8月19日(月) 新潟 ⇒ 富山

 

新潟6:42(426M)7:57長岡

 目覚ましのベルで起こされる。時計を見ると朝の5時。昨日は23時まで残業だった上に、帰宅してからも旅の準備やら何やらで、すぐに寝られなかったため体が重い。といっても、体が重いのは今にはじまったわけではないが、疲れがたまっているのがきつい。体が年とともに老いているのは否めない。それでも、いよいよ旅が始まるという軽い興奮が体をつつむ。家族を起こしてから、自分の持ち物の最終チェック。
 6時前に義父と義母が登場。義父にはバスで行くと伝えてあり、バスの時刻も昨夜調べてあるのだが、バス代がもったいないとのことで駅まで送られることになった。自分としては、最初から最後まで公共交通機関を使って移動するつもりだったのだが、そう言われてしまえば仕方がない。義母に見送られて家を出る。
 駅に着いたのは6時10分。乗る予定の電車まではあと30分もある。とはいえ、この電車を待つ時間というのも楽しみなもの。子どもたちにも旅立ち前の気持ちを味わってもらいたくて、早めにホームへ入る。6時42分発の長岡行426Mが発車するホームには、いかにも青春18切符族のような旅行者が2人いて眠そうにしている。新宿からのムーンライトえちごで来たのであろうか。そんな若者たちを見るにつけ、旅立ちにあたっての心の高揚を感じるのだが、フッと子どもたちを見るとゲームボーイなどをやっていて、まったく我関せずの体。
 6時半すぎに越後線方向から426Mとなる電車が入線してきた。いよいよ旅立ちである。先ほどの旅行者も乗るかと思っていたのだが、特に動きはなし。
 電車は定刻に発車。しばらくするとガラガラの車内をいいことに末っ子が2人分の席を使って横になって寝てしまった。娘2人は昨日、町内こども会のイベントでサントピアワールドという遊園地へ行ってきたとか。かなりの疲労モードにあるらしいことを教えられる。妻もいっしょに行って来たらしく、我が家で元気なのは息子のみ。ずっと飽きもせずにゲームボーイをしている。
 途中、妻よりコンビニのおにぎりを渡される。いつの間に買っていたのかと思ったら、義母が持たせてくれたらしい。そのコンビニ袋をのぞくとお菓子やらが満タン。とてもすぐには食べきれない量。電車での移動で、乗り換えも多いため、荷物を減らしてきたというのにとんだお荷物。とはいっても提供してくれたものはありがたい。と感謝していたら、袋の底から大きなサラダが登場。夏も終わりに近いとはいえ、生ものを持ち歩いて大丈夫だろうか。
 天候は台風13号の影響か今にも雨が降り出しそうな感じ。こんなガラガラなのに長い編成でいいのかと思っていた車内もだんだんと混んで来て、定刻の7時57分に長岡駅4番線へ到着。

 

長岡8:09(1330M)9:41直江津

 次の電車は約1時間半の乗車となるため、ここでトイレに行っておきたい。長岡駅のコンコースに上がったがトイレは見当たらず。改札にいた駅員にたずねると、1番ホームにあると教えられた。かなり不便な場所にあるトイレ。狭い階段を上り下りしなくてはならない。用をたしているうちに、次に乗る予定の電車が入線。
 今度の電車は3両編成。乗車してみると各ボックスに1人から2人が座っていて、空いたボックス席はなし。妻と娘は車両の端のドア横の席へ、息子は反対側のドア横の席、私は各ボックスを見渡してミニスカートの女性が一人で座るボックスに腰を下ろす。ところが、この女性はビックリするぐらいすごい厚化粧。何もそこまでファンデーションを塗らなくたって・・・と言いたくなるほど。
 電車は定刻に発車。次の宮内でかなりの乗客が降りるも、ボックス席は空かず。その後はほとんど客の乗り降りはなし。のどかな田園風景をながめながら電車は進むも、ついつい厚化粧の女性が気になる。いわゆる怖いものみたさというものか。
 柏崎に8時51分到着。ここでも多くの乗客が下車。やっとボックス席が空き、息子とそのボックスへ移動。やはり進行方向に向かっての窓側の席に座るとホッとする。さらに次の鯨波で別のボックス席が空き、そちらは海側なのでさっそく移動。前方の空席に足を投げ出してゆったり。ここから海沿いを走るので眺望はバッチリ。空は曇っていて、今にも雨が降り出しそうなのだが、それでも海を眺められるのは気持ちがいい。
 柿崎に9時13分到着。ここで金沢行きの特急「北越2号」待避のため6分間の停車。ホームに出て体を伸ばしたり、電車の写真を撮ったりしていると、向こうのホームに新型車両の特急が入線。向こうの特急に乗れば11時20分に金沢に着けるが、我々が金沢に着くのは12時35分の予定。自分が座っているボックスに戻ると向かいの席におばあさんが2人座っていた。
 犀潟に到着する前に、ほくほく線が合流してくるようすをビデオに撮っていたが、撮影を終えたとたんにほくほく線の列車とすれ違う。もう少し長く撮影していれば、その列車のようすも撮れたのに残念。ところで、同席している2人のおばあさんだが、そのうちの一人がずっと愚痴を言い続けている。やれ嫁がどうだとか、旦那がどうだとか。それがよく聞こえてくるので、こちらも辟易。
 電車は9時41分に直江津に到着。厚化粧の女性も結局ここまで乗車していた。跨線橋をわたって隣りのホームへ移動。

