荒木飛呂彦インタビュー

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あまり気の利いたこと言えないと思うんですけど。(笑)

Q.作家生活25周年を迎えた感想は?

あっという間の25年というのが率直な感想で、でもこう、作品とか見返すと、なんかもうね…。ファントムブラッドあたりは、なんか他人の作品のような気がするんですよね。うん、そういうのが、率直な感想で。だからこう、読んでて冷静に読めるっていうか。うん。なんかファンみたいな感じで読めます。ええ。

Q.過去の作品を読み返すことは?

あんまりないですけど…。やはり、こういう、ゲームになったりするときはちょっと見たりとか、したりすると、おお、こんなこと書いてたのかとか。スタンドとかっていうの出てきた時には、もう、なんか忘れてたりしたりするんですよねキャラクターが。

と、なんとかって言われて、えっ、ど、どいつだっけみたいな。で読み返して、あぁあぁ、いた。みたいな。そういうなんか、うん。読者の方がよく知ってるみたいな感じになってますけど。

Q.来年は「ジョジョ」が20周年を迎えます

ま81年のお正月みたいな感じに、デビューさしてもらったんですけど、それって、なんかね、自分の中ではあいまいな感じ、だったんですね。なんか漫画家として、こうイメージができてないっていうんですかね。どんな漫画家になろうっていうのがね、こう、はっきりと…なんか漠然としてたっていうか。

で、たまたまなんか手塚賞に入選させてもらった、って感じなんですよね。なんか自分でこう、賞に奪い取ったって感じじゃないんですよね。だから、そっから修行が始まったって感じなんですよ。で、あの…ほかのジャンプの作家さんとか見てると、こう圧倒的に個性とかが、すごいあってて。

で自分は、どんな絵書いたらいいんだろうなーとか、どんな作品書いたらいいんだろうなーって過ごしてたのが、ジョジョまでなんですね。ジョジョでプロになったのかなっていう感じが、自分ではあるんですよね。うん。なんかこう開けた感じがするんですよ。目の前が。

Q.「ジョジョ」はどのようにして生まれた?

当時、映画とかやっぱ、好きなんで。シルベスター・スタローンとか、アーノルド・シュワルツェネガーとかっていうのがちょっと流行ってたんですね。で、なんかそれって肉体的なキャラクターなんですよ。

で、その肉体がもうムキムキで、いちばん強い人間てなんだろうなとか、そういうふうになんか子供的に、誰…この世で最強の人間というのはどういう人なんだろうなっていうのをこう、考えたときに、あの、始まったのがその、ジョジョっていう。

で、その…不老不死だとか、あの命を追究したりだとか、正義だとか、なんかこう人間が――なんだろう、人間的に――追及していくもの?そういうのをテーマに書こうっていう…ので始まったのが、そのジョジョの第一部っていうんですかね。

その、不老不死とか、そのあの肉体…そのバキバキで、どこまで強くなれるんだとか、そ、そういうのを追ってったっていう。感じですね。それで、あとは…その、あのイタリア旅行がちょっと前とか、2年ぐらい前にあって。

そういう時にその、イタリアの美術っていうのが、その、なんか人間の美しさみたいなのを追究してんですよ。ま、皆さんご存知かもしんないですけど。それを、こう本物で見たときに、あぁ、なんかここ、これに行こうみたいな。んで、そこで開けたって感じの、作品なんですよね。

Q.「ジョジョ」という名前の由来

あ、あれこれ、ゆっていいんですかね。ちょっ、あの……。打ち合わせしてる場所が…。あの、ファミレス…なんすよ。んで深夜とかに打ち合わせしてるじゃないですか。それで、あの…あ、ゆっていいんすかね。ジョナサン、で打ち合わせしてたんですよ、うちの近所にあるんすけど。あったっつーか。ええ。

でまあ、ジョナサン何とかにし…しよう、みたいな感じで(笑)。で、スティーブン・スピルバーグとかってこう、SとSでこう、なったりするじゃないですか。うん、ああいう、こう韻を踏むじゃないけど。で、ジョナサンだったらまあ、ジーェ…ジージーでいくから、え、じゃあジョースターとかにしようかなみたいな。

でもねえ、そっ…あれは、超…あの小、あの少年漫画では冒険で、あの外人の主人公は絶対、タブーだったんですよ。ええ。なんか、そういう時代だったんですよね。ええかなり冒険だっ……。なんか当時の担当さんにはほんと感謝してますほんと。はい。ええ(笑)。

