱器をつけたMOSFETを配置し、
これにトロイダル・チョークを並べ、それぞれの放熱器、コイルをこの基板にエポキシ接着材で固定し、
これをもとに空中配線でまとめる。実装はこの基板をケースにスペーサーを介してネジ止めする。

この回路には定常時、10Aという大電流が流れるので、
簡単な回路であるが作製には十分気をつけて、トラブルのないように注意する。
また、833AHeaterは今回実験したSW レギュレーターを使用するので、
先回紹介したトランスのタップ、整流器そして大きい方のケミコン・ブロックは必要なくなった。





実際にアンプに組み込むSW Regulator Unit (12V 14A) と、Silicon Bridge、作製したSoft Start Unit



--------------------------------------------------------------------------------------
第9回
2011.08.08 up

8. 電源ユニットの組み立て(2)

833A ヒーター電源整流回路と平滑ケミコンブロックおよび、833Aバイアス電圧レギュレーターと300Bヒーター定電圧電源回路

出力管833AHeaterSchottky Diodeで全波整流、またドライブ管300BHeaterSchottky Diode Bridgeで整流後、
ケミコンブロックの平滑回路を通して供給する。

大きいブロックが833Aヒーター整流回路平滑コンデンサー・ブロック50V 6.800μF×6
小さいブロックが300Bヒーター用コンデンサー・ブロック35V 6.800μF×3

     833A Heater DC 整流・平滑(トランス・タップ9V 4.5A×4 を全波整流)



833A Bias Regulatorの回路

833A Bias regulator Board215V 0.1A)、S.B diode Bridge60V 15A)、Twin S.B Diode(45V 30A)STR9005(5V 4A) AVR IC

833Aのヒーターは素子内の内部電圧降下が少なく、また電力損失が小さく発熱量が少ないSchottky Diode を使用する。
トランス・タップからの整流電圧が9Vと低く、これを両波整流して10Vとするために内部電圧降下が少ないSchottky Diodeを使用する。

また、300Bについても同様な理由でS.B diodeBridgeを使用。

点線枠内のように300B Heater DC回路を組む。ここでもTerminal Postを設けておくと、後のメンテナンスが容易になる。

(注)全体回路図ではないが、Schottky Bridge整流後、200μHRFC0.1μFを挿入する。

--------------------------------------------------------------------------------------
第8回
2011.07.31 up

7. 電源ユニットの組み立て(1)

シャーシー内にサブ・シャーシーを設け、このシャーシー上に下図で示すTerminal Boardの右半分の回路を作製配置する。
このTerminal Board基板に
高、低圧電源を集中させ、このボードから各回路に分配する。(後のメンテナンス性を考慮した。)

Terminal Postから右の回路の低圧回路チョーク(10H 140mA2個、ケミコン・ブロック、HV Rectifier Boardなどは、
本ターミナル・ボードと共にサブ・シャーシー上に組み込み、
左側回路の各電源トランス、高圧チョーク、オイル、フィルムコンなどの配線は本体シャーシー上に組む。)

 回路組み立てにおいて、Signal GNDは直接Chassis Earthとせず、
Terminal Post
上の一点に集結し、1MΩを介してChassis Earthとする。 

電源回路を集中させるTerminal Board

高圧電源基板(高圧電源整流回路と平滑ケミコン・ブロック、HV Rectifier Board and Filtering Capacitor

高圧電源平滑用に使用した各ケミコンは、高温、高圧での環境のために劣化が激しい。
後のメンテナンスを考慮して、交換を容易にするためにブロック化して、このブロックごと交換する。

もうひとつのケミコン・ブロック(470μF 450V 3個直列で1ブロック150μF 1.350V)。
市販の定型ガラスエポキシ基板に、エポキシ接着剤で固定する。
何れも本体高圧オイルコンデンサー(100μF-100μF 1.300V)、およびフィルムコンデンサー(47μF 1.200V)と並列接続する。
(ケミコン、オイルコンを直列に使用して、全体の印加電圧耐圧を上げる場合、
各コンデンサーに電圧が均等に印加されるように100KΩ以上のブリーダー抵抗を各コンデンサーと並列に接続する。)

