8月24日(土) 高崎 ⇒ 新潟

 

高崎12:18(上越線・735M)13:19水上 

 次に乗る予定の電車は5番線から出るので、跨線橋をのぼってホームを移動。末娘から「おなか減ったー」と言われ、跨線橋上で売っていた駅弁を少し迷ってから購入。実家を出るときに、母がおにぎりを作って持たせてくれたので、駅弁の購入をためらっていたのだが、この旅ではあまり駅弁を食べていないこともあり4つも購入。「ハローキティのだるま弁当」を2つと、「あさま」と「とりめし弁当」を1つずつ。
 ホームに下りて階段下で電車を待っていたら、12時04分に水上行きの電車が3両で入線してきた。その際、ホームの線路側ギリギリを歩く人が多いのに驚く。電車も警笛を鳴らすでもなく、思わず「危ないなー」と声に出してつぶやいてしまう。
 電車は停車後に車内清掃をするとかで、いったん扉が閉まる。ホームに多くの乗客を見ていたが、実際に電車が来て扉に集まる人数は思ったほどではない。扉が開いてから2つのボックスを難なく確保。もちろん8席を確保したわけではない。
 席を確保した後にさっそく駅弁を開く。自分は母の作ってくれたおにぎりの方を優先的に食べていたが、だんだんと車内が混んできたため、恥ずかしくなり途中でヤメ。子どもは気にせず食べ続ける。
 かなり車内が混んできたところで発車時刻となった。自分のボックスは大学院生風のカップルがいっしょで、妻たちのボックスにはかなりイケイケの女性が座る。そこまで短いミニスカートでいいのか?ってぐらい。でも顔は私好みではないのでワクワクせず。などと思っていたら、妻の駅弁が手渡しでやってきた。駅弁が前にあるのに食べないわけにもいかず、混んだ車内で食す。
 車内はだんだんと立っている人がいなくなっていったが、席が空くほどではない。車窓はだんだんと山の中に入っていき、景色が良くなってきた。川に沿ったり、田園の中を走ったりで気分がいい。自分が車で新潟と東京を往復するときに、関越自動車道を使わず国道17号線を走ることがある。その道中でも群馬県の渋川から三国峠の入り口付近までが一番好きなのであるが、電車でも同様にこの区間が気持ちがいいことに気づいた。

 

