宮城の四季
2005 WINTER 冬

厳冬のお釜と宮城蔵王の樹氷 (05.3.21)
3度目の正直、3月21日に念願の厳冬お釜と宮城蔵王の樹氷を見てきた。
初めて雪上車に乗り蔵王の樹氷を見に行ったのが2月6日。当日は、猛吹雪となり樹氷を間近で見たもののお釜までは到達できず途中で引き返し荒れ狂う冬山の厳しさを肌で感じた。そんなこともあり1度はすっきり晴れた蔵王の樹氷を見たいと思っていた。
3連休の計画を立てたのは1週間前。連休の初日19日に蔵王に行くことにしたがその日は朝から雪が降り遠刈田温泉まで行ったものの蔵王は猛吹雪となり予約をキャンセルした。諦めきれずに3連休最終日の21日は空席があるかゲレンデハウスに問い合わせたところどうにか一人は確保できるということで予約をした。

みやぎ蔵王すみかわパークに着いたころは風が強かったものの蔵王の山々はくっきりとその姿を見せていた。早速、蔵王入山届をフロントに提出し雪上車のチケットをもらった。前回は猛吹雪で外にいるのも苦痛を感じたが今回はゲレンデハウス付近をじっくりと散策した。
いよいよ3台の雪上車で出発した。2台は樹氷鑑賞コース、もう1台はスノボーで下る片道滑走コースの乗客だった。雪上車は警告音とライトを点滅させながらスキー場を上っていった。今回は、あとみゲレンデAコース最大斜度32度を雪上車で上ったが座席から滑り落ちる斜度でしっかりとつり革にしがみつきながらの乗車だった。
運転手から車内放送があった「今日は直接お釜まで行きます。」と…。
前回は猛吹雪のため途中で引き返したが今回は一気に刈田岳山頂まで行ける。とうとう厳冬のお釜を見ることができると思わず拍手をした。他の乗客も一様に喜んで歓声をあげていた。
刈田岳非難小屋付近に着いた。ガイドからは、「強風のため十分注意するように。雪上車から離れないように。」とアナウンスがあった。いよいよ雪上車の扉が開いた。トップを切って足場に注意しながら梯子を降りた。目の前にパッと厳冬のお釜が飛び込んできた。何度か訪れたお釜だったが冬の季節は初めてだった。エメラルドグリーンのお釜は真っ白い雪に覆われていた。刈田岳から熊野岳に登山している人であろうか米粒大の小さい人影が見えた。蔵王山頂の大パノラマを満喫した。刈田岳の非難小屋は凍りついた厚い雪で覆われていた。小屋の入口付近ではポールに凍てついたエビの尻尾を見ることができた。厳しい冬の気象条件を肌で感じた。非難小屋を少し上ると刈田嶺神社と鳥居が見えたはずだったが強風なことと雪上車から離れないようにと注意があったことから写真を撮り損ねてしまった。いつの日かきっと厳冬の刈田嶺神社を訪れようと思った。

お釜を見た後、蔵王エコーラインの有料料金所を過ぎ間もなくして樹氷原に着いた。そこで暫く樹氷を見学した。昨年の2月に山形蔵王の樹氷を見たがその時は大きく壮観だった。今回見る宮城蔵王の樹氷は3月下旬の季節で春が近づいているせいか小ぶりだった。しかし、山形蔵王よりも過冷却水滴が宮城蔵王の方が小さいため綺麗な樹氷ができるという。太陽の日差しを浴びてきらきら輝く雪と氷の白銀の世界は神秘的だった。
遠くには蔵王連峰の前山、杉ケ峰、屏風岳、飯豊連峰、朝日連峰が見えた。冬の季節にはめったに見られない大自然の大パノラマを見ることができた。暫く樹氷を観賞した後、雪上車は帰路についたが、去年の秋、屏風岳・不忘山の登山口にあった看板が雪に埋もれて少しだけ顔を出していた。ここがあの入口になるんだと感慨深い思いをした。また、お釜に行く有料道路の分岐点に差し掛かったときはスノボーをしている若者と遭遇した。秋の風景が蘇り懐かしく感じた。

上車は先ほど上ってきた道を下り始めた。途中、スノボーで遊ぶ若者たちと交錯しお互いに手を振り通り過ぎた。蔵王山麓は青い空にどこまでも続いていた。
 
参加した21日は雪上車による樹氷見学も最後の日ということだった。今回は思い出の多いラッキーな蔵王の樹氷めぐりとなった。
樹氷で覆われた蔵王の自然もこれから徐々に春を迎える。
4月23日には蔵王エコーラインも長かった冬期閉鎖から解除される。再び訪れる蔵王は雪壁を見ながらのドライブになろうか。そして、5月には蔵王山麓に咲く高山植物を観賞しながら熊野岳に登山したいと思っている。
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