CAUTION:全ての運動「スポーツ」また自然の知識や安全な対処方法ならびに救助方法を学習・習得する為には実際の環境下(水の上)で正しい指導と安全管理のもと学習ならびに練習する事が大切です。
4.カヤックの漕ぎ方(基本編)

4-5.沈脱&ロール

 沈脱とは、沈(艇がひっくり返ること)したときに、カヌーから脱出することです。何度も沈脱を繰り返すことにより体力的にも精神的にも疲れてしまいます。沈脱をすることなく、そのままカヌーごと起き上がる技術のことをロール(エスキモーロール)と言います。もともと、このロールのテクニックを考え出したのは、厳寒の海で猟をするエスキモーだと言われています。冷たい海で沈したときに、すばやく起きあがらなければ、それこそ命に関わることから生活の知恵から生まれた技術といってもいいでしょう。


 沈脱
1.沈したら、慌てずにコーミングを覆っているスプレースカートをはずします。
2.はずしたら、前転をするように艇から抜け出ます。
3.艇から脱出したら、すぐにコーミングを押し上げて向こう側に艇を倒すようにして起こしましょう。この動作をすばやくしないと艇に水が大量に入って起こせなくなってしまいます。
4.艇を起こしたら、パドルをコクピットにいれて艇を引っ張って岸にたどりつきましょう。
※パドルは絶対に手放さないようにしましょう。流れがあると艇とパドルがバラバラになって後始末が大変になるからです。




 ロール

ロール(エスキモーロール)とは、バランスを崩してカヤックが転覆した時に、艇から脱出せずに艇毎起き上がる技術です。コツ(基本技術)さえつかめばそれほど難しい技術ではないので必ずマスターしましょう。ロールの種類にはCtoCロール、スクリューロールなど、いくつかの種類がありますが、「ブレードで水をとらえながら体をささえ、腰の返しで艇をおこす」と、いう基本は同じで、
CtoCロールはドロー・ストローク、ハイ・ブレイスの延長、
スクリューロールはスウィープ・ストローク、スカーリングの延長線上にある技術です。


★CtoCロールの説明です。
1.体を前かがみにしてパドルを艇と平行になるように並べる。(水面までパドルは出すようにする)
2.体を、パドルを構えている方向にひねりながらスウィープ・ストローク(水面をなでるような感覚で、半円を描く)を行なう。
この時の上半身は英文字のCの形になるようにブレードを水面上に保つことがポイント。
3.ブレードが水面と平行になり確実に水を捕らえていることを確かめ、腰のスナップで艇を起こす。
4.ここでのパドルの動きはドロー・ストロークと同じように見えるが、重要なのは腰の返しで艇を起こすことです。
5.艇を90度以上に返せたら、パドルに水圧を感じながら、肩、頭の順で体を起こすが、最後に頭を起こさないと艇は絶対に起きない。(ここで体の形は逆Cになる)

★スイープロールの動画
動画があるので良かったらご覧くださいな。1.1Mbです。はい。ISDN回線で、映像を開くのに約2分かかります。
←左の画像をクリックするとロールの映像が見れます。

(注)このムービーを見るにはQuickTimePlayerが必要です。

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ロールの練習方法
ロールを身につけるには、まず水中での体の動きを理解し、頭の中でイメージ(イメージトレーニング)出きるようにする必要があります。実際に練習する時は誰かの補助をうけたり、PFD(ライフジャケット)を使いながら練習する方法があります。

1.補助つきで体の動きを覚える。(パドルなし)
まず、自分の艇と直角にサポートしてもらう艇をつけます。サポート艇のバウを手で持ちながら(この時はパドルはなしです)、自艇をひっくり返します。その状態から、頭を水面にだし呼吸をしながら腰を返しで艇を90度以上起こす練習をします。90度以上起こしてからは、肩、頭の順で完全に艇を起こします。サポート艇のバウに力が加わらなくなったらOKです。
2.PFD(ライフジャケット)を使って体の動きを覚える。(パドルなし)
艇がひっくり返った状態で、両手でしっかり握ったPFDを水面に出し(この時、上半身の形は”C”の字になるように)、次にPFDを横に保ったまま、一気に腰を返して艇を起こす練習をします。艇が復元したら、肩、頭の順に上半身を起こします。この時の上半身は逆Cになります。頭は最後まで水面にのこす感覚です。
3.補助つきで練習する。(パドルあり)
最後の練習ですが、この場合補助は艇が起こせない時に、起こしてもらうための補助です。あくまで、自分で起きれるための練習です。この練習方法は上記の図を見て練習してください。