Q.宿敵「ディオ」の誕生について

すごいこう、自信満々で傲慢なんですょね。そいで…ま自分は、神を目指してるっていう感じですよね、まやっぱり。世界の頂点。で、あの、まあ、イタリア語とかにこうディオっていう――ま、神様みたいな…のを示す、言葉があって、それと、あと…ヘビメタのディオ…で(笑)。

あのヘビ…ヘビメタ好きなんで。あの、ロック、あロックが好きなんで。そういうのでかけて、そういうキャラクタ作ってったって感じですかね。で、白と黒の対決とか。正義と悪とか。象徴的に作ってったキャラクタなんですよね。

第一部 ファントムブラッド

Q.当初の構想はどのようなものだったのか

第一部を書き始めたときっていうのは――あの、先祖から行くっていう。なんだろな、エデンの東とかね、ああいうのがちょっと好きだったんですよあの…あと…あのテレビでやってたルーツとか。主人公が変わるんだけど、こう、なんか続いてるんですよ。

あのアメリカのそういう大河ドラ…マみたいな。大河小説みたいのがあって、で、現代にとにかく行こう、っていうので、ちょっと…なんかが…ジャンプ的じゃないなとか思ったんですけど。なんかそういう、誰も書いてないところを行くのも、いいのかなと思って。始めたっていうんですか。

それであと、あのー。僕ぁその、すごく尊敬してるのにバビル二世っていう漫画があって。横山光輝、先生の作品なんですけど。それっていうのは、ルールのもとに戦ってくんですよ。もう、あの、なんかルールがあるんですよ。うん。だから、ジョジョのストーリー上のたた…あれも、ルールがほしかったんですね。

で波紋っていうのはそういう、ものだったん…ものっていうんですか?で、あの超能力ってこう、目に見えないじゃないですか。こう、うーって念じると、バンって割れたりとか…ってこう、見えないっていうか。

だけどこう…漫画なんだから、絶対絵にできるはずだと思って、あの読者にとにかくわかりやすいように、あの、どういう超能力なんだろうっていうので、作ったのが、そ…なんか、は、はも、波紋っていうんですかね。ええ。でまあ、こう波紋が広がるように、なんかこう徐々に広がるようにみたいな駄洒落じゃないすけど…ええ。そういう感じですね。ええ(笑)。

ジョナサンはかなり、なんか、今見るとほんと、いい子過ぎるな、みたいなね。今書くとしたらね、もっと、ジョナサンの心の弱いところとかね、うんなんかそういうところも書いてったんだろうけど。そういう感じになってますね。

第二部 戦闘潮流

Q.ジョセフの性格は第一部の反動から?

…っそうっすね。あ、あとあん時にもちょっとね――やってはならないのは――その手をっていうのは、その、主人公を死なせるっていうのも、ちょっと、ひとつの禁じ手だったんですけど。ま、それ…を、こう、ちょっと踏まえ…るかどうかの決断がまずあって。で、主人公を殺そうみたいな。

話になっ…あの、打ち合わせで、なって。そした時にやっぱキャラクター、がらっと変えよっていうか。で、一部で、描かれてない部分を二部でやり、やって。二部で描かれてない部分を三部でやるっていうふうに。あの、そういうふうに、こう考えてたんですね。で三部まではあったんです。

あの、あの、ストーリーはね。ええ。そういう感じなんで、完全に一部のジョ、ジョナサンと違うっていう意味で、あの、ジョセフを作ってったんですけど。でも肉体派っていうよなところは変わんないと思うんですよね。

Q.ディオは第三部から復活する予定だった?

いったん死んでねなんかね復活してくるところがねとにかくね、書きたかったんですよ。んーだったらちょっと…間がね、やっぱないとねまずいんですよね…うん。

第三部 スターダストクルセイダース

Q.「波紋」から「スタンド」に変わった経緯は?

