ベクトルと複素数(例題)   
  OA と表しています。

例題−1
OP =mOA +nOB で定まる点Pについて次の問いに答えよ。(ただし、三点O,A,B は一直線上にない)
(1)m,n が m+n≧2,m+2n≦4,2m+n≦4 の条件を全て満たすとき、点Pの存在範囲を示せ。
(2)前問(1)で定められる点Pに対して、OQOP +kOB (ただし、1≦k≦2) と表せる点Qの存在
   範囲を示せ。 
解答例
   一般的には、mOA +nOB =(m+n) OA +nOB
   m+n
 (m+n≠0)として考えますが、
   OA =(1,0),OB =(0,1)として考えてみます。このように成分を定めると、OP =(m,n) となり、
   点Pは、直交座標系の X+Y≧2,X+2Y≦4,2X+Y≦4  の表す領域になります。
   次に OA =(2,0),OB =(0,1) とすると、これは前記の内容をX軸方向に、二倍に拡大した領域に
   なります。(下の図を参考にして下さい。)
     

   つまり、OAOB をそれぞれの座標軸の単位と考えればいいのです。
   この考え方は、直交座標系でなくても使えます。(斜交座標系といいます)

(2) (1)の領域をOB から2OB まで平行移動したもので五角形PQRSTの周とその内部である。

   


例題−2
点Pは点Aを中心とする半径2の円周とその内部を動く。このとき、OQ =3OP +2OB で定まる点Qの
動く領域を答えよ。ただし、点Bは定点である。

解答例
    点Pの動く領域は、|AP |≦2 ・・・(*) と表せる。(点Aと点Pの距離が2以下である)
    OQ =3OP +2OB  よりる。

    OQ =3OP +2OB  より  OP
OQ
OB  よって AP
OQ
OBOA 
       これを、(*)に代入して、 |
OQ
OBOA | ≦2  
        |OQ −2OB −3OA|≦6 ・・・(**) (両辺3倍しただけですが、OQの係数がポイントです。)
                  慣れてしまえばこの段階で解答できますが、もう少し説明します。
        定点と動点の距離が一定であれば、動点の軌跡は円になります。
        距離がある値以下ならば、軌跡は円周とその内部になります。
        普通、点Aと点Bの距離は、ABと表しますがベクトルでは、絶対値をつけて |AB | と表します。
        ベクトルに限らず複素数でも同じ表し方ですが、絶対値は長さを表す記号なのです。


       ここで関係式(**)において、2OB +3OAOC  とおけば、関係式(**)は
       |OQOC|=|CQ | ≦6  と表せて、CQの長さが6以下であることになるので、
       点Qは点Cを中心にした円周上とその内部を動くことになります。
       (ここで、点Cは 2OB +3OAOC となる点である。)