 

直江津9:45(544M)11:30富山

 ここでの乗り換え時間はわずかに4分。急いでいるわりに、ビデオを撮りながら次の電車に乗り込み座席の確保。さらにもう少し時間があることを確認してから、電車を降りてこの電車の写真を撮るためにホーム前方へ。カメラを構えてから気がついた。この電車は今まで乗りたいと思っていた車両だということを。
 この車両はいわゆる昔の寝台電車を改造したもの。何回か見かけてはいたのだが、乗る機会がなかったのだ。車内は、もともと3段式のベッドが設置されていたぐらいだから、天井が異様に高い。そして、座席はベッドになるだけあって間隔が広くゆったり。
 今度は空いたボックス席を1つ確保。しかし、5人は座れないので、おじさんが1人で座っている向かいのボックスにもお邪魔させてもらう。車内は、1つのボックスに1から2人が座っているといった状況。電車は今度も3両編成で、乗車したのは先頭車。
 電車は定刻に発車。前面展望ができるので、小さい窓から前方を見る。複雑に入り組んだ線路を、北陸線方向にすすんでゆく。わずか6分の隣り駅「谷浜」でまとまった客が下車。自分のボックスのおじさんは下車しなかったが、周りのボックスが空いたので移動する。車窓は県境が近いからか、トンネルと海が交互にやってくる。
 10時02分にトンネル駅である筒石に停車。このようなトンネル内にある駅は地下鉄をのぞいて、全国に数ヶ所しかない。そのうち、今回の旅行でこの「筒石」と「土合」、「湯檜曽」の3駅を通ることになる。こんな(といっては失礼に当たるが)トンネル駅から女子高生と思われる乗客が乗車。
 こういう駅があることを妻に教えようと車内を探すがトイレにでも行っているのか見当たらず。相変わらずゲームボーイに熱中している息子にたずねると「あそこで寝ているよ」と指をさす。その指し示す方向を見ると、ロングシート上にバスタオルをかけて横になっている人間。さっきからその存在に気がついてはいたのだが、どこかの酔っ払いかと気にも留めなかったのである。まさかそれが妻とは驚き。車内が空いているとはいえ、堂々とロングシートの座席に横になって眠ることができるなんて・・・。
 そんな妻も、次の能生を出るころには起きてきたので、暇にまかせて時刻表の見方をレクチャーする。糸魚川に到着しても乗客の目立った動きはなし。10時32分に親不知停車。海が荒れているのがわかる。そして富山県に入ったら、とうとう雨が降り出した。
 そのうちに末の娘が「気持ち悪い」。ずっと下を向いてゲームボーイばかりしているせい。でも妻についてトイレに行ってきたら直ってしまったようで、またゲームボーイをはじめた。妻からは、トイレが汚かったと報告。雨は泊あたりでやんだが、その泊から乗客が増えてくる。ボックスシートが多い上に、出入り口が狭いので徐々に電車が遅れだした。
 富山まであと2駅となった水橋駅に着く直前、妻の携帯電話が鳴る。車内放送で、「携帯電話の使用はまわりの乗客の迷惑になるのでご遠慮ください」と言っているのに堂々と会話をしている。誰からの電話かと思ったら、いつも妻の店に来てくれるお客さんから。今日はどうして店にいないのかと、心配しての電話らしい。富山平野をながめながら、結局、2分遅れで11時32分に終着富山駅へ。