佐渡島日帰りの旅レポート

日帰り佐渡半周の旅
「二ツ亀〜大野亀〜尖閣湾〜佐渡金山〜大佐度スカイライン〜朱鷺の森公園」を行く。

二ツ亀と大野亀 佐渡市

「佐渡島」
沖縄本島を除けば、日本で一番大きな島である。
昔は「流人の島」と言われたらしいが、今では観光の島である。
・・・が、佐渡に訪れる観光客の落ち込みはかなり厳しい。
平成3年は121万人とピークに達したものの、その後はどんどん減り続け、
平成16年では66万人にまでほぼ半減している。
新潟県のPR不足など観光下手の影響もあるだろうが、
実際に佐渡に行ってみて、「あぁ、リピータはなかなか難しいだろうなぁ」と
思った点もいくつかあった。(これについてはあとで述べたいと思う)

さて、自分は今回10年ぶりに佐渡に訪れた。
日帰りの強行スケジュールではあったが、佐渡の絶景ポイントをいくつか廻った。
ではレポート開始である。


AM3:35 自宅出発
AM3:00には起床し、3:35には自宅を出発した。なぜこんなに早いのか?
それはわざわざ新潟港からジェットフォイルに乗るためである。
直江津港からも便があるが、一番早い便でもAM9:30しかない。しかも、ジェットフォイルが廃止された為、
カーフェリーのみだ。よって、小木港に到着するのは昼を過ぎる。
これでは日帰りは無理だ。(ちなみに7月〜8月は早朝の便もある)
すぐ近くに直江津港があるのに新潟まで行かなくてはならないこの不便さ。

どうにかして〜佐渡汽船様!!


↑ 米山SAにて小休憩。佐渡を見渡す・・・ が、どんよりしていて見えない。

さて、自宅を出発したには3:35であるが、最寄のICは「柿崎IC」
4:00までにインターチェンジに入れば「ETC深夜割引」の対象になるのだが、
ゲートを通過したのは な、な、な、なんと 4:01 (悲)
「新潟西」ICを出たのは5:30過ぎであり、6時から対象となる通勤割引の対象にもならない。
4時〜6時は割引のない”魔の時間”であった。
隙間をつかれた感じだ。これもどうにかならぬものか?

AM5:40 新潟着。まだ朝が早いので人は極めて少ない。
朝食を食べに駅南(米山)付近の すき家に入る。
腹ごしらえをして、いざ新潟港 佐渡汽船を目指す!

↑ AM6:20  佐渡汽船の駐車場に車を停め、いよいよ乗船手続きを行う。
インターネットで予約はしていたのでスムーズに手続き完了。

↑ AM 6:50  いよいよジェットフォイルに乗り込む。当たり前だが、カーフェリーに比べ拍子抜けするほど船体は小さい。
走り出すと、ジェットフォイルについての説明がアナウンスされる。
アメリカ・ボーイング社が開発した高速旅客船。水面下の翼とジェット噴射によって、時速およそ80キロで航海することができる。
海面より「浮上」して航行するので、波で揺れることがなく、船酔いしにくい、という特徴がある
確かに揺れは少なく、速い。海面から浮上して走っているとは驚きである。
ちなみに席は全席指定、禁煙である。

↑AM 8:00  新潟〜両津 間はおよそ1時間。一眠りしていればあっという間に到着する。
レンタカーの手続きをしていざ、出発!!

↑ AM8:15 佐渡汽船を出発し、二ツ亀を目指し車を走らせる。
「内海府海岸」を通るルートだが、このルートは穏やかな海が広がるが景観的には特筆すべきところはない。
しかし、走りながら思った。”あまりにも道幅が狭い”という事だ。
「内海府海岸」を含む佐渡を一周できる海沿いの県道(佐渡一周線)があるのだが、
あまりにも道路が狭い。場所によってはすれ違いも困難なほどである。
自分的には、北海道の果てしなく長い海沿線を走った経験上、佐渡の一周なんて簡単さ!(今回は一周はしないが)
と思っていたのだが、大違い。道幅が狭いからスピードが出せない。
ストレスも溜まる。まあ、佐渡の内陸部は違うのだろうが、海岸ルート(佐渡一周線)はそういう道なんである。


↑ AM9:00  両津港から50分ほど車を走らせ、たどり着いた
「二ツ亀」

2匹の亀がうずくまるように見えることから名が付いた佐渡最北端の景勝地。
次に訪れる「大野亀」と並び、佐渡で屈指、いや県内ナンバーワンの絶景ポイントだろう。
海水浴場になっており、夏には多くの客で賑わう。
我々は海岸まで降りなかったが、海の綺麗さ、透明度は抜群である。





↑ 展望台から遠くに見えた「大野亀」
何とこの「二ツ亀」〜「大野亀」まで海岸線を歩く遊歩道が整備されているらしい。
写真を撮ってあげたおばさんがそう話して1人で歩いていった。
時間はかかりそうだが、海も綺麗だし、景観も素晴らしい。魅力的なルートなんであろう。
次回は時間をとってぜひ歩いてみたい。

