俺の想い出格納庫


最終更新日:2004.01.24

大人になんか、なりたくない!
長距離男(その2)
 
 
(その1)からの続き


12月31日 夜

 京都府内にあるBの家へ無事到着。Bの実家から預かってきた荷物と共に、問題の蕎麦「粉」を渡す。

B:「蕎麦って、コレかよ!!」

 案の定、Bは呆れ返ってしまった。しかし、此処でめげるGとTではない。早速蕎麦を打ち始めた。

 当時の写真を見ると、GとTが満面の笑みを浮かべて蕎麦を手打ちしている。何物にも代え難い、素晴らしい想い出なのは確かだ。しかし、蕎麦の打ち方としてはどうなんだろう?


 出来上がった蕎麦を食してみた。饂飩よりもコシがあり、年越し蕎麦に於いて良しとされている「細く長く」とは正反対の、「太くて短い、ガチガチに硬い蕎麦」だった。紅白歌合戦を観ながら食べる硬い年越し蕎麦。コレも素晴らしい想い出となって、俺(-_-)y-~達の心の中で輝き続ける。



1月1日

 昼頃まで惰眠を貪る。

 みんなでぼけーっとテレビを観るが、最高にツマラナイ。何かしようにも、Bの家には遊び道具が無い。

 誰かが言った。「ドライブでも行く?」


 この案は即座に採用されたのだが、此処からが悪夢の始まりだった。

 何と、行き先の案として九州が挙げられてしまった。しかし、九州まで行ってしまうと、流石にGが「仕事始めに間に合わない」との事で、妥協しつつ四国を目指す事になった。



1月1日 夜

 生まれて初めて瀬戸大橋を渡り、生まれて初めて四国へ上陸する。運転手交替順番の関係上、俺(-_-)y-~が瀬戸大橋〜四国を運転する。コレもまた素晴らしい想い出。瀬戸内海域は風が異常に強く、何度も風に煽られた。

 そして瀬戸内海側から太平洋側への移動中、道路に狸が飛び出してきた。慌てて急ハンドル・急ブレーキ。寝てた3人を起こしてしまい、大顰蹙を買う。



1月2日 早朝

 室戸岬へ到着。更に風が強くなっていたが、日の出は最高に美しかった。初日の出じゃなくても、充分に御利益の有りそうな日の出だった。


1月2日 昼頃

 徳島県内に入る。大鳴門橋を通って淡路島へと渡り、船で本州へ再上陸する(当時は明石海峡大橋が未開通)事になっていた。その後は、Bを京都の家へ送り、GとTと俺(-_-)y-~の3人で、来る時は欠航で乗れなかった直江津〜岩内のフェリーで北海道へと戻る計画だった。





プルルルルルルル…


 突然、Tの携帯が鳴り出した。Tのオフクロさんからだった。







 電話を終えたTが、青ざめた表情で電話の内容を話し始めた。


T:「直江津〜岩内のフェリー、悪天候で欠航だってさ……」



 全員、顔面蒼白。一体どうやって北海道へ戻れば良いのだろうか??


俺:「また青森まで行って、函館に渡る?」

G:「それしか無いよな……」


 あれだけウンザリさせられたはずの長距離移動が、またしても敢行される事になってしまった。

 いきなり時間に余裕が無くなってしまった我々は、淡路島観光もそこそこに早々と京都へ向かい、Bと別れて長野へと向かった。長野で一泊し、Tの荷物を積み込んで、早急に青森へと向かわなければならない。



1月3日 早朝

 早起きして、早々と長野を後にする。

 Gの愛車の走行距離は、道内某所の実家を出発してから、既に5,000kmを超えている。その間、殆ど休み無し。大丈夫なのだろうか?



1月3日 夜

 その心配は残念ながら的中してしまった。

 走行中、Gが車の異変を訴えた。


G:「何か変な音がする……」


 おおよそ正常とは思えない、「カタカタカタカタカタ…」という音が車体下部から聞こえてきた。しかし、既に辺りは暗く、異常を確かめる術も無い。


 異常音が気にならないよう、大声で喋ったり、大音量でCDをかけたりと色々誤魔化しながら青森へと到着。


 この頃には、3人とも距離感覚が完全に麻痺しており、まだ北海道にも渡ってないのに、口を揃えて

G:「此処まで来れば、もう(実家に)着いたも同然だよな?」

T:「もう余裕余裕!」

俺:「日本って、意外と狭いよな?」

などと好き勝手な事を言っていた。



1月4日 早朝

 フェリーで函館へ到着。3人共すっかり実家へ着いたかのような気分。



1月4日 某時刻

 これまで気の遠くなるようなドライブを続けてた所為か、青森到着時の戯言を実証するかのように、爽やかな気分で実家のある某所へ到着。





 俺(-_-)y-~の人生の中でも、3本の指に入る素晴らしい想い出になりました。



発案者であり、誘ってくれた最高の友人G、ありがとう。
一緒に想い出を創ってくれた最高の友人T・B、ありがとう。




***



※後日談


 素晴らしく、楽しい旅行の余韻も過ぎ去ろうかと云うある日、Gから電話が掛かってきた。


G:「車が完全に壊れた」


 Gに似て頑丈なGの愛車も、休み無しの強行軍には耐えられなかったようだ。
 Gよ、申し訳無かった。

もう少し妄想の世界に浸る(大人になんか、なりたくない!)
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