…や、やっぱり波紋っていうのもこう、絵にしようとして、いったんです…けど。ま絵にしようとしたものなんですけど、スタンドっていうのも、あの…あの、その超能力を絵にしようとしたんですけど。あの、なんだろうなー。

うん、とにかくなんかこっ、こっからパンチが――打ち合わせしてた時の出来かたっていうのはね、次のどういう――あの、編集者とやってて、次はどういうあれなの波紋とかもう使えないよ、って言われたの。

え、じゃあ、こっからパンチが出てきて割るんですよってゆったら(笑)、なんか理解してくんないんですよ、えっなんだそれ、みたいな。えっ、だからなんつんだろうなーみたいな。

んーなんか守護霊みたいなのがいてですね、こう出てきて割るんですよ、それが、ジョウあの(註:承太郎の)…新しい能力なんですよっていう感じで。あの最初ね、ほんとね、誰もあの理解してくんないの。

…とにかく…あの…あぁそれやると、あの、なんか、いろいろキャラクターかけると思うんですよ、っていうふうに、あの、緑色のパンチもあれば、あとなんかとげとげ…しいものも出てきて、あの、絡ましたりもできるし、なんか、波紋とは違っていろんなバリエーションができると思うんですよ、っていうことで、あの始まったの…が、スタンド。

で、あの第一回目読んだ人はね、ほんと何が何だか分かんなかったんじゃないかなと思うんですよね。ええ。どうやって説明しようかっていう…うんそういう、ところ…が、あのスタンドにはちょっとあって。ええでもなんか…キャラクターがいっぱいあるから、なんか無限に描けるなと思ったんですよね。ええ。いっくらでもこれアイデア出るよと思って。なんかね、こう、んー。金鉱を掘りお…当てたみたいなね、誰も金だって言わないけど。おぉこれ見つかった掘ったよー、みたいな。そういう感じでした、けど。ええ。

第四部 ダイヤモンドは砕けない

Q.第四部以降の構想というのは?

えっとあれは…。第三部っていうのはこう、一種のロールプレイングゲームの形を取ったストーリーなんですね。双六ゲームみたいな、ここ行く、ここで戦っていく、っていう。あの、80日間世界一周っていう小説あるんですけど、それの影響で、あのー、作った話なんですね。そうすると、敵っていうのは、主人公たち、承太郎たちを攻撃してくるタイプなんですね。

で、待ち伏せはしてるかもしんないけど、そうするとね、アイディア出した時に、ずっと待ってる奴らが…アイディアがあったんですよ、こう、家ん中でずっと潜んでて、お客さんがやって来たときに、こう、なんか襲う、みたいな。クモ、クモ的な性格を持ったアイディアっていうのが、ごろごろって、ちょっと余ってて。

で、この辺、ちょっと使えるようにしようってしたのが、じゃ町、町でそういうふうなのがいたら、いいんじゃないか、ってことで。で、あと、なんだろうな、あのー…。いろんな事件があって、あのー、シリアル殺人の事件が当時ちょうど、あの…話題っていうか、超、日本中に衝撃を与えてて。隣に住んでる人がもしかしたら殺人鬼かもしれないっていうような、雰囲気もぴったりだし、町にそういうスタンド使いがいっぱいいるように配置しようと。

そういうので生まれたのが、四部なんですね。だから三部…のまた、ちょっと違った。二部の違ったので三部で、三部の違ったのが四部。っていうふうにした。っていうのが、ええ、ジョジョの作り方なんですよね。…ええ。だけどこう、なんだろ、あの…架空の世界、っていうか三部まで、神話の世界だったんですね。

だけどこう、日常の隣の人をこう、描くような感じになったので、すごいね、仗助っていうキャラクターにはね、すごいこう、なんか親近感があって、あの僕はベストワンなんですよね。あの仗助が一番好きなんですよ。あの、すごく楽しかったんですよね。なんか友達みたいな感じ。あの承太郎っていうのはなんかね、憧れの人なんで神話上のヒーローなんですよね。だけど仗助ってこう…あの…うん。あの、友達か先輩の、なんかそういう人なんだよね。

Q.仗助は愛人の子供という設定ですか?

そうですね。やー、一応でもねー、これ…うん。なんかもっ、もうちょっと四部とか描けたら、そういうところも行きたいですよね。あの、結構複雑な心理状態が生まれるんじゃないすかね。愛人の子供だと。お父さんと久しぶりに会ったわけですからね、その辺とかも、ほんとだったら、ちょっと、ぐっと描きたいですけどね。ええ…ふふふ(笑)。機会があったら描きたいと思うんですけど、ほんとに。四部はでもまだ、終わってないですからね。ほんと、続けようと思えばいくらでも続けられるんですよね。

第五部 黄金の風

Q.主人公をディオの息子にしたのは何故?

