数学的帰納法

数学的帰納法の証明の仕組み
  まず、奇数からなる次の数列について考えてみます。
  1=1,2=1+3,3=1+3+5,4=1+3+5+7,5=1+3+5+7+9,・・・・  これを計算すると
  1=1,2=4,3=9,4=16,5=25,・・・・  のようになります。この数字に規則性があり、
  1=1 2 2=2 2 3=3 2 4=4 2 5=5 2 ,・・・・  のように表せることに気付きますか?

  さて、ここから数学的帰納法の仕組みです。(番号の小さいほうが案外解りにくいので、途中からの説明にしています。)
  4=4 2  から始めます。
                   次の項について  5=(1+3+5+7)+9  と考えると、
  54+9=16+9=25=5 2   となります。
               さらに、次の項について 6=(1+3+5+7+9)+11  と考えると、
  65+11=25+11=36=6 2   となります。
               さらに、次の項について 7=(1+3+5+7+9+11)+13  と考えると、
  76+13=36+13=49=7 2   となります。

               これを繰り返していけばいいのですが、数値(番号)を順に当てはめていたら、
               いつまでも終わりません。そこで、文字を利用します


  k=1+3+5+7+9+11+・・・+2k−1=k 2  と表せたとすると、
  k+1=(1+3+5+7+9+11+・・・+2k−1)+2k+1
     =k 2 +2k+1=(k+1) 2     となります。
  この計算で、k=4 ならば、4 を用いて 5 を示したことになります。この 5 を用いて 6 を示すには、
          k=5 とすればいいのです。
  k は適当な自然数なので、一般的に証明できたことになります。また、証明の始まりが成り立つことが
  いえてないと、この説明は意味を持ってきません。ですから、最初(普通n=1)の確認が要るのです。

X+Y=,XY=b とするとき、次の問いに答えよ。
(1)X 2 +Y 2 ,X 3 +Y 3 ,bを用いて表せ。
(2)X n +Y n ,bを用いて表したとき、の n 次式になることを証明せよ。
解答例
(1) X 2 +Y 2 =(X+Y) 2 −2XY= 2 −2b,
    X 3 +Y 3 =(X+Y) 3 −3XY(X+Y)= 3 −3
(2) [T]n=1のとき  X+Y= であるから の 1次式になる。
       n=2のとき  X 2 +Y 2 2 −2b  であるから の 2次式になる。
    [U]n=k−1,k で、X k-1 +Y k-1 の k−1次式,X k +Y k のk次式であると仮定する。
       n=k+1 において、
              X k+1 +Y k+1 =(X+Y)(X k +Y k )−XY k −XY k
                    =(X+Y)(X k +Y k )−XY(X k-1 +Y k-1
                    =(X k +Y k )−b(X k-1 +Y k-1
             ここで仮定を用いると、(X k +Y k )は の k+1次式,b(X k-1 +Y k-1 )は の k−1次式
             であるので、X k+1 +Y k+1 のk+1次式となり、n=k+1でも成立す る。
    [T],[U]より  X n +Y n の n 次式になる。

   ここでは、n=k+1の証明に、n=k−1,kを用いるので、第一段階でn=1,2を示す必要があります。


1,2,4,・・・,2 n-1 のn個の整数を適当に選んでそれらを加えると、1から2 n −1までの整数が
すべてつくれることを、数学的帰納法を用いて証明せよ。  (ここでは、証明 すべきことに注意してしださい。)
 一番重要なことが証明されてない例。
    [T]n=1のとき
       このとき、2 n-1 =1 なので、使う整数は1 だけであるから、つくれる整数は、1 だけである。
       また、2 n −1=1 であるから、1から2 n −1まで、つまり1 だけになる。
    [U]n=kのとき、 1,2,4,・・・,2 k-1 の k個の整数で、1から2 k −1までの整数がすべて
つくれると仮定する。
       n=k+1のとき、1,2,4,・・・,2 k-1 の k個の整数に 2 k が加わるので、
               n=kのときは、1から2 k −1までの整数がつくれたので、この最大値に、
               2 k を加えた 2 k +2 k −1=2 k+1 −1までの整数がつくれる。
    [T],[U]より証明された。
 これと同様で、  1+2+4+・・・+2 n-1 =2 n −1  を証明しても同じです。
 ===========================================================================================
 ここで証明すべきことは、全ての整数つくれることです。上記の解答では最大値にしかなりません。
           n=kのときの証明まではそのまま使えます。これ以降の証明を示します。
       n=k+1のとき、1,2,4,・・・,2 k-1 ,2 k の k+1個の整数のなかで、2 k を用いないとn=kの
         仮定で2 k −1までの整数がすべてつくれたから、2 k −1より大きい整数について考える。
         この、2 k −1より大きい整数を、2 k とすると、 は1,2,4,・・・,2 k-1 の k個の整数で
         つくれる整数になる。つまり、 は1から2 k −1までの整数がすべて含まれる。
         また、1,2,4,・・・,2 k-1 を用いないと、 =0 となるので、 の可能な値は、
          =0,1,2,・・・・,2 k −1 である。よって、2 k +2 k −1=2 k+1 −1までの整数が全てつくれる。


              漸化式