470μF 450V 3個直列で1ブロック150μF 1.350V


--------------------------------------------------------------------------------------
第7回
2011.07.25 up


6.  電源回路(全回路)

本アンプの電源部を以下に示す。
たった3本の増幅部の真空管に供給する電力であるが、電源としては大変大がかりである。
この電源部のパーツを並べただけで、アンプ全体の2/3の面積を占領するほどになった。

高圧電源(約980V 最大250mA):

 380V×2 300mAをブリッジ整流して約980Vを得る。使用Si-Diode1.5KV 3AToshibaの音響用を2本シリーズに使用。
次にRF Filter として RF Choke Coil(10mH)とフィルムコン(0.22μF)を経てAF平滑回路に入る。

平滑コンデンサー:

電界(ケミコン)コンデンサーが一般に使用されるが、経年劣化、高温、高圧環境を考えると、
メインのフィルター・コンデンサーとしての使用には不安がある。

ここでは1段目はオイルコン、2,3段目はフィルムコンを使用する。これらの段での容量不足を電界コンデンサー・ブロックで補っている。
しかし、使用するケミコン類は配置が、また後に交換が容易なようにブロック化し、このブロックごと交換することとする。

833A Heater

 出力管833Aのヒーターは10V 10Aと大変な大飯喰らいである。
このクラスの送信管では当たり前のことであるが、オーディオアンプで使用する時頭を悩ます。
hatt_au
HP-833トランスは専用の833Aヒーター巻き線をもっているので、簡単である。
整流ダイオードはShottoky Typeで、30A以上の容量のものを選択する。

833A Grid Bias regulator

DC 0.1A位の容量で、215V位可変可能なものであれば使用可能。ここではLM317Tを使って簡単に作製した。

低圧電源(400V 100mA):

 6SL72A3C(300B)に供給する。整流管5AR4を使用。2段のLC Filterで構成する。
ここでもフィルター・コンデンサーはオイルコンデンサーを使用。

2A3C300B Heater

 hatt_au HP-2A300 トランスの各専用巻き線端子から供給する。2A3C2.5V 2.5AそのままAC点火。
300BShottoky Bridge Diodeで整流のち、ちょっと贅沢だが、サンケンの5端子Regulator STR9005(5V 4A)を通して供給する。

ここで使用Bridge とRegulatorについて・・・・トランスからの電圧がAC 6.3Vと低いため、
普通の3端子Regulatorでは
整流後の電圧が低すぎて定電圧動作に不安がある。
このため入力―出力電圧差の少ないSTR90051V)を使用し、
整流ダイオードもShottoky Bridgeを使用する。

主なパーツ

@    高圧(833Aアノード電圧)電源回路、平滑コンデンサー、電源平滑CH、etc

電源トランス : hatt_au  HP833  AC 380V×2 760V 300mA9V 4.5A×420,40V 0.1A

AF Choke Coil 5H 300mA ×2

RF Choke Coil : 10mH 1.5A ×2(コア入り)

平滑コンデンサー: 1st  OIL  100μF 650V100μF 650V= 50μF 1.300Vとして使用

               2nd  FILM  47μF 1.200V

               3rd  FILM  47μF 1.200V

            4th   Chemicon 470μF 450V×3  150μF 1.350Vとして使用

A    低圧電源回路、平滑コンデンサー、電源平滑CH、他

        電源トランス : hatt_au  HP2A300 350-300-0-300-350V 0.16A0-2.5-6.3V 2.5A×25V 3A6.3V 2A

        AF Choke Coil: 10H 140mA ×2

        平滑コンデンサー:1st  OIL  50μF 650V

              2nd   OIL  50μF 650V

3rd   OIL  50μF 650V

人なつっこい「カラスアゲハ」です。夕方庭に出たら、どこから飛んできたのか、私の肩に止まりました。
追い払っても逃げません。仕方ないので、指に留めて近くの雑木の葉に移してやりました。
きれいだったので一枚写真に撮ってみました。


