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神室岳登山〔山形神室(1,344m)〜仙台神室(1,356m)〕(06.06.24)

6月24日、宮城と山形の県境にある神室岳へ登ってきました。
神室岳は『二口の怪峰』と言われ、西側の山形神室に合わせて『仙台神室』と呼ばれています。山形神室と仙台神室の縦走はアップダウンや尾根伝い、平坦な笹薮の中を通るコースなど個性的な山容を見せてくれる山でした。特に仙台神室は台形のゴツイ山で異様な雰囲気を感じさせる山でした。
神室岳に登るには南の笹谷峠や北の清水峠から山形神室を経由するコースと、仙人沢からダンゴ平に出るコースがあります。今回は南の笹谷峠登山口からハマグリ山、トンガリ山を経由して神室岳へ登ってきました

■笹谷峠

登山は早めに出発し日の暮れないうちに下山するという鉄則を守り、午前4時30分に起床、午前5時には自宅を出発、国道286号線を経由して笹谷峠を抜け午前6時過ぎには登山口へ到着しました。
笹谷峠は道幅が狭く対向車との擦れ違いもできない箇所もあり注意をしながら運転しました。早朝の爽やかな風を受けながら快適なドライブ気分になりました。笹谷峠を走ると仙人沢コースの道標が目に付きましたが、今回は、南の笹谷峠登山口から登る計画だったことから一路現地へと向かいました。


■宮城と山形の県境と駐車場

登山口は宮城と山形の県境でトイレも完備した広い駐車場にありました。既に数台の車が駐車していました。これから登る登山道は西方面から吹き上げてくる霧に包まれ霞んでいました。朝食のおにぎりを食べ暫し霧の晴れるのを待ちながら登山の準備をしました。

■神室岳登山口

午前7時、一向に晴れない霧を憂いながらお天気になるのを期待し登山を開始することにしました。低木の生い茂ったつづら折の登山道を暫く歩きました。蝉や鶯の鳴く声が風に乗り心地よく響いてきました。急な登りになると視界が開け振り返ると登山口にある駐車場が良く見えました。曇り空のためか遠くの山々はかすんでいました。上り坂を過ぎると緩やかな尾根道に変わりました。笹谷峠の名のとおり笹薮で覆われた登山道が続きました。ハマグリ山とトンガリ山に続く登山道にはイワカガミやショウジョウバカマ、ハクサンイチゲ、ツマトリソウ等いろいろな花が咲き心を癒してくれました。

■ユニークな標識ハマグリ山(1,146m)

登山を開始して約1時間でハマグリ山に着きました。ユニークな標識が山の疲れを癒してくれました。岩に座り小休憩をしました。これからが本番と気を引き締めながら目的地へと向かいました

■トンガリ山(1,241m)・山形神室(1,344m)

アップダウンを繰り返しながらトンガリ山に到着しました。ここでも小休憩し次の目的地山形神室へと向かいました。急な登り坂を通り過ぎると山形神室へ到着しました。頂上は低木に覆われこじんまりしていました。山頂にはシャクナゲやドウダンが咲いていました。

■ダンゴ平

小休憩をした後、神室岳(仙台神室)へと向かいました。登山道を少し下ると白い花が綺麗にて咲いていました。遠くには急な上りになっている仙台神室が見えました。正直、頂上まで辿り着くのか不安になりました。間もなくすると一気に谷底へ下りていく登山道になりました。崖のような岩場の道は滑りやすく慎重に下りていきました。ようやく平坦な登山道になりホッと胸を撫で下ろしながら歩いていくと「ダンゴ平」という標識が目に付きました。笹薮のなかに掲げられた標識を見ると神室岳に登る気持ちに掻き立てられました。ダンゴ平は仙人沢コースの合流地点のあるところでした

■神室岳山頂(1,356m)

神室岳の最後の登りは地面に這いつくばかりの道になり木の枝につかまりながら一歩ずつ登っていきました。途中、下りてくる登山客に会い、もうどの位で頂上なのかと聞きながらやっとの思いで山頂に着きました。既に午前11時をまわり往路約4時間の道のりでした。山頂は笹を刈っただけの広場でした。遠くの山は靄がかかり良く見えませんでした。それでもかすかに見える山は大東岳かと思い巡らしました。頂上には誰もいませんでした。神室岳を独り占めした気分に浸りながら目的地の山を征服した満足感と爽快感を味わいました。暫く休憩していると一人の登山客が登ってきました。その方といろいろなお話をしました。定年退職をしてから登山を始め時間があるとあちこちの山に登っていると話していました。8月には知床の羅臼岳へ登る予定のためトレーニングを兼ねて山登りをしているという話もしていました。宮城の山だけでなく日本の山を楽しんでいる方で羨ましくさえ思いました。最近、登山を始めて思うことは定年を迎えられた方の単独登山が多いことでした。ご夫婦で山登りを楽しんでいる方も多いと思いました。定年後は共通の趣味を持ちながら人生を謳歌している姿に、いずれ自分もそうなるのかと思いながら、健康を考えて一石二鳥の楽しみ方は山にあると実感したところでした。

