この分野は「同じものを重複して数えたり、見落としたり」などのミスが出やすい分野です。
また、考え方が種々あるのもこの分野の特徴です。
例題1 a,b,b,c,c,c,d,d,d,d,の4種10個の文字について次の問いに答えよ。
(1)10個の文字の順列の総数を求めよ。
(2)10個の文字の順列のなかで、dが隣り合わない順列はいくつあるか。
(3)10個の文字から5個を選んでできる順列の総数を求めよ。 |
(1)bが2個、cが3個、dが4個あるので |
10! .
2!3!4! |
=12600 |
ここで、同じ物を含む順列について少し説明します。
[考え方1]
1,2,3,4,5,6,7,8,9,10 という番号を用意します。この番号にa,b,c,d
を当てはめると a,b,b,c,c,c,d,d,d,d,の順列になります。 |
まず、a
を当てはめる方法(a
の入れたか)は10通りです。( |
10 |
C |
1 |
でもよい) |
次に b
を当てはめるのですが、a
が1箇所入ったので残った9箇所から2つ選んで、 |
入れることになります。だから、b,b
を当てはめる方法は、 |
9 |
C |
2 |
となります。 |
同様に c,c,c,は、 |
7 |
C |
3 |
となります。 |
最後の d,d,d,d,は、必然的に残った4箇所になります。( |
4 |
C |
4 |
でもよい) |
よってその総数は |
10 |
C |
1 |
・ |
9 |
C |
2 |
・ |
7 |
C |
3 |
・ |
4 |
C |
4 |
となり、上の計算式と一致します。 |
a,b |
1 |
,b |
2 |
,c |
1 |
,c |
2 |
,c |
3 |
,d |
1 |
,d |
2 |
,d |
3 |
,d |
4 |
,のように区別して考えると |
b |
1 |
b |
2 |
と b |
2 |
b |
1 |
の2個の順列は異なる。 同様に |
c |
1 |
c |
2 |
c |
3 |
,c |
1 |
c |
3 |
c |
2 |
,c |
2 |
c |
1 |
c |
3 |
,c |
2 |
c |
3 |
c |
1 |
c |
3 |
c |
2 |
c |
1 |
,c |
3 |
c |
1 |
c |
2 |
の6個の順列は異なる。 d
についても同様である。 |
つまり、文字の区別がないときは、b
については 2!=2個で1個、
c
については 3!=6個で1個、
d
については 4!=24個で1個、 となるので |
求める個数は、 |
10! .
2!・3!・4! |
となる。 |
この二通りの考え方はどちらも重要です。
また、ある等式を証明するのに、異なる考え方から導く方法でもあります。 |
(2) d
の個数が少なければ(3個まで)、d
が隣り合う順列を考えもよいが 4
個になると面倒になる。
(2個だけが隣り合う、2個と2個、3個、4個)
条件に合う順列を考えたのが簡単です。 |
d
を除いた a,b,b,c,c,c,の順列を考えると、個数は、 |
6! .
2!・3! |
=60 となる。 |
ここで、この一つの順列として b,c,c,a,c,b を考える。
この、各文字の間と、最初と最後の7箇所に
4個の d を当てはめればよい。 |
この当てはめ方は、 |
7 |
C |
4 |
=35 通りある。よって、求める個数は、60X35=2100 個 |
(3) 5個の文字の選び方から考える必要があります。 |
(ア)d,d,d,d と(a,b,c)の1個 a,b,c の選び方は、3通り |
(イ)d,d,d と(a,b,c)の2個 a,b,c の選び方は、3通り
c,c,c と(a,b,d)の2個 a,b,d の選び方は、3通り |
(ウ)(d,d,d,と
b,b),(d,d,d,と
c,c),(c,c,c,と
b,b),(c,c,c,と
d,d) |
よってこの順列は、 |
5! .
2!・3! |
・4=40 |
(エ)(d,d,
b,b)と(a,c)の1個,(d,d,c,c)と(a,b)の1個,(c,c,b,b)と(a,d)の1個 |
よってこの順列は、 |
5! .
2!・2! |
・6=180 |
(エ)(a,b,b,c,d),(a,b,c,c,d),(a,b,c,d,d) |
例題2 n
個の要素ならなる集合A
がある。この集合の部分集合を考えることで、 |
等式 |
n |
C |
0 |
+ |
n |
C |
1 |
+ |
n |
C |
2 |
+・・・・・+ |
n |
C |
n |
=2 |
n |
が成り立つことを示せ。 |
|
解答例
n個の各要素に対して、部分集合の「要素になる」 or 「要素にならない」 の二通りがあるので |
次に、部分集合のの要素の個数が
k個のものは |
n |
C |
k |
通りあるので、 |
部分集合の総数は |
n |
C |
0 |
+ |
n |
C |
1 |
+ |
n |
C |
2 |
+・・・・・+ |
n |
C |
n |
と表せる。 |
よって 等式 |
n |
C |
0 |
+ |
n |
C |
1 |
+ |
n |
C |
2 |
+・・・・・+ |
n |
C |
n |
=2 |
n |
が成り立つ。 |
例題3 さいころを
n回投げたとき最大の目がk(=1,2,・・・,6)である確率を求めよ。 |
|
まず、一回の試行で、1〜k
までの目がでる確率は、 |
k
6 |
であるから、 |
n回の試行全てで、1〜k
までの目がでる確率は、( |
k
6 |
) |
n |
である。 |
この試行のなかには、kの目が一回も出ないときが含まれているので、
1〜k−1
までの目がでる確率を除けばよい。 |
よって、求める確率は、( |
k
6 |
) |
n |
−( |
k−1
6 |
) |
n |
となる。 |
|