あ、そうですね。もうね、これ…。あの、とにかく、第四部の段階で、血統な、ないですから。はは(笑)。あの、ここはちょっと、苦し紛れなんですよね。ええでも一応、あの血の繋がりっていうかね、あの僕生い立ちっていうか、生まれを物凄く、あの重要視すんですよ。

あの主人公たちの、どういうふうなとこで生まれたのかとか、お父さんとかお母さんはどういう人たちなのかっていうのが、それ知ってるとなんか、すごい、わかりやすいんですよね。描きやすいっていうんですか。え、そのためなんですけど。で血統っていうのは、ちょっと、すごく大切っていうか。ええ。一応こじつけっぽいすけど、第五部は、そういうので始まったんですけどね。

で、なんだろ、四部のときにね、お前は…なんか哀しみを描けないって言われたんですよ。編集者に。なんか人生っていうのは哀しいもんじゃないか。なんかこう、生まれたときから哀しい人間っているじゃないみたいな。そういうのは、いいよね、みたいなね。

で描けないのって言われて、えーっ…僕とちょっと違うタイプの作家なんじゃないすか、って最初言ってたんですけど、その黄金の風のときに、なんかこう…そういうの描きたかった…あのー、描きたくなったんですよね。急に。なんだろ…んー。社会からこう…つまはじきにされてて、なんかその哀しみがね、あの、あのだけど、正義の心は同じだ、みたいな。うん。その辺こう…涙しながら描いたのが黄金の風ですよね。

第六部 ストーンオーシャン

Q.以前は女性を描けないと仰っていましたが…

なんだろ、あの当時やっぱりこう、女のキャラクターがパンチ喰らったりするっていうのあり得ない時代だったんですよね。うん。あとなんだろ、下手したらジョジョって腕とか飛びますからね。そういうのを女性のキャラクター…には、と、あの、描けないような気したん読者も多分ついてこれないような、あの感じだったんですけど。

その、なんか、あのー…いろいろこう人生を重ねてくと、女の人も男の人も同じなんだろうなとおもっ…思い始めて、そんときに。タフな女の子が描ける、気がしたんですよ。それで、ま、始め、始めようと思ったのがストーンオーシャンで。で、これもう、刑務所に限定しようって感じで。

Q.第六部のラストについて

だから最終的な敵っていうのはジョジョの場合ものすごく強くないと許されないんですよ。ディオで時間止めちゃってるから、それ以上じゃないと読者納得しないっていうのがちょっと…すごいあって。その辺はなんか、んー。バブルなストーリー…あの、状況になってて。

で、あの、だから時間をどんどんどんどん早め、早まってったらどうすんどうなんだろうなって考え、考えたら、まぁやっぱり、一周すんだろうな、っていうことで、ですね。到達点っていうんですか。っていうか無限を考えると頭おかしくなってきますよね。なんでも。

Q.時間というものに対しての先生のお考えは?

あー不思議っすよね、あれ。時間を考えると不思議になってくるっていうか。で、不思議になってくるっていうのプラス、あと、時間を操れる能力っていうのは、最高なのかなと思いますよね。すると最高の奴出てくるじゃないですか。そうするとどうやって、倒すんだって思うんですよ。

で描いてる僕のほうも、これ、負けるなみたいな。これぁ勝てないよって思うんですよね。だけどそこをどうするんだっていうふうな、作り方なんですよね。ええ。だから、第一部んときに、人間ってどういう、一番強い人間ってなんだろうな考えたのがいまだにこう、そういうところはあるんですよね。なんかものすごいロマンがありますよね。

第七部 スティール・ボール・ラン

※今後の展開に関する非常に重要な内容が含まれているためお見せすることが出来ません。どうかご了承ください。

漫画家 荒木飛呂彦

Q.今も進化し続ける絵柄について

こーれねぇ。ほんっとにね、たまーにあるんすけど昔のキャラクターを描けっていうのが一番つらいんですよね。あのなんだろな(笑)。ほんと、疲れるんですよ。あの、まず、昔のエッセンスを描きながら今のを融合してかないといけないっていう二つの作業があって、こういうパッケージの…ほうはほんと疲れて。