★やまさん独自の練習法
その1(お勧め度bP)
寝る時に、目をつむってビデオの映像を思い出しイメージトレーニングをするんです。今、沈した。パドルをセットした。スイープ。腰を返す。最後に頭。てな要領で。そうすると朝起きた時にはロールが出来てる。このイメージトレーニングが大事でした。要は、ビデオを見て頭にロールの動きを叩き込むのがよかったんですね。
(なるなるさんには感謝してます)

その2(お勧め度:ちょい恥かしいので男性向き)
風呂に入って、足を上げて半分頭を水に浸けた状態(いわゆる沈した状態)で、パドルセットの状態を作るわけですよ。で、スイープして風呂の中で腰を返す練習をするんです。想像してみてください。思いっきり笑えちゃう格好ですよ・・・。(^^)

その3(お勧め度:バタバタうるさいので一戸建て向き)
布団で寝る時に仰向けになりますよね。そのまま足を持ち上げて頭の方に持ってくるんです。寝たまま前屈の状態を作るんです。で、そのまま横にコケる。するとスイープして体が横に来た状態になります。この状態で、バタバタと腰を返す練習をするんですよ。まるで、こめつきバッタのごとく・・・。この時の腰の返しを体に覚えさせるんですよ。
・フィッティングは絶対に必要です。フィッティングしないと
出来るはずのロールも出来ません。(特に腰周りのフィッティング)

総合案内
まず、水深50cmくらいのところで、もたれる事のできる岩があるところを探します。岩にもたれて体を支え、艇を完全にひっくり返したり起こしたりしてヒップスナップの練習をします。この時、体と頭は半分以上水中に沈める事です。(パドルは持ちません)
この練習が重要で、手に頼らずに腰だけで艇を起こせるくらいまで頑張りましょう。
相棒がいるなら、バウレスキューの方法でヒップスナップの練習をします。このヒップスナップがロールの命です。(全てのロールに共通です)この練習の時に頭を最後に上げる癖をつけちゃいましょう。

十分にヒップスナップを体に覚えこませたら、パドルを持って水深30cmくらいの所で同じ格好でパドルを支えにヒップスナップ
をします。この時もパドルに力をかけずにヒップスナップだけで艇を起こすようにします。頭は最後!!

ヒップスナップを充分に練習したら、いよいよロールに挑戦です。(ロールの種類はたくさんありますが、スイープロールを覚えると
スランプに陥る事が少ないですね。)

1.パドルセット(両手の親指を艇につける)
2.猫手にする。(舟の前方の手(右利きなら右手ですね。)を猫手にします。)
3.それからスイープします。(パドルは水中に沈ませずに、出来るだけ水面を掃くように)
ちゃんと猫手になった状態でスイープすればある程度の水圧をパドルに感じるはずです。
4.パドルのブレードが艇の真横くらいに来たらヒップスナップ。この時に、両脇が開いてしまうと失敗します。脇を締めてヒップスナップです。
5.最後に頭を上げましょう(最後までプレードを見てるのがコツです。)

※スイープはスターンまでしっかりやりましょう。

1.パドルセット
2.猫手
3.スイープ
4.ヒップスナップ
5.脇と頭に注意

この順番でやれば1日でロールは出来るようになりますよ。
水の上でやる前にイメトレをしておくと完璧です。(^^)

やまさん独自の間抜けな練習法でした〜〜〜。m(__)m


経験者の話

★ジンさんより

おけいこさん、ナイスなアドバイスです。あと付け加えるとしたら、息が出来る程度に頭(顔)も半分水中に入れてしまうと、 より安定します。ロールの基本の「頭は最後に上げる」と同じです。頭が水面より上にあると不安定になってしまいます。 パドルは「水面を、水面を」スカーリングです。決して、沈ませないようにして下さい。パドルが沈まなければ、体も沈みません。 ゆっくりでいいですから、大きくスカーリングしてみて下さい。

★おけいこさんより
稽古熱心なやまさんに、スイープロール成功に一歩近づく方法を伝授。おちゃらけやまさんの写真ありましたが、あのままバウから90度、いわゆる真横に体をう〜んと投げ出し、パドルもう〜んとなげだし左ひじは、脇をしめて、パドルの浮力に体をあずけます。パドルの浮力でカヤックを90度傾けても、絶対沈みません。もし、失敗してしずんだら、沈脱、または、自分なりに、ロールの練習してください

★なるなるさん
ロールのビデオを見るに限る。これにつきます。私もロールを教える時に 言葉で説明するのが難しく苦労しております。力を使って起きるのでは無いという点が一番難しいようです。で、ビデオを貸して、これ100回見てと言っているのですが、初心者にはイメージを持つというのが、難しいようです。




これで、大体の基本的な動きはおしまいです。
さあ、いよいよ本格的に川へ漕ぎだす準備に入りましょう。

5-1.川の流れを理解する・・・・・・・へ続く



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4−4.直線からのターン4-5.沈脱&ロール5-1.川の流れを理解する