宮城の四季
2004 Autumn 秋

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丸森町耕野のころ柿作りに挑戦   (04.11.23)
                                    
11月23日、丸森町耕野地区「ふるさと交流センター」でで開催された「ころ柿作り体験ツアーin丸森」に参加した。
蜂屋柿の皮をむき、紐に下げて干し柿場の「柿ばせ」に下げる工程を体験するものだった。
晩秋の晴れた日、イベントに参加する前に耕野地区の柿ばせの様子を見たいと思い早めに家を出た。


★サーバーの容量不足のため画像のリンク解除をしていますのでご了承ください。


〔柿ばせMAPを片手に〕

まだ朝もやの残る時間帯だったが、耕野地区の「柿ばせMAP」を片手に町内を駆け巡った。「柿ばせMAP」は、先日、柿もぎ
の写真を撮るため耕野を訪れたとき地場産品の直売所「ビビッド耕野・やしまや」さんからいただいたものだった。
車を走らせると柿ばせのある家が見えてきた。家の周りにはまだもぎ取っていない柿の木もあった。
柿ばせは家の軒下にあると思っていたが、柿専用の建物があり、そこは、2階建てになっていた。柿の産地耕野ならではの光
景だった。
後で聞いた話だが、地面の湿気をなるべく防ぐため、一般的に2階建ての建物で、1階を物置(納屋)として使い2階は柿ばせ
として使っているそうだ。また、風通しをよくするため、建物に壁を作らず、全面とも開閉できる大きな戸をつくり、天候を見なが
ら戸を開閉して風を通したり、業務用の大型扇風機で強制的に風を当てたり乾燥具合をみながら調整するそうだ。確かに殆ど
の柿は2階に干していて、平屋建ての柿ばせには乾燥機が設置されていた。最初は、もったいない建物の利用方法と思って
いたがこれで納得した。
柿を吊るす方法としては、縦または横に吊るす2通りがあった。それぞれに違いがあると思うが詳細は不明だ。
鮮やかなオレンジ色の柿は朝日に照らされ瑞々しく輝いていた。


〔いよいよ、ころ柿作り〕

弘法柿組合の組合長さんのご挨拶の後、いよいよ、ころ柿作りが始まった。
私が行った初日は、福島、仙台方面から約50名が参加していた。50名のうち初めて参加する人が約半数、2回目や3回目以
上という人も数多くいた。23日は、体験ツアーの初日で、25日、28日にも実施されるということだった。
初日は、参加人数も多かったことから2箇所に分かれての作業だった。
事前案内にもあったが、持っていった座布団を敷き、汚れても良いようにとエプロンを掛け軍手をはめた。


★柿の皮むき作業

参加者一人に4kg約18粒の大小取り混ぜた渋柿が配られた。今年の柿は収穫量が落ちたものの、粒がそろい品質も良いと
言っていた。
最初の工程は、ヘタを取り、ヘタの周りをナイフでくりぬいて柿の皮を剥きやすくし、その後、縦軸に剥いていく方法だった。曲
線の柿を縦軸に剥くのは少々要領がいった。慣れていくに従い皮のスッと剥ける感触を楽しんだ。

★剥いた柿の紐取り付け作業

次の工程は、剥いた柿に紐を取り付ける作業だった。
剥いた柿を等間隔で並べるため穴の開いた板が配られた。家庭で取り付ける場合はダンボールをくりぬいて代用するのも良
いと言っていた。柿は縦軸に干すことになるため下の方にはできるだけ大き目の柿を配置し、吊るす分だけ紐に余裕をもた
せることなど作業工程の注意があった。この作業は、パズルのようで楽しかった。大小それぞれだったので大きめの柿を並
べ替えながらの作業だった。ヘタにある枝(軸と呼ぶ)を紐に通していく作業が続いた。柿を吊るす軸が無いものは専用のピン
を柿の中に刺して止めた。吊るし紐でつないだ状態を連(れん)と呼ぶ。一通りの作業が終わり荷札に名前と住所、電話番号
を書いた。一箱が1連とし、追加注文をした人は、何連の柿かを書き記した。私は、2連と書いた。


★剥いた柿の薫蒸作業

皮を剥いた柿を専用の薫状箱に入れて一まとめにした。約50名の参加者の柿をまとめると山盛りの箱になった。青いビニール
シートで被い下から硫黄を燃やして薫蒸した。硫黄の匂いが鼻をついた。薫蒸は漂白と殺菌の作用があり薫蒸した後の柿は
色鮮やかな柿色に変身すると言っていた。家庭で作ると黒くなるのはこの薫蒸作業が無いからと言っていた。殺菌だけであれ
ば剥いた柿を熱湯につけるだけでも良いそうだ。薫蒸する時間は約45分。その間、柿組合の奥様達が作ったきのこご飯とダンゴ
汁、豆腐のゆず味噌田楽、柿のデザート、大根の漬物、食前酒に柿ワイン(斎理ロマン)が振舞われた。お楽しみイベントの「柿
の重さ当てクイズ」も行われ、当選者には新米がプレゼントされた。
盛りだくさんのイベントで楽しい昼食時間を過ごした。

★柿ばせは、ふるさと交流センターのベランダ

最後の工程は、薫蒸した柿を吊るす作業だった。薫蒸箱から一つ一つ柿の連を取り出して干した。
柿ばせは、「ふるさと交流センター」のベランダで、センターは小高いところにあり、前には阿武隈川が流れていて風通しには
申し分の無い環境だった。
見事に吊るされたころ柿は太陽の光を浴びてオレンジ色に輝いていた。みずみずしいばかりの色鮮やかな柿ばせが広がっ
ていた。
丹精込めて作ったころ柿、自分の柿はどこにあるのか荷札を見て探す人もいた。


★マスコミの取材、地場産のおみやげ、ころ柿の受け取り

今回のイベントには、仙台放送や東北放送、河北新報のマスコミの取材などもあり賑わいを見せていた。
去年は、柿の写真コンテストなどがあり事務局としてもその対応でてんてこ舞いだったようだ。
ころ柿作りの体験会場には、耕野のたけのこ、しそ巻きラッキョウ、梅干、山芋、大根の漬物、ゆず、人参、柿ワイン(斎理ロ
マン)や葡萄液など地場産品の販売コーナーがあった。早速、数品を買い求め家内へのお土産とした。
剥いた柿は1ヶ月ほど預け、乾燥後に受け取りに行くか、着払いの宅急便で発送するかの方法があった。ころ柿の完成は、
12月26日と言っていた。
年末ギリギリの頃、自分の作ったころ柿を受け取りに行くことした。どんなころ柿が完成するのか今から楽しみにしている。
今年の正月は、耕野のころ柿を食べながら年を越すことになりそうである。

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