で、昔の絵描けませんよ、って断ってちゃんとこれ、引っかけたことを、あのちょっとお断りしておきますけど(笑)。あの、なんだろうなー、絵が変わるっていうのは、その、例えば、さっき、80年代のムキムキが流行ってたって言うじゃないですか。ゆったんですけども、それ90年代になると、そうでもないんですよ、もう。

それなのにムキムキをやり続けるっていうのはちょっと、おかしいっていうか。そんときに部が変わったときに、あの、たとえば、あのー…ジョルノ・ジョバァーナなんかは、かなり、すごい細くしたんですよね、ぐっと。等身大にするために。あの仗助あたりからはもうほんと、等身大の人間にしようと。

神話上の人間から、あの、等身大の人間にしようっていうことで、そ、そん時に変わるんですよね。…ええ。そっ、そういうことだと思うんですけど(笑)。あの、あと、絵が上手くなってるっていうのも…昔下手だったっていうのもあるかもしんないですけどね…。ええ。でも、ほんとね、意識して、昔のにはこだわんないっていうか。あの、そういうふうに古典的な手法で描いてる絵なんで、あのー、変わっても別にいいと思うんですけど。

Q.今回のパッケージイラストについて

あぁこれ一応、波紋、っていうイメージをまずして、中央にはディオとジョナサンをたたか…対峙して、石仮面を配置してくれっていうことなんですけど、まああの、石仮面を前に前に出そうとしたんですね。このゲームの象徴は石仮面、これマークみたいなもんですね。ゲームのマーク。だから後ろにこう…抑えるためにちょっと水っていうか、波紋のなかに入れようっていうので、書いたんですけど。ええ。で、今までちょっと主人公が前にぱーんって出てきますよね。パッケージイラストって。ま、ちょっとそれと逆にしたっていうか。はい。

Q.魅力の一つ「ポージング」について

ポージングは、あのやはり、イタリア彫刻の影響。なんかこうね、ねじってる感じがね、こういう…感じ。おおいいなぁって思って。絵にしたいなぁって思うんですよね。でそんときに、こう、骨盤とかがね、ちょっと絵描く人じゃないとわかんないけど、骨盤が上がったり下がったりするんですよ。それが楽しいんですよ。こうなって。こっちをこう…手を、手首をこうやったときにこっちが上がるとかね。そういうなんていうの、理論的な感じでこう書いていくとかが楽しいんですよね。

「理論的に書くと、ああいうふうになるん…」

それをちょっと誇張すると、ああいうふうになるんですよ。えっ、なんだ、例えばなんだろうな…。絵画講座になるかもしんないすけど。こう…なんか右…いいすかね。右足に体重かけてこうやるとね、左が、左肩が下がったりとか、こっちの腰を上げるとこうなったりとかとかね。逆、逆、逆っていくんですよ。腰上がるとこっちの肩がぐって下がって、あの、注意してみるとわかるんですけど人間の身体がそこがね、すごい不思議だなーって思って。

絵にしてくときに、そこが楽しいんですよね。うん。あと、こう、関係ないけど、皮膚がね、めくれたりするところも描くのも楽しいですよね。実は(笑)。だから康一君とかが本にされたりするとき、とか、すんごい楽しいんですよ。(笑)あのグロいとかじゃなくてね、なんかね、理論的に描いてるからなんだと思うんだよね。不思議なんですよ。あとこっちに曲がったらどうなんのかなとか。絵だとこう可能なんですよ。そういうなんか、そういうところがなんか…だと思うんすよね。ポージングとかもあるかもしれないすけど。

「実際はポージングはご自分でとられたりして…」

あは(笑)、それはしないすけど。

Q.特徴的な「擬音」について

ああ、はいはいはい。あぁじゃぁ、あれは、ホラー映画とロックの…あの、ロックの影響なんですよ。あの、プログレッシブロックっていうのがあってあと、ホラー映画っていうのがまたあんですけど、そこんなかで、こう…シンセサイザーとかね、あとメロトローンていうざし…楽器があんですけど、それ、の音とか「トロロロローン」とかってなる感じが、この場面にほしい、って思うんですよね。

そうすると書くっていうか。「チュイーン」とかさ、「キュインキュインキュイン」とかさ、あのホラー映画でよく、意味のないものが、音が来るじゃないですか。あれがここにほしい、と思うんですよ。そういうところ…を、文字にしてる、のが、そういう擬音になってるんで、別に意識してないです。

「じゃ自然と…」

自然とです。

Q.岸辺露伴のモデルはご自身?

