( 出 発 ) 二日間も仕事をさぼる、という後ろめたさを感じつつ、お昼過ぎに、チンチン電車に揺られ函館駅へ向かう。 今回は、普通列車、快速列車のみ乗車できる「青春18切符」を店主から譲り受け、函館から八戸までの一人旅だ。この切符の特例で「木古内駅」〜青森の「蟹田駅」間だけは、特急に乗ることができるが、まずは身分相応に木古内行きの普通列車に乗る。買い物帰りのおばさんや帰宅途中の高校生にまぎれ、ワクワクしながら外の景色を見ているうちに木古内駅に到着。 *写真 市営電車内と函館駅 ( スーパー白鳥 ) いよいよ、「スーパー白鳥」に初乗車!!車内は、宣伝通りシートもゆったりしていて、まるでグリーン車に乗った気分だ。青函トンネル内も、音が静かで揺れも少なく快適快適。一時間弱があっという間に過ぎ、これまた初の「蟹田駅」へ。 *写真 「スーパー白鳥」シート ( 蟹田駅 ) ホームへ降りると、なんと「スーパー白鳥」から降車したのは、私一人だけ。(ToT)走り去る車内のお客さんの視線をビシビシ感じ、なんだかちょっぴり負け組になった気分で待合室へ。中はちょうど良いポカポカ温度になっていて、私の心もちょっとだけ暖められた。「私は勝ち組になってこの旅行を終えるのだ。」と、何故か自分を盛り上げながら次の列車を待つ。 *写真 蟹田駅 ( きらきらみちのく八戸 ) 蟹田駅で40分ほど待っていると、まもなく「スーパー白鳥」よりも素晴らしい列車がホームに入ってきた。それは、車両全体に広々とした窓がはめ込まれた期間限定のリゾート快速列車「きらきらみちのく八戸」だった。そうだ、私は店主に「本当は、俺が乗ってみたい列車だけど、お店閉めて行くわけにはいかないから、代わりに乗って来い!」という指令が下されていたのだった。さっきまで、貧乏旅行は、鈍行旅行、、、とへこみかけた気持ちが、どんどん上向きになってきた。車内は、なんと二人掛けのシートの横に回転式の一人掛けがあり、車窓が独り占めできるのだ。車内は、新品で気持ちが良く、思わず携帯電話で写真を撮り、一人忙しく働く店主に送りつけた。予想通り、かなり羨ましがっていた。 得意、得意(^v^)v。 列車は、各駅ごとの停車時間が長く、2時間ほどかけて八戸へ向かった。もう、すっかり日も落ちた頃、旅の目的地「八戸」へ到着!! *右写真2枚 快速列車「きらきらみちのく八戸」 ( 八戸駅 ) 八戸駅は、新幹線が開通した駅らしく、とっても近代的で真新しかった。地元の人の話では、直される前まではかなり古めかしく、降りた乗客が自分は一駅間違えたのではと、必ず看板の駅名を振り返りながら確認していた位だと教えてくれた。ちょっと、そんな渋い駅も見てみたかった。さて、何はともあれ宿探し! よく、女の一人客は断られるという話を耳にするので、こんな当日になって宿がとれるか不安だったが、とりあえず、前日インターネットで検索し、目星をつけていた「駅前温泉ホテル」に電話を入れてみた。出たのは感じのいいおじいさん。恐る恐る泊まれるか聞くと「今夜は、女のお客さんはあなた一人ですが、どうぞ」と快く言ってくれた。やったー!!宿確保。でも、電話を切ってから、おじいさんの女の人ただ一人の言葉が急に気にかかり、もしも夜中に知らない男の人が入ってきたらどうしよう等と不安になったが、おなかが減ってきたので、とりあえず腹ごしらえすることにした。 *右写真 八戸駅(翌朝) ( 夕 食 ) 八戸駅に直結している「ユートリー」という地場産業振興センター内のレストランで「ひっつみ汁定食」という耳慣れない物を注文する。出てきたのは、すいとんのような物と炊きたてのごはん、漬け物だった。一瞬、全部食べきれるか不安になったが、食べ出すと、ごはんもおいしく、ぺろりと完食した。あとは、さっき電話で聞いた宿へたどり着くだけだ。 *右写真 人間サイズに近い大型雛飾り ( 温泉ホテル ) 見知らぬ街の、夜の一人歩きはかなりドキドキしたが、駅から5分ほどで無事ホテルに到着。