--------------------------------------------------------------------------------------
第6回
2011.07.21 up

5. 出力トランスと真空管833Aチムニー 

大型OUTが到着しました。かねてから試案していた出力トランスが本物になりました。

W180×D:180×H230mm 重さ約 20Kg オイル入り。こんな大きなトランスを扱うのは初めて。
このトランス一個で並みの真空管アンプ一台分です。

トランスの仕様は、833Aアノード電流250mA、 インピーダンス3KΩ、一次安全電流400mAとして設計されています。
また、KNF、 オーバー・オールNF 巻線つき。

ガラス・チムニーもできあがりました。近所のガラス工房に以前よりお願いしておきました。
材質はパイレックス5mm厚で、底面に取り付けのためのテーパーを付けて貰いました。大きさは、直径φ160mm、高さH140mm

外表面に不透明ガラス処理済み。
大変丁寧につくって貰いましたので、833Aのヒーターを点火した時、外から見ると大変きれいに見えます。

これらをあらためて平板に配置してみました。
高圧電源トランス、低圧電源トランス、高圧平滑オイルとフィルムコンデンサー、低圧平滑オイルコンデンサーはシャーシー上に配置。
あとのユニット、パーツはシャーシー内のサブシャーシに収納。

そのため、シャーシー内は二階建て構造とし、後のメンテナンス性を考えた構造とする。シャーシーの深さは150mmの予定。

ただ並べただけで、雑然とした配置!少し異様な感じ。

シャーシーレイアウトに一工夫必要だ。各パーツの大体の大きさを比較してみた。

シャーシー内は二階建て構造



--------------------------------------------------------------------------------------
第5回
2011.07.12 up

4. 833A シングルアンプU  使用パーツ(2) トランス類、結合コンデンサーなどについて

出力トランス、ドライバー・トランス、グリッドCH、その他結合コンデンサー、オーバー・オール帰還コンデンサーについて考える。

このクラスのアンプになるとトランス類を全て市販品から入手することが困難になってくる。
ここではインターネットなどで、現時点で入手可能なものを考えてみたが、
最終的にグレードアップするには特注品仕様となることは避けられない。

信号の流れに沿って見ると、入力されたAF信号は初段増幅6SL7SRPP回路に入り、増幅、低インピーダンス変換されて、
結合コンデンサを経由して、パワー・ドライブ管2A3/300Bをドライブする。

ここで問題となるのが結合コンデンサーCcと、ドライバー管のグリッドと並列されているグリッド・チョークGHである。


各種グリッド・チョーク・トランス。

左側: 650H 1mA 以下。これは初段6SL7の入力抵抗の代わりとして使用可能。低域特性が大きく改善される。

 中央: この度の仕様を満足する2A3/300Bグリッド・チョーク FMEC600H  600H/DC8mA

 右側: タンゴTC-160-15W  160H/DC15mA, 40H/DC30mA 小電流パワー管用


  最後まで決め兼ねたグリッド・チョーク2種。結局左側にある黒カバーのノグチ・ファインメットFMEC600Hに決定。

結合コンデンサーCcとして1μF程度、250V耐圧の良質なフィルムコンデンサー(ムンドルフ、solen フィルムコンデンサー)など
使用したいが、10μほどのオイルコンデンサーも適当である。
今回はSHIZUKI 30μFのオイルコンを使用する。 また、GHはノグチ・ファインメットFMEC-600H を使用する。


    Cc 結合コンデンサ SHIZUKI 30μF 220VAC

オーディオ信号がここを通過することにより 少しでも位相の回転をなくすように、
高域特性が犠牲にならない程度に時定数を非常に大きくとっている
(周波数的にみると位相の回転が10度以上のなると周波数特性がだらだらと下降し始める)。
尚、このチョークを流れるグリッド電流はほとんど問題にならないので小型のCHが用いられることが多いが、
イオン電流から回避するためには、出来るだけDCRが小さいことが望まれる。
そのためには、結合コンデンサーを含めたインピーダンスは低いほうがよい。