■私が登山を始めた理由

私が登山を始めた理由は4年前に鍋倉山のサラサドウダンを見るイベントに参加しトレッキングシューズを購入したことからでした。折角購入したトレッキングシューズをイベントに参加した一回だけの使用ではもったいないと思いながら、その後、家内と一緒に登った栗駒山で山の魅力に掻き立てられ登り始めました。先ずは県内の山を制覇し。何時か県外の山を登る楽しみも味わいたいと思っています。
■「ヤッホ〜!ヤッホ〜!」の声が

昼食を取るには少し早かったことからバナナを1本食べただけで神室岳を後にしました。アップダウンを繰り返す尾根道に気を引き締めながら歩いていきました。ダンゴ平を過ぎ山形神室へ向かう登り坂に差し掛かると、仙人沢コースを登ってきた登山グループが手を振りながら「ヤッホ〜!ヤッホ〜!」と大きな声で叫んでいました。自分に声をかけている気がして「ヤッホ〜!」と返事をしました。やがてその声は聞こえなくなりました。やっぱり私に声をかけてくれたのかと勇気が湧きました

■再び山形神室

山形神室に着くと青空が見えてきました。お天気も気にならないほど精魂つめて登ってきた山でした。ハマグリ山を越えると笹谷峠登山口に着くことができると思うとほっとするものがありました。復路は気分も楽になり少しゆとりのある歩き方になっていました。往路では気づかなかった風景の写真を撮りながら帰ってきました。

■岩肌の登山道

岩肌に這いくつばりへとへとになりながら慎重に登っていきました。滑り落ちたら大怪我をする場所で気をもみながら登っていきました。上からスニーカーを履いた若者が下りてきました。疲れた様子も無く足軽に下りてくる様子を見て若さにはかなわないと思いました。余りの難儀な上りに後どのくらいで頂上なのかと問うと間もなく頂上ですよという声が返ってきました。その言葉に励まされながら上っていきました。行き交う登山客とコミュニケーションが取れることが登山をする楽しさでもあります。お互い知らない者同士が声を掛け励まし合いながら登っていくからこそ辛くても苦しくても頂上に辿り着くことができるのかもしれません。登山の醍醐味を味わった時間が過ぎていきました。


■再びハマグリ山

ハマグリ山では福島から来たという人に出会いました。福島県内の山を良く歩いている方でした。吾妻山も良い山ですよと教えていただきました。5月には月山へスキーにも行ってきたと話していました。皆さんそれぞれに山歩きを楽しんでいることに感心しました。

*ハマグリ山から台形に見える山は神室岳(仙台神室)です。その手前は 
 山形神室、その奥のは大東岳かと思われます。


■雁戸山と笹谷峠の駐車場

遠くには雁戸山が見えてきました。笹谷峠の駐車場も見えてきました。駐車場までは下りのみの登山道になっていて慎重に下りていきました。すでに時計は午後3時半を回っていました。途中で犬を連れた登山客に会いました。人それぞれの登山の仕方ですが、動物を連れて登る山はどうかと心配をしました。犬の糞などで山の植物の生態系が違ってきはしないかと思いました。人が登るにもマナーを守っての登山は大事ですし、ましてやペットを連れた登山は犬にとっても楽しいものかと思いました。
登山口を午前7時に出発し戻ったのが午後4時でした。休憩時間も含め延べ9時間の登山になりました。途中、写真を撮ったりしながらで相当の時間を費やしました。今回も疲労困憊の登山でしたがその疲れも心地よいものとなりました。
宮城と山形の県境の笹谷峠には斉藤茂吉が呼んだ歌碑が立っていました。今年の1月から短歌を詠み始めた私にとって興味のあるものとなりました。

     ふた國の 生きのたづきの あひかよふ この峠路を 愛しむわれは       茂吉

「一乃湯」の温泉場

帰りは笹谷インターチェンジの付近にある「一乃湯」(入湯料1,000円)の温泉に入ってきました。神室岳から流れてくる沢の水音を聞きながら露天風呂に入ってきました。緑深い山間の温泉場は登山の疲れをほとんど取ってくれました。

神室岳の花たち
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