Laboratory : eMate300の充電池の再生について
Last update 2003.04.28
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はじめに
- eMate300ってのはAppleの教育向けのNewton OS搭載のハンドヘルドである。ようはキーボード付きのNewton。グリーンのスケルトンの筐体で子供のみならずおにいさんもおねえさんも魅了した。もともと米国市場の教育市場向けというスタンスでアップルも正式なリリースはしなかったが、結構な数のeMate300が日本にも並行輸入されたらしい。
- MessagePad 2000とかMessagePad 2100のバッテリーは単三サイズの充電池をバッテリーボックスに入れる方式だったため、電池の交換自体は今でも問題なく行える。
- それに対してeMate300は専用のバッテリーパックという仕様であった。ま、子供が使うんだからという仕様なのかもしれないが、Newtonがディスコンされて以降、その入手は困難であった。
- 僕のeMate300もしばらくは順調に稼働していたのだけれど、2002年頭にはすでに電池がへたりはじめていた。症状としては何時間充電しようがインジケータがすごい勢いで減っていき、電力が断たれてしまう。典型的な症状だ。
勇者現わる
- ヤフオクで新品のバッテリーを見つけた。が、終了間際の入札で負ける。かなり凹んだ。
- しつこく検索した結果、バッテリーパックを自作した人を見つけた。勇者だ。
- いわゆるTakaharaレポート。
- もうお一人、www/Gridさん。
- Vintage ComputerのYumikoさんにも貴重なアメリカの情報をいただいた。向こうではバッテリーの再生サービスがあって、実費+送料で再生する術があるらしい。
あなたはわかれみちにたっています
- 自作するか。
- 再生サービスを申し込むか。
- あるいはふて寝するか。
- 選択肢はいくつかある事が判った。ふむ。
Original Data
- 自作する前に、もう少し外堀を埋めようと思って充電池の事など調べてみた。
- 容量1200mAの単三型のニッケル水素4本と温度検知用のセンサーをパッケージ。
- センサー部はバッテリーのコネクタと直結しており、そのまま流用できる。
- バッテリーパックのシールによるとメーカー名はVARTA。ドイツの電池メーカーで、日本にも支社があるようだが、eMate300のeの字も出てこない。
おしえて、えらいひと
- 色々な所で言われているが、容量1200mAの充電池なんか今時手に入らないらしい。今はもっと容量がでかいのだ。
- が、上記レポートを眺めたり、関心空間で調べたりしてみた所、バッテリーの容量は問題にはならないのではないかという結論に達した。
- じゃー作るか、作るぞ。ってことで低ワットのハンダ鏝を買ってきた。
- ついでに電池ボックスも買ってみた。上記レポートは再生サービス以外は電池ボックスに組み込んでいたのだ。電池ボックスなら次回へたったときも交換が楽だもんね。
- と思っていたら、タブ付きの充電池がある事が判った。秋月電子で一個280円で売ってる。これならイケルかもしれない。
レシピ
- タブ付きニッケル水素充電池 × 4
- 熱収縮チューブ
- 裏ぶたを開けるために必要なトルクスレンチ
- ハンダ鏝
- 度胸少々(気合いでもよい)
下ごしらえ
- まず、作業する前にeMate300をバックアップしておく事を強く強く強くお勧めする。と言いつつ、実は僕バックアップしませんでした。すでにシリアルポートを持つマシンが奥深くしまい込まれているためで、面倒くさかったんですね。バックアップしなくても平気だったことは事実ですが、この辺りの改造は自己責任でお願いします。
- eMate300のスイッチを切り、ACアダプタも抜く。でおもむろに裏ぶたを開けバッテリーパックを外す。念のためACアダプタを差しメモリが消えていない事なんかを確認する。
- 取り出したバッテリーパックから流用するコネクタを外す作業。
- カッター等で丁寧に表面の被膜をはがす。中には二本直列にパッキングされたセルが二つと温度センサーが真ん中にアルミテープで貼り付けてある。必要なコネクタ部分はバッテリーに直接ハンダ付けされているので、ささっとハンダを溶かして外してしまう。4本のバッテリーはご苦労様であった。
Do It YourSelf
- タブ付きの充電池を二本直列に並べて、タブ同士を直接ハンダ付けする。一応安全弁がついているけどタブをクリップで挟んで熱対策をしたり、極力ハンダ付け時間は短くしたい。
- さらに、二本ずつの充電池を繋げる。
- 最後に先程取り出したコネクタからリード線をタブにハンダ付けする。温度センサーはバッテリーセルのど真ん中に直接貼り付ける。
ラッピングしますか?
- とりあえず、充電池はこれで再生できた。仕上げに充電池全体を熱収縮チューブでラッピング。
- 買ってきたチューブの厚みが結構あったのでもともと電池パックを収めていたケースに入らなくなってしまった。ペットボトルのラベルで代用できるのでちょっとスリム化してみようと思う。とりあえず現状はそのままえいやで突っ込んでしまった。
さてさて
- 一晩ACアダプタを接続して充電してみた。結果は良好。ちゃんとバッテリーのインジケータもchargingからchargedになる。
- 満タン状態からどの程度使えるのか。これからならし運転をしてみるつもり。しばらくしたら結果をアップします。