2A3/300Bで電力増幅された信号はドライバー・トランスを駆動する。
このドライバー・トランスはハット・オーディオhatt_au HD-24 を使用する。
配線図では分かりづらいが、トランスの巻き始めと巻き終わりを逆接続にする、宍戸式イントラ反転トランス・ドライブとする。
しかし、このトランスの一次巻き線の電流容量は60mA以上ほしい。

 
左側の銀色ハンマートーンのトランスがドライバー・トランスHD-24

トランス2次側には833Aのグリッド電流(最大50mA程度)が流れるが、
この電流は反転して一次電流を打ち消すように流れる。
この巻き線コイルのコールド側は、ゼロバイアス時はアースされているが、プラス・バイアスの時はプラス電圧が加えられるので、
この点でのバイパス・コンデンサーも信号流路の一部となる。この点にも注意してバイパス・コンデンサーを選択する。

オーバー・オールNFの位相補正コンデンサーについて一言。

回路図では200pFと指定しているが、このコンデンサーの選択については注意がいる。
マイカ、スチロール、フィルム、などが適当であるが、間違ってもセラミック・コンデンサーは使用しないほうがよい。
ここでは昔のキャラメル型のマイカ・コンデンサーを使用する。
(以前ある有名メーカーの真空管アンプの修理依頼を受けたことがあったが、
この時、この帰還回路のセラミック・コンデンサーがアンプ全体の音質低下の原因になっていたことを突き詰めた経験がある。
セラミック・コンデンサーは誘電損失が大きく、また、誘電率が大きいため、RF以上の高周波領域での使用が適当と思う。)

電力増幅段833Aの出力トランスOUTは現段階では、hatt_au HO-833N を用いる。
このトランスはコアサイズが大変大きく、タンゴトランスの最大級より大きい。
また、巻き線径も太いので、150mA以上の電流も流すことができる。


       hatt_au ハット・オーディオ HO-833N 出力トランス

この出力トランスは最終的にはファインメットの1KVAコアを使ったものに変更を予定しているが、まだ入手できていない。

このトランスに要求されることは、833A 150mA(できれば250mA)ほどのアノード電流が流れた時、
容易に直流磁化されないほどのコア・ボリュームがあること、KNF巻き線、また出来ればオーバー・オールのNF巻き線も欲しい。
シングルトランスの場合、直流磁化の問題があって、製作がなかなかむずかしいらしい。
現時点ではこのような要求を満たすOUTは市販されていないので、トランスメーカーと協議中である。



--------------------------------------------------------------------------------------
第4回
2011.06.29 up

1.    833A シングルアンプU  使用パーツ(1)真空管
始めに ・・・・・・ 先回の追加説明

2A3(C)のバイアス抵抗R7とドライブ・トランスの2次側に入っている抵抗R3R4について。
R7はご存じのように2A3(C)の動作点を決める重要なバイアス抵抗で、2A3(C)の最適動作点にセットします。

それに対してR3R42A3(C)が最適動作点で動作して出力した電力が必ずしも、
833A
の最適入力電圧にならないことがあるため、この2つの抵抗で調整するためのものです。
多くの場合この段はオーバードライブになり易く、833Aのドライブ適正電力を、
2A3(C)
R7で調整する方法が一般的なようですが、ここではR3R4で調整します。

********** ここまでが追加説明 ***********

真空管 6SL7 , 2A3(C), 833A およびソケットとアダプターについて

初段真空管6SL7RCAの高信頼管5691を是非使いたい。
まだ入手できていないので、当面はTUNSOLであるが、日本製のHITACHINECのものもある。
またNATIONAL ElectronicsNECのニッケルプレートの6SL7の音も捨てがたい。

6SL7各メーカーの真空管。NECの箱のわきにある2本がニッケルプレートの6SL7

2A3RCAOriginal であるが、最近店頭ではめっきり少なくなってきたが、まだインターネットでも入手可能である。
市場に出回っているのは、中国製、ロシア製のものがほとんどである。
本機では、RCA製の、一枚プレート、二枚プレートものはプレート規格オーバーとなるが、電圧を下げれば使用できる。
今回は余裕をもってドライブ出来ると思われるEH2A3を使用する。