水上13:33(上越線・1741M)15:37長岡 

 水上に着いて電車を降りると、すでに乗り口に数人ずつの列ができていた。例のイケイケが何も考えずにノホホンとその列の前につこうという行動に出たら、並んでいた50代の男性から「ちゃんと並べよ!」と注意が飛ぶ。
 ここでの乗り換え時間はわずかに14分しかないので、次の電車は水上のホームの向かい側に停車しているか、もしかすると高崎からの電車がそのまま長岡行きになるものだと勝手に思っていた。しかし、乗ってきた電車はそのまま行ってしまうし、ホームの向かい側はない。跨線橋を渡ったホームには青い客車が停車しているだけ。
 ここ水上から越後中里の間は、普通定期列車が1日に5本しかない。今日は臨時に11時35分発の新潟行きが運転されているが、通常は13時33分発の電車と前の電車との間隔が3時間半以上も開いている。まあ、それだけ乗客が少ないのであろうが、もし座れないと長岡まで2時間も立ちっぱなしとなる。そのため、もし座れなかったら越後湯沢で始発の電車に乗り換えようと考えている。
 どうなることかと思っていたら、13時25分に入線してきた3両の電車に乗り込んでも座席は満席にならず。若干ながら空席もある状態。自分が座ったボックス席は、どこかの青年と二人だけ。後方を振り返ると家族はしっかりと4人で一つのボックスを確保している。妻が席をはずした隙にそのボックス席に移動。すると自分が今いたボックス席に、3人連れの客が移動してきた。見ていると、その3人連れに気おされたのか、青年は別の席に移っていってしまった。自分が移動したためにその青年に迷惑がかかったようで後味が悪い。3人連れは勝ち誇ったかのようにビールで乾杯をしている。ここでもやっぱり団塊の世代は見苦しい。
 電車が発車すると妻から「発泡酒くださいと言ったら、無いと言われた」とビールを手渡された。妻は向かいの登山帰りの老齢夫婦(?)のボックスに腰をかけている。
 外を見ると鉄橋で利根川を渡るところで、昔この風景を見た覚えがあることに気づく。そしてその鉄橋を越えたらグッと山の中に分け入っていくという感じになってきた。その風景を見ながらビールを開ける。疲れた体に心地よくしみていく。子どもは駅弁のつづきを食べ始め、自分はつまみ代わりに母のおにぎりをパクつく。
 水上の次の湯檜曽駅はすでにトンネルの中で、その次の土合駅とともに新清水トンネルに突入している模様。だんだんと窓が曇っていき、車内もかなり涼しくなってきた。その窓に向かって、娘がトロの絵を描き始める。それにしても長いトンネルで、いつまでたっても外に出ない。
 10分以上かかって外に出ると電車は駅に到着するところ。なんという駅に停車するのかと思い、曇った窓を手で拭くが、まったく曇りは取れず。かすかに「土樽」という文字が向かいのホームの駅名板に見てとれた。
 次の越後中里を出ると、線路脇のスキー場に旧型客車が並んでいるのが見える。2編成あって、1つは10両編成以上もある。雪のシーズンには休憩所にでもなるのだろうか? まさか宿泊所ではないと思うが。空はだんだんと晴れていき、景色が生きてきた。
 越後湯沢に14時07分に到着すると乗客がドッと降りてしまい、車内が閑散としてしまう。ここで14分の停車。その間に、向かいのホームから北越急行線の普通電車まつだい行きが発車していった。妻はビールが欲しいと言うので、買ってきたらいいとすすめたが、発車してしまったら嫌だと腰を上げず。自分も発車しないと分かっていたが、妻の言葉に影響されて電車から離れられず。
 越後湯沢を出ると、電車はしばらく魚野川に沿って走る。天気も良くなってきていて気持ちがよい。空いているのをいいことに、妻と別のボックスに移りいろいろとおしゃべり。そういえばこの旅では、家族とよく会話を交わした。とくに普段あまり話さない息子といろいろな話をした。そういった意味では電車の旅もいいものだと思う。
 電車の心地よい揺れと、ビールの軽い酔いでいつしかウトウトとする。のんびりと電車に揺られて、会話を楽しみ、うたた寝を楽しみ、電車での旅の良さを再認識した。
 いつしか電車は小千谷にさしかかり、まもなく長岡が近いことに気づく。しばらく走っていると左手から信越線の線路が近づき、やがて合流。そして宮内に到着した。これで新潟を出てから5日目にして一周してきたことになる。そして長岡に定刻よりも若干早く到着した。

 

長岡16:04(信越線・445M)17:17新潟 

 不便な場所にあるトイレに行って戻るときに売店をのぞき、菓子などを物色。駅弁を買おうという気にもなるが、お金がもったいなくて今回はパス。先ほど水上からの電車を降りた3番線ホームに下りてしばらくすると、15時53分に新潟行きの電車が入線してきた。しばらくぶりの長い編成。そしていよいよラストラン。
 発車すると、妻より本日2度目のビールの差し入れ。そのビールを飲みながら、この旅を妻と振り返る。何が楽しかったといっても、妻的には大阪の食べ物が一番とのこと。とくにたこ焼きが美味かったが、あと2件はめぐりたかったらしい。ただ、お好み焼きを食べられなかったことは残念とか。また、ビールを気兼ねなく飲める電車の旅もなかなか評価が高かったらしい。
 気がつくと妻は、ビールのつまみに大阪土産のお好み焼きせんべいを開けている。せっかくここまで封を開けずに持って来たのに・・・。妻いわく、東京のもんじゃせんべいよりも美味いとか。自分的にはどっちも同じような気がするのだが。
 そうこうしているうちに新潟駅が近づき、車内もだんだんと混んできた。そして、定刻に新潟駅に到着。到着したのは、初日に新潟を出発したのと同じ1番線。家族全員無性にクレープが食べたくなり、駅構内のクレープ屋に並んでクレープを食す。義父から新潟に着いたら電話するように言われていたので電話をかけると、クレープを食べ終わって外に出たところ、ジャストのタイミングで義父登場。
 長かった1週間も、あっという間に過ぎ去ってしまった。またいつか大阪に旅行へ行くことはあるであろうが、この過ぎ去った1週間の旅は二度と戻ってこない思い出となると思うと、なんだかちょっと寂しい気がして・・・。