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2005徒然なるままに
雪深いおくのほそ道鳴子路をかんじきで歩いて  (05.3.06)
3月6日、鳴子町中央公民館主催の『かんじきで歩こう おくのほそ道』に参加してきた。
今から316年前元禄2(1689)年5月15日、松尾芭蕉は曽良を伴い、鳴子町にある鳴子尿前の関を通った。この芭蕉が歩んだ
おくのほそ道鳴子路をかんじきで歩こうというイベントだった。
『かんじきで歩こう・・・』は、年4回開催されている『わらじで歩こう おくのほそ道』の冬編だった。この他、春の5月には山菜採り、
初夏の7月には地方の町に出て芭蕉が歩いたおくのほそ道の体験、秋の10月には紅葉狩りなど四季折々のイベントを企画してい
た。ちなみに去年の7月には山形県羽黒山に出かけて芭蕉のおくのほそ道を偲んだそうだ。


★参加3日前に申し込み

週末は特に予定がなかったことから宮城県観光連盟「宮城まるごと探訪」のホームページを見て情報収集し参加3日前に鳴子町中
央公民館に電話をした。既に申し込みの締め切りが終わっているということだったが是非参加できないかということをお願いした。担
当の方は大丈夫ですよと一つ返事で受付けてくれた。かんじきと昼食時の味噌汁は準備するのでおにぎりなどを持ってくるようにと
言われた。これで充実した週末を過ごせると喜んだ。

★東北新幹線仙台発午前6時37分

2・3日前から大雪が降ったことと早朝の出発でもあり道路事情も悪かろうと電車で行くことにした。
東北新幹線仙台発午前6時37分に乗り古川駅下車、陸羽東線古川発午前7時鳴子行きに乗り換えた。天気も良く遠く泉ケ岳方面
の山々がくっきりと見えた。去年9月18日に新築開業した鳴子御殿湯駅で下車した。集合時間に間があったので駅の待合室で時
間をつぶすことにした。待合室は畳敷きのこあがりや椅子がありそこには座布団も備えられていた。感心したことに暖をとるハロゲ
ンヒーターが設置されていた。地元の小学生が書いた鳴子御殿湯駅の案内のポスターも掲示されていて地元密着型の駅と感じた。



★鳴子町中央公民館で受付


集合場所の鳴子町中央公民館に行ったが既に沢山の方が受付していた。受付席は県外と県内、鳴
子町近郊の古川、鹿島台などと別れていた。県内のコーナーで受付したが参加者リストを見ると私
の名前は手書きだった。既に申し込みを締め切った後の受付だったことから準備も終わっていただ
ろうにと申し訳なく思った。受付した後、かんじきとストックを借りた。
間もなくして主催者の鳴子町中央公民館長からご挨拶があった。
「平成2年から始まり通算第60回目を数えた。今まで一度も欠席せずに参加している方がおられる。
このイベントは松尾芭蕉が鳴子町を歩いたおくのほそ道をかんじきで歩こうと企画した。山形県境ま
でバスで移動し約3時間かけて歩くことになるがお天気も良いことから楽しんでいただきたい。昼食時
に味噌汁も準備している。帰りには温泉に入って疲れを取っていただきたい。来年は鳴子町が合併
するがこのイベントは継続したいと思っている。是非、また参加していただきたい。」
当日の参加者は約80名。山形から参加したご夫婦や気仙沼から参加した親子は前日鳴子温泉に
宿泊したようだ。


★バス3台に便乗して山形県境まで

今回のコースは、山形県最上町堺田から宮城県鳴子町中山宿までの約4.5km。三界萬霊の碑〜
甘酒地蔵〜軽井沢原〜庚申塚〜遊佐大神〜岩渕大明神〜中山宿駅跡を約3時間かけて巡る。参
加者はバス3台に便乗し山形県最上町堺田まで移動した。

★いよいよかんじきでおくのほそ道を

3月といってもまだ雪が深かった。現地に着いてガイドからかんじきの履き方の説明があった。かんじきは紐が緩まないようにしっか
り結ぶようにと言われた。いよいよ山歩きが始まった。両足のかんじきが接触しないようにがに股で歩くのが良い歩き方だ。ズブ
ズブと足が沈むところもあったが慣れてくると結構歩きやすくなった。
銀世界の峠はひっそりとどこまでもおくのほそ道が続いた。雪深い杉林の中、急な坂、小さな川を渡る鳴子路はかんじきで歩く旅人
の風情を楽しませてくれた。遠くノウサギの足跡も見ることができた。源義経が平泉に向かう途中山猿の大群と出会い、山猿が大が
めで持ち込んだ甘酒を振舞ったという甘酒地蔵で小休憩をした。ガイドの説明があり歴史も学ぶおくのほそ道となった。
青い空と白い雲。雪化粧をした山々。どこまでも広い真っ白な平野。延々と続くかんじきの旅人。どれを取っても冬の自然に溶け込
み絵になる景色だった。
★「鮭かす汁」の振る舞い

約3時間のかんじきで歩こうおくのほそ道が終わった。
公民館に帰ると地元のご婦人達が作ってくれた「鮭かす汁」が振る舞われた。冷えた身体にスー
ッとのど越しの良い熱い汁は至福の境地で格別に美味しかった。話に聞くとボランティアで作って
くれたそうだ。ガイドもそうであるが地元のボランティアの方の支援があればこそできるイベントと感
銘した。


★記念品の贈呈

今回参加した方へ記念品の贈呈があった。
今まで一度も欠かさずに参加している地元の方に中央公民館長から記念品が贈られた。
平成2年に始まり通算第60回目。15年の歴史のあるイベントに皆勤という。地元での開催だけで
なく芭蕉が歩いたという他の町でのイベント企画に参加しそれらを含めての皆勤に驚いた。なかな
かできることではなく館長が直々に記念品を贈呈する気持ちがわかって嬉しかった。連続4回参加
した方や初めて参加した方へも記念品が贈呈された。特に始めて参加した方には事前に知らされ
ていなかったことから私もその一人で思いがけずのプレゼントに驚いた。記念品は、鳴子こけしの
絵が入った飾り物だった。嬉しいことにこの飾りを作ったこけし職人さんがいて飾りの裏にサインを
いただいた。また、小学生で参加した子にもトレーナーなどが贈呈された。子供達はプレゼントに
満面の笑みを浮かべていた。鳴子町は鳴子温泉郷いで湯の町として有名であり鳴子こけしも全
国的に知られている町である。そこの名産品を記念にいただいたことに感謝した。
主催者の気配りに触れこれをきっかけに常連になることもうなずけるイベントと思った。

★温泉に入り疲れを取って

帰りは温泉に入っていくことにして何処が良いか公民館の職員の方に尋ねた。
公民館前に源泉いさぜんの湯「いさぜん旅館」があるのでそこに行ってはと言われた。湯治客でも賑わっている旅館で混浴風呂もあ
った。初めは混浴、その後は男子風呂に入った。残念だったが混浴風呂に入っている人は私一人だけだった。身体の芯まで温まった。
一気に疲れが取れるような気がした。

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