833Aは最近中国製のものが大量に出回っており、入手が容易になった。
小生が求めたころは、ほとんどマニアと言われる一部の人にしか知られていなかったと思う。
このころの用途はほとんどが無線周波数(RF)での終段管としてのものであったと思われるが、
RCA
のマニュアルではこの周波数での動作データーと共にAF(オーディオ帯域)での使用例として、
AF変調器としての使用例が載っている。


出力管833Aの規格を、以下にRCA のデーター・シートから抜き出してみた。
主な用途: RF(Radio Frequency)帯(30MHz)までの周波数帯域、
およびオーディオ変調器出力段で使用できる自然空冷または、強制空冷 直熱三極管。

最大定格(ICAS規格)

ヒーター電圧:10V, 電流:10A

DC Anode Voltage3300V

MAX Signal DC Anode Current: 500mA

MAX Signal Anode Input 1300W

Anode Dissipation 350W

動作例(無線周波数にて)

DC Anode Voltage 3300V

DC Grid Voltage: −100V

Peak RF Grid Voltage: 110V

DC Anode Current 150mA

Driving Power 11W

  Power Output 200W

上のデーターで、アノード電圧3.300Vは我々アマチュアには一般的ではないが、
これほどの高電圧を加えると、
グリッドバイアス電圧を−100V位でも、アノード電流は150mA位流れるようです。

今回の使用では1.000V弱の電圧で、0Vバイアス時80mA前後の電流が流れるので、
グリッドに少しプラスのバイアスを加えてアノード電流150mAから250mAで使用する。

 残念ながら、最近この一本しか入手できなかったこの「トラの子」を不用意にも破損してしまった。
アンプの入れ替えの際の出来事だった。
仕方なく本機使用のものは中国製で、磁器製ソケット、プレート、グリッドキャップと共に買い求めた。

(それにしてもこんなに厚いガラスの真空管は初めてだ。破損断面をつくづく眺めた。)

この管の実装には苦労する。
プレート、グリッド二本で一方を支え、そして、もう一方をヒーター二本の電極で支えて、
真空管本体を中空にさらして自然空冷またはファンで強制空冷する使い方が一般的な様で、海外のHPで見ることができる。

ソケットを使うと、本機ではヒーター二本の電極足で磁器製ソケットに止める構造である。
しかし、このままでは金属製シャーシーに取り付け出来ないので、ガラスエポキシ板 厚さ5mmでアダプターを自作した。
このアダプターは真空管にソケットを装着した状態での使用を前提としており、先の1回目の画像で示とおり。
勿論このままの磁器製ソケットだけでも使用可能だが、本機の場合下部からファンで強制空冷することを考えて、
アダプターをスペーサー(約60mm)を介してシャーシーにビス止めする。このアダプターの寸法画像を参照いただきたい。

本機は以上の様に片CH たった3本の真空管で構成されているが、
扱う電圧・電流も高圧・高電流で、出力も並大抵ではない。
使用パーツをはじめ、実装、組み立てには細心の注意を払わなければならない。

833Aソケットアダプター。一辺160mmの正方形。材質は厚さ5mmのガラスエポキシ板。
磁器ソケットに合わせて中心から、直径72mm円形にくり抜く。5.5mmまたは、6.0mmのビスで
磁器ソケットおよびシャーシーに取り付ける。
以下の画像が実際に作製したもの。



真空管833Aをソケットとアダプターにはめ込んだ様子。
また、シャーシーへの実装は下図のように、60mmの金属スペーサーを使ってアダプターを吊り下げるようにする。

今回はここまで ・・・・・・・・・・・・・・。

庭の池のスイレンが先日来より咲き始めました。純白の清素な感じでとても気に入っている花の一つです。


--------------------------------------------------------------------------------------
第3回
2011.06.26 up

