ベクトルと複素数(公式の解説)   
  OA と表しています。

 この分野は座標との関連が強い分野です。さらに複素平面から極座標にと発展していきます。(極座標は
 理系のみ学習します。)種々な座標の扱い方に慣れてください。
 
 また、ここでは、座標で扱った内分・外分の公式を頻繁に用いますので、この公式が苦手な人は、もう一度
 この公式の復習をして下さい。

例題T
△ABCの辺 AB,BC,CA をm:n に内分する点をP,Q,R とすると、
△ABCの重心と△PQRの重心は一致することをベクトルを用いて示せ。
   *ベクトルの解法では、始点をどこにするかです。原点を始点にした位置ベクトル(普通はこれを位置ベクトルという場合
     が多い)を用いて示すか、問題内の適当な点を始点にした位置ベクトルで示すかです。


解答例
    A,B,Cの位置ベクトルを とすると、P,Q,R の位置ベクトル は、
      +m
 m+n 
+m
 m+n
+m
 m+n
 となる。
     ここで、△PQR重心の位置ベクトルは、
)=
( +m
 m+n
+m
 m+n
+m
 m+n
)
                             =
)  となり、△ABCの重心と一致する。
                位置ベクトルを用いることで、記述が簡単になります


例題U
円 (X−2+(Y−b)22 上の点(X1,Y1)における接線の方程式をベクトルを用いて求めよ


  * 直線の「ベクトル方程式」ですが、言葉の重みに負けないようにして下さい。「ベクトル方程式」といっても関係式
     に過ぎません。この関係式は、図形的な性質から導かれるものが多いので、この点を再確認してください。

解答例
円の中心(,b)を点C,接点(X1,Y1)をP,接線上の任意な点をQ(X,Y)
とする。
(ア)QがPと異なる点の場合
    PCとPQは垂直なので、 PQ・PC =0  となる。
    ここで、PQ=(X−X1,Y−Y1),PC=(−X1,b−Y1)  であるので、
            (X−X1)(−X1)+(Y−Y1)(b−Y1)=0 ・・・[*]
(イ)QがPと同じ点の場合も関係式[*]は成り立つ。
よって、接線の方程式は、 (X−X1)(−X1)+(Y−Y1)(b−Y1)=0  
となる。なおこれを変形して
(X−)(X1)+(Y−b)(Y1−b)=2 と表せます。
参考までに
直線を定める要素として方向ベクトルと法線ベクトルがある。本問では法線ベクトルを用いている。
つまり、PC が法線ベクトルである。ちなみに方向ベクトルは、PQ であるが、ここでは利用できない。
また、平面ならば方向はtanθである。(Xの正の方向から計った角がθ)さらに空間になると、方向は、
方向余弦(cosα,cosβ,cosγ)で定められる。
ここで一息(内分・外分点の公式について)
数学の苦手な人にとっては、この公式が、案外使いにくい
ようであるが、左の図を参考にして下さい。
四角形OPCQは平行四辺形です。OCOPOQ
であることは説明するまでもないと思います。
さて、中学の内容ですが、相似を思い出してください。
OP:PA=n:m なので,OP   n  .
m+n
OA
OQ:QB=m:nなので,OQ   m .
m+n
OB
よって,OC   n  .
m+n
OA   m .
m+n
OB OA+mOB
  m+n  
・・・[*]
       外分についても同じように考えて、公式が成り立つことを確認してください。
       簡単な図形的な感覚が大切です。

ベクトル方程式
  この言葉に戸惑う人がかなりいます。言葉の重みにとらわれないで、単に図形的な関係式に過ぎないと
  考えてください。

  まず直線ですが、上で説明した内分の公式そのものです。
  この公式で、   n  .
m+n
 とおけば   m .
m+n
=1− となるので、OCOA +(1−OB 、・・・[**]

  と表せます。同じ式を文字式の表し方を変えることで全く違う式のように見えてしまうので、難しく考えて
  しまうのでしょう。
  また、この方程式[*],[**]でベクトルOAOB の係数の和が1になることに着目してください。

  ここで、この方程式[*],[**]は点Cの位置を表すベクトルなのに、どうして直線のベクトル方程式に
  なるのか疑問を持つ人がいると思います。
  m,n, が定数に固定されたなら点Cは定点になりますが、m,n, がいろいろな定数をとるなら、点C
  はそれらの値によっていろいろな点に決められます。この点を集めれば直線になるのです。
  Y=2X+3 の方程式で、Xを定めればYも一つ定まり点になり、Xをいろいろ変えれば点の集合になります。

  直線のベクトル方程式を内分の公式から説明しましたが、もう一つの考え方があります。
  Y=2X+3 は傾き2,切片(Y切片)3の直線ですが、傾き、切片の関係とよく似た考え方です。
  ベクトルでは、傾きに方向ベクトルを、切片に定点を対応させると、定点を通ってある方向に延びる直線
  になります。これをベクトルで表すと、OPOA +k  となります。ここで、 Pは直線上の点、Aは定点、
   は方向ベクトルです。この関係式もまた、等式[**]と同じです。(この説明は省略)

  円のベクトル方程式
  (X−2+(Y−b)22 が円の方程式ですが、この関係式の表す内容は、点P(X,Y)と点C(,b)の
  距離が であることです。つまり二点間の距離にすぎないのです。
          「定点からの距離が一定である点の集合は円」
  これを座標成分をもちいて等式であらわしたものです。これをベクトルで表すと、|PC|= となります。

  案外簡単ではないですか?

 
極形式と複素数
いままでの座標と唯一の違いが極形式です。三角関数と関連付けることで理解してください。
ここでは、座標の回転について説明します。
点Aを原点の周りにθ 回転した点をA’とする。
点A,A’を表す複素数を’とし、argαとすると、
  (cosα sinα),’=(cos(αθ)+ sin(αθ))
となる。ここで、三角関数の加法定理により、
  ’=(cosα cosθ−sinα sinθ (sinα cosθ+cosα sinθ)
     =(cosα cosθ2sinα sinθ (sinα cosθ+cosα sinθ
     =(cosα cosθ sinα cosθ2sinα sinθ cosα sinθ
     ={cosθ (cosα sinα)+sinθ (sinα cosα)}
     =(cosα sinα)(cosθsinθ)  
              よって、 ’= (cosθsinθ) ・・・(*)  となる。
       これを変形して、θ=arg
=arg’−arg  となりますが、(*)の公式で解決できます。

  



                     例題