・POINT
目的関数をKとおくことは、高校生の常識。しかし、この例題の様な領域だと,いき
なり(0,0),(1/3,1/3)のとき最小値,最大値となると答えてしまう生徒が,案外多い。
答えを導くには,それなりの根拠があるものだが、この様に解答する生徒に、その根
拠を尋ねると「確か前に解いたとき」と言う。たしかに、この例題のような領域では
こうなる場合がかなり多いから、生徒が,このように解答するのもしかたないのかも
しれない。過去に解いたことを利用するのは良いことなのだが・・・・
この種の問題では,目的関数=Kとしたとき、Kがどこに現れるかをみつけること
なのだが、ここまで考えている生徒は意外に少ない。・解説と解答
(1)
X+Y=Kとおくと、Y=−X+Kとなるのでこれは,傾き−1の直線となる。
(このような直線の集まりを直線群と言う。)さて、目的となるKがグラフのどこ
に現れているのだろうか?
本問では,
X切片またはY切片になります。つまり,グラフがX軸,Y軸と交わ
る点の座標が(K,0),(0,K)となっています。
では、傾き−1の直線が領域内を通過出来る(定規を用いて動かす)ようにすれ
ばよいのです。(領域を通過しない直線は,条件のX、Yでない。また,別のいい
方をすれば領域内の点を通るようにKを定めている。)
定規を動かしていくと,この領域を通過できる限界となる直線が2本見つかるは
ずです。1本は,(0,0)を通る直線,もう1本は、(1/3,1/3)を通る直線です。
前者の直線が最小値を与え,後者の直線が最大値を与えます。
以上のことから,(X,Y)=(0,0)のとき最小値=0,
(X,Y)=(1/3,1/3)のとき最大値=2/3
(2)
3X+Y=Kとおくと、Y=−3X+Kとなるのでこれは,傾き−3の直線とな
る。(ここでは、Y切片がKなので、これを利用する。X切片でもよいがK/3に
なるので、X切片を3倍した値がKになる)
傾き−3を保ちながら,この領域内を動くとき,(0.5,0)を通過するときY切片が
最大、(0,0)を通過するときY切片が最小である。よって
(X,Y)=(0,0)のとき最小値=0,
(X,Y)=(0.5,0)のとき最大値=1.5
(3) X+3Y=Kとおくと、Y=−1/3X+Kとなるのでこれは,傾き−1/3の直線
となる。(ここでは、X切片がKなので、これを利用する。Y切片でもよいがK/3
になるので、Y切片を3倍した値がKになる)
傾き−1/3を保ちながら,この領域内を動くとき,(0,0.5)を通過するときX切片
が最大、(0,0)を通過するときX切片が最小である。よって
(X,Y)=(0,0)のとき最小値=0,
(X,Y)=(0,0.5)のとき最大値=1.5
(4)
X−Y=Kとおくと、Y=X−Kとなるのでこれは,傾き1の直線となる。
(ここでは、X切片がKなので、これを利用する。Y切片でもよいが−Kとなり、
今までと少し違ってくる。このことについては最後に解説をします。)
傾き1を保ちながら,この領域内を動くとき,(0,0.5)を通過するときX切片が
最小、(0.5,0)を通過するときX切片が最大である。よって
(X,Y)=(0,0.5)のとき最小値=−0.5,
(X,Y)=(0.5,0)のとき最大値=0.5
切片に−?(タイトルとしては適当でないかもしれないが,ご容赦のほど)
これまでの解答例は、Kそのものが現れる箇所について解答しましたが,
−Kでも同じでことで,−Kが最大,最小と考えればいいのです。
つまり、−Kが、α≦−K≦βのとき、Kは、−β≦K≦−αになるの
で、−Kが最大,最小ならば、Kは最小,最大となります。
最低限理解してもらいたいことは,
「上側の直線が最大値を与えるとは限らない 」ことです。(逆も同様です)
傾きによる違いが,理解できたでしょうか?
以上をもちまして,高校一年生・・・今月の問題の解説を終わらせていただきます。
少し難しくなりますが、余裕のある人は,同じ領域で aX−Y の最大値、最小値
についても考えてみてください。
↓
解答はここ
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