1.    833A シングルアンプU  アンプ部の回路図 

前回の説明で本器の設計思想が大体分ったと思うので、その具体例として回路図を以下に示す。



オーディオ信号はレベルコントロールVR、結合コンデンサを経てSRPP回路の初段6SL7の片ユニット三極管のグリッドに入力される。
結合コンデンサの値は0.22μF、グリッド(リーク)抵抗は1MΩとしているので、
ここでのカットオフは可聴周波数帯域では十分な値である。
そして、初段のカソードにはオーバーオールのNFが架けられているが、これのON-OFF SWも設けられている。

2段目6SL7 はカソード・フォロアーとして動作し、その出力インピーダンスはカソード゙抵抗とほぼ等しく、
低インピーダンスでドライバー管2A3(C)をドライブする。
2A3(C)
は自己バイアスである。そして、300Bの場合はバイアス抵抗R7を変更する。
ここでのドライブ方法が先に述べたグリッド・イオン電流効果を考慮した、グリッド・チョーク・ドライブである。
効果の詳細は先の説明を参照いただきたい。

初段管からドライブされた2A3(C)の出力は3Wから3.5W 得られている。
これより反転ドライブ・トランスを介して 出力管833A をパワー・ドライブする。
そして、これらがすべて設計通り動作した時、833A の増幅率μ=35 であることを考慮すると75W 前後の出力が得られる。
この時放出される833Aからの熱量は相当なもので、
自然空冷だけでは周囲に配置されたトランス、真空管 などが蒸発してしまいそうになる程です。
そのため、本機ではガラス管チムニーを取り付け120mmφのファンで下方から強制空冷をする構造とした。
以前作製した211805838、のときもこれと同じように発熱を経験したが、この833Aは異常なほどである。


 833A の動作は完全なA2 動作である。アノード・アイドリング電流は、
グリッド0Vバイアス時、アノード電圧900Vの時、5080mAの電流が流れる。
従ってアノード電流250mA流れた時、
ドライバー・トランスの2次側には相当量(20mA 以上ピークで70mA位)の電流が流れると予想される。
この値に耐えられるグリッドバイアス電源が必要である。 

出力トランスから、2つの負帰還を掛けている。
ひとつは出力トランス2次側16Ω端子(Hartsfield 16Ω)からのオーバーオールNF と、出力トランス専用巻き線よりのKNFである。
これは今回のHartsfieldのように大型ウーファーで、
しかもフロントロードがかかったSPが負荷になる場合には是非とも必要なものと考える。


以下 次回に続く。
今日は画像がないので、ちょっと息抜き!!!!!・・・・・・・・・・・ こんな写真が撮れました。

我が家は毎年のこと、今頃になると出産ラッシュ。先週来より車庫の入り口で大変賑やかです。
ムクドリ、スズメ、それから写真のツバメ、また庭のカシの木にはシジュウカラも巣作りしています。

ツバメは、5羽誕生しましたが、カメラを向けると1羽が後ろに隠れてしまいました。
5羽それぞれこんな時から性格が違うようで、大変憶病なもの、好奇心旺盛なもの、気短なもの、様々です。
今年2度目の誕生で、これらのヒナももうすぐ巣立ちます。

--------------------------------------------------------------------------------------
第2回
2011.06.24 up


1.    833A シングルアンプT  アンプ部の構成

Hartsfield自体電源効率は良く、能率が高く、これをドライブするパワーアンプの出力はそんなに必要ないように思えるが、
あの大きく、重い、そして、フロントとバックにロードのかかったウーファー・コーンを制動よく制御し、
ボイス・コイルから発生する強力な逆起電力を吸収し、かつ、それに打つ勝つ電力をSP Unit に効率よく供給するには
相当な馬力のアンプを必要とする。

また、CDのダイナミックレンジが100dBを超えることを考えてみると、単純に電圧レンジと考えてみても、
普通にオーディオルーム聞くパワーを0.1Wとしても、この100dBという値は凄い値であることに気が付く。