想像していたよりずーっと広くて綺麗だ。これは、当たりかも知れない!フロントには、電話の対応通り、品の良い親切なおじいさんがいて、テキパキと部屋の場所や入浴時間など説明してくれた。お風呂は、かけ流しの温泉で、男性は大浴場だが、女性は家族風呂で、なんと今日は、そこをたった一人で独占できるのだ。しっかり夜二回、朝一回入って、体もほかほか。つるつる素肌美人に!なれたかな? ( 市内観光 ) 「櫛引八幡宮」 翌朝、タクシーで行くことを勧められたが、倹約倹約!バスを二本乗り継ぎ「櫛引八幡宮」へ。 ここは、南部家初代光行(みつゆき)公の草創と伝えられており、第十五代応神(おうじん)天皇の御神霊が主祭神として奉られているらしい。目的の鎌倉時代初期作の国宝「赤糸威鎧兜」(あかいとおどしよろいかぶと)「白糸威褄取鎧」(しろいとおどしつまとりよろい)を拝観し、運試しにおみくじをひく。出たのは「末吉」。しかも、社務所のガラスに張られた紙には、自分の生年が「厄年」の文字と並んで書かれている。ガーーン!!何年か前に終わったと思っていたのに、、。お祓い料は、五千円前後と書かれている。正直迷った。でも、こんな気持ちで旅をするより思い切ってお祓いしてもらおう。「すみませーん、三千円でも厄払いできますか?」ちょっと、笑われた気がしたが、あまり深く考えず、家内安全、商売繁盛もしっかり祈ってきた。 *右写真 「赤糸威鎧兜」 ( 老舗和菓子店「蔓栄堂」 ) 八幡宮の隣に和菓子屋さんがあったので、バスが来るまで、時間を潰しがてら中に入る事にした。お店の奥は、大小様々なたぬきの置物で埋め尽くされていて、一瞬目を奪われた。たぬきは、ここのお店のシンボルなんだろうか。名物の饅頭を買った後、お店の人にシャッターを押してもらった。私が撮ってもらったのは、反対側の大だぬきの横。 *右写真2枚 「蔓栄堂」 狸とパチリ! |
|
( 市内観光 ) 「屋台村」 またまたバスに乗り、八戸市街へ。博物館や縄文学習館、是川遺跡など、見たいところがたくさんあったが、この日は運悪く、ほとんどの施設が休館していたので、おとなしく美味しい物でも食べる事にした。去年暮れにオープンしたばかりの「屋台村」は、繁華街のビルとビルの間を利用し、左右に色んな種類の飲食店が並んでいた。まだ、何件か空き店舗があり、少し寂しい感じがしたが、その中に、暖かさが売りのような店を発見。その名も「家庭料理 わが家」。早速入ることにした。店は、ガラス張りになっていて、真ん中の平台に、卵焼き、焼き魚、煮物など「お袋の味」が並べてあり、それを取り囲むように、お客さんが左右3,4人、手前に4,5人掛けれる位のこじんまりとした作りだ。奥では、かすり姿のあったかそうなおかみさんが、手際よく料理を作っていたので、昨日覚えたばかりの「ひっつみ汁」を注文した。先客に盛岡から遊びに来たという二人のおばさんと、地元の常連らしき60代位のおばちゃんがいて、最初こそ、借りてきた猫状態になってしまったが、食べ終わる頃には、「若いうちに楽しむことはいいことだよ〜、気をつけて帰りなさいね〜」等と言葉をかけられ、会話も弾み、身も心も温まった。旅っていいもんだなー。 *写真 料理(手前がひっつみ汁) ( 露天風呂 ) 夕方の列車まで、半端に時間が余ったので、八戸駅近くの露天風呂のある温泉に入ることにした。ここは、24時間営業の健康ランドのようだが、昼間のせいか主婦らしき人と中年のおじさんがいるだけで、割と空いていた。受付で入館料を払うと、目の前に「足つぼマッサージ」の文字が輝いて見えた。たった二日間の旅だというのに、普段の運動不足のせいか、左のふくらはぎが張ってきていた。これだー!!20分1800円。血行が良くなってからの方が効きそうな気がしたので、まずは、まったり露天風呂に入り、全身の血を巡らせ、いざ足つぼマッサージへ。 ( 足つぼマッサージ ) 白い衝立の隙間を入っていくと、ぽっちゃりとした20代半ばの女の人が私を迎えてくれた。バスタオルをかけた一人掛けソファに足を投げ出し腰を下ろすと、足にクリームを塗り込みながら「お客さん、初めてですか〜?」と女の人が聞いてきた。一瞬、男の人達は、こういう所が好きなんだろうな等とおかしな事が頭に浮かんだが、はっと我に返り「はっ、はい!」と素っ頓狂に答えた。マッサージは、左の足裏から始まり左膝まで、次は右足裏から右膝までと丁寧に行われた。指の股をギュッと押された時に、ちょっと痛みがはしったが、全体的にイタ気持ち良かった。女の人は、マッサージの資格を取る為に、月に何度か八戸から学校のある東京まで通っているそうだ。新幹線が通ったから便利でしょうと聞くと、お金を節約するため、深夜バスを利用していると教えてくれた。彼女は、主婦、母、マッサージ師の三役をこなしている。今日は、3才の娘さんが熱を出しているので休みたかったが、人手不足のため、後ろ髪をひかれる思いで仕事に来たのだと教えてくれた。自分よりも若いのに、がんばっているんだなー。しかも、私はお気楽に「女一人みちのくの旅」なんて浮かれているし、、、。と、落ち込みそうになったが、ここに、今日来なければ、そんな人と出会うこともなかったのだから、快く旅行に送り出してくれただんなに感謝しようと思った。マッサージ後は、効果を高める為、温めのお湯か水をたっぷり飲むように言われた。次回八戸に来る時には、だんなもマッサージしてもらおうと、連絡先を教えてもらい温泉を後にした。 ( 普通列車 ) 帰りは、リゾート気分ではなく、「青春18切符」保持者らしく青森行きの普通列車に乗る。昨日は、さほど降っていなかった雪が、どんどん降ってきた。途中乗り込むお客さんの頭が雪で真っ白だ。青森に近づくにつれ、学校帰りの高校生が乗り込んできて、車内は賑やかだ。やっぱり、どこの高校生も元気が余っているなー。青森駅で一時間程時間を潰し、蟹田行きの普通列車に乗る。 ( 蟹田駅 ) 「ぽっぽの湯」 最後の列車は、木古内までだが「スーパー白鳥」に乗る為、一時間ほど待ち時間があった。そこで、この旅3箇所目の温泉に入ることにした。温泉といっても、人工温泉らしいが、蟹田駅から徒歩10分弱と聞いていたので、シンシンと降り積もる暗がりの雪道を、看板だけを頼りに歩いて行った。10分経過。ん、ん?、、ない!15分経過、、。どうしよう!道に迷ったかも(T。T)と思った瞬間、それらしき建物が見えてきた。良かった〜!!結局、片道に20分もかかった。ということは、帰りの時間を考えるとゆっくり温泉に入ってはいられない。でも、せっかく迷って辿り着いたのだからと、正味5分ほど時計を睨みながら入った。この旅で一番くつろげなかった温泉だ。頭から湯気をたてながら早足で蟹田駅を目指す。駅についてみると、たった10分程しか、かかっていなかった。なんだ、行きは迷いすぎてあんなに時間がかかったのかー。でも、乗り遅れなく本当に良かった。 ( 最後の列車 )「スーパー白鳥」 来るときは「函館駅」から出発したが、帰りは、木古内〜函館間の普通列車がなくなる時間まで遊んでいたので、だんなに「木古内駅」に迎えに来てもらうことにした。お詫びの印に青森駅で好物の「雪苺娘」も買ったし、あとは、時間通りに到着してくれるだけだ。帰りは、スーパー白鳥も最終便だったので、大きな荷物をもった乗客がたくさんいた。駅に着いたら、なんの話から聞かせようかと考えていているうちに、45分があっという間に過ぎた。うっすらと雪が積もる「木古内駅」のホームにでかい黒い人影がみえた。ああ、無事に一人旅を終えたんだー!!自宅に着くまでの車中では、機関銃のようにしゃべり続ける女がいたのは、言うまでもないだろう。今度は、どこへ行こうかな。 *写真 蟹田駅ホームに入ってきた「スーパー白鳥」 |
「23.5キロ、果たして歩ききれるか!?」
写真をクリックすると、大きくなります!