ほんとねぇ、あの、初めて僕に会う人はね、みんな露伴だと思って来るからねぇ。ちょっとね困るんですけどぉ、(笑)。あのキャラクターで一回行こうかなと思ったこともあるんですけど(笑)。ちょっとあれはそれは…あのー(笑)、あの、あれは僕の憧れなんで、あの、ここで夢を壊すのは何なんですけどぉ(笑)。ちょっと違うと思うんすね。ええ。みんなね、ほんとね、なんかビビッて入ってくんですよね、うちに。(笑)ええ、ええ。すいませんけど。はい。ここでちょっとキャラクターを変えさせていただきますけど。はい(笑)。

Q.(露伴のように)クモを舐めたりはしない?

そぅ…(笑)そうすね、ま、たまーに…。あの違うもんとか、ちょと食べてみたりはしますけど…(笑)。なんだ、りょ、料理で食べられるっつったら食べますけど(笑)。ええ。

作品に込めるテーマ

Q.20年間続く「ジョジョ」のテーマは?

人間を…否定しないっていうんですかね。否定しないってどういうことかっていうと、あのー。前向きに考えてる主人公が、これ、だめなんだろうなとかって悩まないんですよ。悩んじゃいけないっていうか、あの、肯定的に行くんですよね。たとえば自分が悪いことをしてる悪人がいてもそいつは、その悪いことが、俺にとっては大切なことなんだ、で、悪いやつが一歩、前に出てくる。すと、正義の主人公は、それに対して打ち砕くっていう。

こう、一歩ずつ前に出てくる。出てきたら激突すんじゃないですか。そこが面白いんですよね。で、悪いこと考えてる人も、俺その気持ちもわからんでもねーなみたいな、って主人公がなったときに、ちょっと…それ、面白くないと思うんですよ、少年漫画として。たとえば、吉良っていう、吉良吉影のキャラクターのときに、あの、やつは殺人鬼なんですけど、それなりに…なんか人を殺す動機っていうのがあったと思うんですよ。

やっぱり、子供のときの可哀想な境遇だとか、あれは、ちょっとね、あの母親との関係とかが、あるんですけど。で父親が、あのー、無視してたっていう設定があるんですけど。それ描くとね、吉良が可哀想になってくるんですよ。そうすると、せっかくの強い悪役なのに、あの、仗助がそれに立ち向かってったらなんか、お前ちょっと可哀想だよなぁ、みたいな戦いになると思うんですよね。

だけど、吉良は俺はこれでいいんだ!みたいな。ガーンって上に出てくんですよ。それがいいんですよ。だからもう、吉良が物凄い好きで。あの、子どものとき辛いことあったかもしんないけど、ま殺人鬼として頑張ってくれ、っていっつも思うんですよね(笑)。あんまり、これ言えないすけど(笑)。

ほんと陰ながらね、ほんとあれのファンなんですよ(笑)。だからそういう、なんて言うの肯定的に、やるっていうのが、ジョジョのテーマなんですよね。人間賛歌ってそういうことなんです。人間を肯定するんですよ。でそこに戦いがあるかもしんないけど、あの、なんか、うん、そういう…のがテーマなんですよね。

Q.「人間賛歌」はこれからも揺るがない?

たぶんそうなんですよね。さっきも言ったけど、ほんと――なんか悪いやつがちょっと、弱くなると、なんか、話としてね、絶対つまんないんですよ。人間世界にはそういうのあるかもしんないすけど、ええ。こういう漫画では、そっちは強い方がいいんですよね。ええ。だから、たぶん、揺るがないと思いますけど。

Q.最後にファンの方々へ一言メッセージを

ジョジョの奇妙な冒険ファントムブラッドは、もう20年前に、ちょっと描いた作品で、なんか、すごい、懐かしいっていうか、あの…なんだろうなー。20年経ってね、こう、そういうのにされるっていうのは、ほんっとにね、有り難いと思いますね。あの現在連載中のものがなるっていうよりも、こう、あ20年間認められてたんだなぁって思ったんですよね。

ですから、なんかそういう、なんか感謝の意味を込めまして、あの、ほんとにありがとうございます。あの、楽しんでやっていただきたいと思いますけど。あの、ちゃんと、ゲームも、あのいろいろ、チェックも…しましたんで。保証済みだと思います。あのよろしくお願いします。

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