           構成の概略

初段はスタンダードな6SL7 SRPP とし、Low インピーダンスでパワー・ドライブ管2A3C) または300B をドライブする。
2A3
C) または300B(以下 2A3C)と記す)はドライバー・トランスを介して、出力管833A をパワー・ドライブする。
アンプを設計する時いつも頭を悩ますのは、全体の電圧レベル配分である。
今回は増幅段数を極力少なくすることと、出力管のドライブをどのようにするかが問題である。
出力管の動作がA2 領域であるので、グリッド電流が流れるので、当然パワー・ドライブとしなければならない。
今回はドライブ管2A3C) または300B を使用した宍戸式イントラ反転としている。
ここに電力管を使ったカソードCH直結ドライブも考えられるが、このままの回路ではゲイン不足である。

全体の構成としては簡単であるが、
6SL7 SRPP
2A3C)の電力増幅、2A3C)と出力管833A のグリッド・イオン電流からの回避を考慮した回路構成になっている。
ここで耳慣れないグリッド・イオン電流について触れたが、
これは随分昔、小生が本業のFIM ( Field Ion Microscope ) の設計製作に関係していた時、
顕微鏡本体内の空間に漂うガス状イオンが装置全体の解像度に大きく影響することに気付いたことが始まり。
その後オーディオ専科の森川さんも、真空管のイオン電流についてある雑誌に解説したものを見たことがあるが、
雑誌の名前は忘れてしましまった。
このイオン電流なるものはなかなか厄介で、
ドライバー管からみるとドライブされる真空管のグリッド入力インピーダンスは高いほうがドライブは易しいし、高効率でドライブ出来るが、
ドライブされる出力管はイオン電荷がグリッド付近の真空管中に存在するため、高入力インピーダンスになることができない。
その結果ドライブ電力が多く必要となり、ここでの電力ロスが多くなり、それだけではなく、ドライブ入力信号も歪ませる結果となる。
再生音に霞がかかったようで、モヤモヤとして聞こえる。
真空管アンプでエージングが進むまたは、アンプのSWを入れてしばらくたつと本来のアンプの音になる等のことはよく経験することと思う。
これらの現象はこのイオン電流の影響として理解できる。
この現象を回避するためには、管内にあるイオンを低インピーダンスで管外に流出させてしまうことが必要である。
このためにはイオン電流(ほとんどDCと思って良い)に対しては低インピーダンスであり、
元の信号に対しては高インピーダンスとなる回路が望ましい。

この現象はもっと議論されても良いテーマと思う。ここではこれ以上触れないが、
電極材料、真空管製造技術に絡む大変奥の深い問題である。
昔のWEの回路をみるとこの問題が見事に解決されているのに驚く。

次に帰還回路はないほうが望ましいとの考えだが、送信管を使ったアンプでは、是非付けなければならない回路と思っている。
これについての詳細は略すが、オーディオ管、送信管の本来のメーカーの使用方法、製造思想を考えてみると理解出来ると思う。
すなわち、オーディオ管はグリッド電流を流さないA1 動作、
それに対して送信管は積極的にグリッド電流を流し込むA2 BC、クラスでの動作が基本使用方法。
これらの使用方法での歪の出方は、A1?A2?B?C の順で悪化するので、当然グリッド電流を流す使用方法の方が歪は多く、
オーディオ周波数帯域で、またこの動作領域で動作させるには負帰還が必要であると云われている。
しかし、送信管においては、グリッド電流が流れたからと言って急激に歪が悪化するわけではなく、
送信管の中にはむしろ少しのグリッド電流が流れた状態の方が歪は低い場合がある。
つまり、オーディオアンプのようなアナログ伝送において、正規の使用法ではオーディオ管のほうが、送信管より格段に歪が少ない。
しかし、現実はこれとは逆に、一度 UV-211838805 など1KV 近いアノード電圧をかけた直熱送信管の音を聴くと、
もう元に戻れない境地になってしまう。

ただし、いずれの動作領域で使用しても帰還量は聴感上少ない方がいい。精々トータル612 dB 位が限度であると思っている。
本器ではオーバーオール3dB少し、カソード(フィラメント)帰還3dB の計6.6dB くらいとしている。

