俺の想い出格納庫


最終更新日:2004.01.24

大人になんか、なりたくない!
長距離男(その1)
 
 
 学生生活も残す所あと僅かとなった年の瀬、高校時代の友達であるGが、俺(-_-)y-~に壮大な計画を持ち掛けてきた。


 その計画とは、「(G所有の)自家用車で、長野県に居るTと、京都府に居るBの所へ遊びに行く」というモノ。
 当時運行されてた岩内〜直江津のフェリーで本州へ乗り込み、直江津〜長野。そしてTを乗せて3人で長野〜京都。Bの家で年越し。そして京都にBを残して、3人で京都〜長野〜直江津〜(フェリー)〜岩内〜道内某所の実家…。行程の大半がフェリーではあるものの、自動車旅行としてはかなり壮大な計画だった。


 この計画が正式決定した後、現地で待つTとBから、それぞれ依頼があった。Bの依頼は、「実家から食料品を中心とした荷物を持ってきて欲しい」と云うモノ。大した量じゃないので、コレはまあ問題無い。

 Tの依頼は、「自動車の後部座席を持ってきて欲しい」



 すごい依頼だ。T曰く、「後部座席が無いと車検が通らない」との事。荷物を大量に積むために外したのはイイが、そのまま実家に置いて長野まで戻って来てしまったらしい。


 とにかく、Gと俺(-_-)y-~は現地で待つ2人のために、大量の荷物と、期待と不安を車に積み込み、4人の実家のある、とあるマチを出発したのだった。



12月28日 ?時

 その日の天気は非常に悪く、日本海は大荒れだった。乗り物(特に船)に弱い俺(-_-)y-~は不安で一杯だった。Gが「酒飲んで寝てしまえば大丈夫だ」と、不安を取り除いてくれた(?)。



12月28日 22時

 岩内フェリーターミナルに到着。が、どうも様子がおかしい。とっくに入港してるはずのフェリーの姿が無い。出発待ちの乗客の姿も無い。
 ターミナル窓口に係員が一人だけ居たので、Gが恐る恐る訊いてみた。

G:「すみません、今日のフェリーは………」

 この時点で、ある程度の覚悟は出来ていたが、係員の答えは…

係:「欠航です。予約されてた御客様には電話でお伝えしたのですが…」


 Gは、欠航が決定する前に自宅を出てしまったので、その電話を受けることが出来なかったのだ。呆然とするGと俺(-_-)y-~。


 さて、皆さんが我々の立場ならどうするだろうか?「この時点で引き返す」という方が大半だと思うのだが…。

俺:「…どうする?」

G:「…行くしかないだろ」

俺:「…そうだよな」

 なんと我々は、考える間もなく続行を決定してしまった。係員に函館〜青森のフェリー(同じ会社)が平常通り運行してる事を確認し、そそくさと函館へと向かってしまったのだ。

 途中、TとB・彼らの実家に電話して、行程の変更を伝える。みんな冗談だと受け取ってしまった。



12月29日 2時

 函館フェリーターミナル着。青森行きのフェリーが出発間際だったので、慌てて乗船手続きを済ます。



12月29日 7時

 青森フェリーターミナル着。正直、此処までは勢いで来てしまったが、これから車で長野まで行くとしたら、一体どれだけ距離があって、どれだけ時間が掛かるのだろうか?それらが全く想像出来ない事に気付き、俺(-_-)y-~はほんの少しだけ後悔する。

 ルートは、日本海側廻りで行く事にした。金が無いので東北〜外環〜中央自動車道ルートはボツ。他に近道があるかも知れないが、何せ2人とも初めての道。一番解りやすいだろうという事で、まずは秋田へと向かう。

 道路標識に表示されてる中で、一番遠い土地が秋田。約220km。そこから先は未知の世界である。その先の新潟や、最終目標の長野までの距離が皆目見当付かない事に、不安がどんどん大きくなってくる。


 ただひたすら日本海沿岸を走り続ける。走っても走っても長野が近づかない。だんだん2人とも無口になってくる。



12月29日 12時

 某所で昼食。ラーメンを喰う。激マズだった。
 地元民と思われる他の客は美味そうに喰ってた。なぜだ?
 ラーメンを提案した事をGに謝罪する。



12月29日 18時

 ようやく新潟県内。Tに電話。

俺:「あと2〜3時間で着くと思うから、解りやすい場所で待ち合わせしよう」

T:「え??本当に来たの???」

 この調子である。100%疑ってたワケではないけど、まさか本当に青森から来るとは思わなかったらしい。Tにしたって、我々がいつ到着するか想像つかなかったのだろうし。



12月29日 21時

 長野県某所。後部座席の無い車に乗ったTと落ち合う。3人揃って、その場で5分程バカ笑いをする。もちろん感動の笑いである。フェリー約4時間を含むものの、ほぼ丸一日車での移動。その殆どを運転してたGは流石に疲れた様子。早速Tの家へ向かい、大酒喰らって就寝。



12月30日

 この日は、平和に長野県内観光。松本城を見たり、温泉に入ったりと、のんびりゆったり過ごす。しかし、この日が唯一の「のんびりした日」になろうとは、この時点ではGもTも俺(-_-)y-~も気付いていなかった。



12月31日

 京都で待つBの家へ移動する日。Bからは「(年越し蕎麦用に)信州蕎麦を買ってきて欲しい」との要望があったので、Tの案内で御土産店へと立ち寄る。

 俺(-_-)y-~がアレコレ蕎麦を選んで、二人に見せてみた。


俺:「蕎麦、こんなのでイイかな?」

G:「何考えてんだ、バカ野郎!!」

T:「そんな蕎麦買って行ったら、Bに失礼だろ!!」



 …いきなり怒られてしまった。一体、何が悪いというのだろう?



G:「まったく、お前(俺(-_-)y-~)はセンスが無いな」

T:「コッチにイイ蕎麦売ってるから、来い!」



 言われるがままに連れて行かれた先には、確かにイイ蕎麦が売っていた。





 しかし、ソレは蕎麦ではなく、蕎麦粉だった。


俺:「え??コレを買ってくの?」

G:「蕎麦買って来いって言われたんだろ?」

T:「蕎麦と言えば、蕎麦粉だろ!自分で蕎麦打たないとダメだろ!」

G:「そんなの常識だろ!ねぇ?T」

T:「そうだ。Gの言うとおりだ!」


 ホントにそんな事でイイのだろうか?(笑)


俺:「誰が蕎麦打つの?」

G:「みんなで打つ」

俺:「誰か打ち方知ってるの?」

T:「大丈夫だ。何とかなるって!」



 …俺(-_-)y-~は、青森に降り立った時以来の不安を感じた。


 俺(-_-)y-~の不安をよそに、長野から京都へと出発。「長野から京都」などと簡単に言ってるが、長野〜京都は約400kmある。青森〜長野の長距離ドライブで、距離感覚が少々麻痺してしまったらしい。


(その2)へ続く

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