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くりはら田園鉄道線”くりでん”に乗ってきました(06.9.30)
9月30日、稲刈り真っ最中の栗原平野を走るくりはら田園鉄道”くりでん”に乗ってきました。
くりはら田園鉄道線は、宮城県の登米市・石越から栗原市の細倉マインパーク駅までの25.7キロを結ぶローカル鉄道で来年の3月には廃線になる予定です。
1週間前には黄金色に輝く田園地帯を走り回り念願の”くりでん”の写真を撮ってきました。今回は、”くりでん”に乗りローカルな雰囲気の中ゆったりとした気分で楽しんできました。
■ 穀倉地帯の”くりでん”

電車に乗る前に国道4号線とくりはら田園鉄道線が交差する陸橋に行きくりでんの写真を撮ってきました。線路が一直線に延びているところでくりでんのPRポスターにも利用されている場所でした。既に数人のカメラマンが電車を待っていました。稲刈りが始まり杭がけをしている農家の人たちもいました。稲刈りの終わった田園地帯を走るくりでんはローカルな中にも殺伐とした世の中から開放されるホッとする空間がありました

■大正時代の建造物「沢辺駅」

沢辺駅を起点に行動しました。
大正時代に建てられたという駅舎は木造建築で古びた懐かしさの感じられる建物でした。待合室にある木製の長椅子は、背もたれに広告文字が描かれていて色あせた雰囲気が年代を感じさせられるものでした。改札口は木製でした。年月が経ち丸みを帯びてくすんだ木製の色は懐かしい駅舎を思い出させるものでした。木製の改札口は今では殆ど見ることのできない貴重なものでした。待合室に掲げられている看板もまた年期が入りローカル的な雰囲気の漂う年代のものでした。タイムスリップした懐かしい思い出が駅舎の中にありました。貴重な腕木式信号機の挺子を見ることができました。

■1日フリーキップで乗車

今日の予定は、沢辺駅から石越駅、そして、下りの終点細倉マインパーク駅まで行き、折り返して沢辺駅まで戻ってくることにしました。沢辺駅の窓口で「フリー乗車券」があるか尋ねました。駅には置いていないということでしたが、近くにある栗原市役所で取り扱っているということでした。土曜日なので市役所も休みと思いながら誰かが出勤しているかもしれないと思い取り敢えず行ってみることにしました。市役所に着くと玄関で警備員に会いました。事情をお話しするとたまたま出勤していた方に伝えていただき「1日フリー乗車券」を手に入れることができました。幸先の良いスタートになったと喜びました。
くりでんの乗車券はJR線では殆ど見かけなくなった「硬券」と呼ばれるキップが売られていますが、1日フリーキップも「硬券」で作られていました。

■唯一の電車の交差駅「沢辺駅」

くりはら田園鉄道は単線です。沢辺駅はくりはら田園鉄道線で唯一上り電車と下り電車が交差する場所になっています。沢辺駅で乗る電車を待ちながら、その交差する電車を見ることができました。栗色の電車が行き交う雰囲気も単線ならではの風景でした。乗客同士が手を振りながら見送る姿に心温まるものを感じました。

■ 始発駅の石越駅へ

くりはら田園鉄道には始発の石越駅から終点の岩倉マインパーク駅まで16の駅があります。途中、若柳駅、沢辺駅、栗原駅は有人駅になっています。
くりでんの出発駅である石越駅まで行くことにしました。その後、折り返して岩倉マインパーク駅まで行き沢辺駅まで戻ることにしました。
石越駅には行き止まり式のホームがあり始発駅らしい雰囲気が見せてくれました。数年前に無人化になったということでした。駅前には登米で有名な小麦粉を水で練った”はっと汁”を提供する”はっと亭”がありました。東北本線JR石越駅も隣り合わせていました。

■ 若柳駅

若柳駅はくりはら田園鉄道の拠点となる駅で有人駅です。構内には栗原電鉄時代の車両などが保管されているそうですが今回は車窓からその様子を眺めることにしました。建物は外壁を修理しているものの大正時代に作られたもので沢辺駅と同じ図面で作られたそうです。本社駅ということで窓口では記念グッズなども発売しているそうです。貸し自転車もあり町内を散策するには便利と思いました。

■ 栗原駅

栗原駅はくりはら田園鉄道で一番大きな駅舎です。駅前は住所が「岩ケ崎」と言われていることから地元の人は「栗駒」とは言わず「岩ケ崎」と言っているそうです。栗駒山へ行くための下車駅と思いました。ホームは遠足から帰ってきたという園児達で賑わっていました。

    
■ 終点駅の細倉マインパーク駅

平成2年に旧細倉駅から鉱山へ延びていた貨物線の一部を利用して、駅が移設され名前も細倉駅から細倉マインパーク駅へ変更されたそうです。近くには細倉鉱山の施設を利用した観光坑道や砂金堀、遊園地などがありレクリェーションで楽しめます。駅前には栗原電鉄時代に使用していた電気機関車や貨車が保存されていました。

■ くりでんに乗って

くりはら田園鉄道線は癒しの空間が電車の中にありました。穀倉地帯を走るローカル的な雰囲気もそうですが、1両または2両編成の電車、田園地帯の無人駅、木製の改札口や古びた長椅子、待合室に掲示されていた看板等どれを取っても味わい深く郷愁を感じさせられるものばかりでした。
ぎすぎすした世の中から解き放たれてくりでんのような電車との出会いもまた明日への活力になるかもしれません

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