ただし、この量は後ほどヒアリングで増減を決定することがベター。

 本器はこのような設計思想のもとで、構成されている。そして、このアンプの作製は誰にでも勧められるものではないが、
これから真空管アンプの設計、作製を予定する時に参考にしていただけたら・・・・・と思っている。

今回は随分と理論がましくなったが、次回は具体的なアンプ部の回路図を考える。


出力管近辺のアップ画像

手前が833A用出力トランス(将来変更の可能性アリ)。ドライバー・トランス、高圧電源トランスの順。

上部に見えているのが、右から、初段増幅管6SL7とドライバー管2A3(C)
それに挟まれるように配置されている黒色のものが2A3(C)グリッド・チョーク・トランス。

833Aが大変大きいために、各トランスはあまり大きく見えないが、右下にあるのが15cmメジャー。
出力近辺をこんな感じで配置してみたが、まだまだ改良の余地がありそうです。


--------------------------------------------------------------------------------------
第1回
JBL Hartsfieldを駆動するアンプ

初めに:JBL Hartsfield が入手できることがきまり、
さてコイツ専用のアンプをと思って試案し始めたのがことの始まりでした。

ちまたでは今時真空管と思われるが、
小生もこれまで時流に流されまいといくつかのTrMOS-FETなどの半導体アンプを作製し、
また海外メーカーの半導体アンプを入れ替えながら聴かせてもらったが、
いつの間にか部屋の中に残ったのは、真空管アンプのみ数台になってしまった。

 このような訳で今回作製するアンプも当然真空管。

真空管アンプにも多種多様なものがあるが、手っとり早いのはキットを組むことであるが、
キットではこの度の要求に答えられるはずはなく、
真空管アンプの出力管選びからの出発である。

これを思い出し、話すと長くなるが、
結論はRCA が元祖の 空冷送信管833A に決定。

この球は以前30数年前、小生アマチュア無線をやっていたころ、
14MHz
帯のモノバンド・アンプをつくる目的で一本だけ入手して、
そのまま計画倒れになっていた真空管。
世の中省電力に向かっているのに逆行するようであるが、
物置から見つけ出してつくづく眺めていると、大変コッケイな形で、
何かを私に問いかけているような気持ちになり、
この度のアンプ作りを決心するようになった次第。

こんなことでパーツ集めにかかって一年近く経ってしまった。
これまででほとんどのパーツが入手できる見通しがたったが、
まだ手元に届いていないもの、特注で手間のかかるものもある。

この球に息吹を吹きかけることになった今回のアンプで、
これまで入手したパーツを一枚の板に並べてみたが、
相当な重量級で、
W:340mm, D:680mm, H:約350mmと大型でキャスター付となった。
重量もトランス、主なパーツだけで、MONO1台45Kg にもなる。
とても一人では持ち上がらない。
でも、Harts をドライブするにはこれ位の馬力が必要と考える。
ソケットに取り付け、シャーシ・マウント出来るようにアダプターを取り付けた出力管833A
このアンプを構成する各パーツを平板に並べた画像をUPしてみた。


1

833A 真空管、プレート、グリッド・キャップおよびヒーターソケット
    右に見えるのが15cm のスケール


 
ヒーター・ソケットアダプターを自作し、このような状態でシャーシーに取り付けた
真空管833A


 3

主なパーツを一枚の平板にレイアウトしてみた
833A は空冷のため
ガラス管チムニーを取り付ける予定
(まだ特注先のガラス工房から出来上がってきていないので、厚紙でつくったダミーを被せてみた)


左に見えているのは、
833A ヒーターDC 点火平滑用ケミコンブロック、
基板はバイアス安定化電源

 右はしは30cm スケール

アンプを構成する主なパーツを並べてみた。全体の様子がわかる、

大きくて重そうだね
「こんなバカげたアンプを今時つくるアホがいるもんだ」、と笑い種にしていただけたら、幸いです。



クラフト参加が無理の方へは完成品の提供も可能です、ご相談下さい。