↑ 何度も言うが、実に綺麗な海である。
 案内板によると、「環境庁認定 日本の水浴場55選」に新潟県で唯一選出されているという。
シーズンには多くの海水浴客で込み合う。

↑ 「二ツ亀」と「トビシマカンゾウ」
次に訪れる「大野亀」はトビシマカンゾウで有名だが、二ツ亀でも少しだけ咲いていた。

↑ AM9:25 
「大野亀」へ到着。
観光バスもいて、プチ賑わっていた。

見事に咲いていた大野亀の「トビシマカンゾウ」
花の写真はこちらのコーナーで ”くびきの花めぐり(大野亀のトビシマカンゾウ)”

さて、しばし トビシマカンゾウの撮影を終えたところで、「大野亀」へ登頂だ。
「大野亀」は、巨大な一枚岩だというから驚きである。
日本三大巨石の一つに数えられていて、頂上からの美しさでは日本一だという。

いよいよ登頂開始だ。
山頂の高さは160メートル。20分ほどのトレッキングになるらしい。

↑ 歩き始めて数分、一人の男性とすれ違う。どうやら大野亀の山頂から戻ってきたようだった。
その人いわく「いやぁ、山頂の景色は素晴らしいですよ。ただ、道は急だし、悪路だし、
気をつけてくださいよ〜」と興奮して話していた。その男性、話し出したら止まらない。
熱っぽく関西弁で語っていたが こちらもあまり時間はない。
「では頑張って登ってきます!」と言って振り切って逃げた(笑)

↑ 確かにその男性の言う通りであった。
上り口はたいしたことがないと油断していると大違い。
一気に急な斜面となる。 気軽なトレッキング気分で行ってはいけない。
完全なプチ登山である。しかも、道幅は狭いし、足を滑らせたら危険極まりない。

↑ 登山道から見える海もまた格別に綺麗だった。
トビシマカンゾウは大野亀の中腹まで咲いている。


↑ 登山道の途中で出会った「トビシマカンゾウと二ツ亀」の展望。
絶景である。 この中腹からの展望は、「県内の絶景ポイントナンバーワン」と言っていい程だ。


↑ 登り始めておよそ20分、「大野亀」山頂に到着。
汗でびっしょりでTシャツはズブ寝れになった。


↑ 「大野亀」山頂から外海府海岸の眺め。 次に目指すのはこの先にある「尖閣湾」である。

↑ 頂上には「善宝寺石塔」が建っている。地元の漁師たちを見守ってきたという。
大野亀の「亀」という言葉はこの周辺では「神」を指すとの事だ。

↑ 駐車場付近を望む。足がすくんでしまう高さだ。

↑ 登ってきた道を引き返す。下り道の方が危ない。転んだら海に転落だ。慎重に下っていく。

↑ 無地に下山し、駐車場に戻ってきた。次に向かうのは「尖閣湾」である。



↑ 「尖閣湾」を目指し、車を走らせる。
15分ほど走ると、巨大な橋が出現した。「海府大橋」だ。
観光バスが橋の脇に車を停め、観光客が橋の中央まで歩き、
なにやら橋の上から真下をのぞいている・・・なんだろう?

↑ 橋の真下は急峻な崖の岩場となっている。
そこには海岸に落ちる絶景の滝、
「大ザレの滝」があるのだ・・・が、しかし
水の流れはわかるが滝は橋の真上からは全く見えない。

↑「海府大橋」から望む外海府海岸。
滝を見るのは、民宿などから漁船に乗せてもらい海から見るしかないようだ。

ちなみにこの写真が「大ザレの滝」
佐渡観光協会のホームページから勝手にコピーしてしまいました(許して)
落差は100メートルほどあるという。
ちなみに「海府大橋」は県下ナンバー1の高さを誇るほど高い橋なのだ。

↑ 海府大橋を超え、「押出岬」付近からは絶景が展望できた。
この道路沿いに無名の滝(名前があるのかもしれないが)が流れていた。
気づいたときには通り過ぎてしまい、「大野亀」登頂で疲れていたので引き返す気力もなく
今回、写真に残ってはいない。


12:10 尖閣湾 達者海水浴場

遊覧船の乗ろうと思い、尖閣湾にやってきた。
訪れたのは「達者海水浴場」 ここから遊覧船が出ている。

↑ チケットを買ってから出航するまで30分程度時間があったので、ここで昼食をとる。
遊覧船乗り場でしばし待機。近くの岩場に「岩ユリ」が咲いていた。


↑ さて、乗船開始。 ・・・って、我々の他に乗船したのはたった2人!!
ちょっと寂しい。



↑ いよいよ走り始める。 同時に 昔若かったおばさんによる尖閣湾についてのガイドもはじまった。


↑ 「尖閣湾」は 達者から揚島までの長さ2キロほどの海岸線。海から切り立った断崖は高さ20メートルにも及び、
その起伏にとんだ海岸は「日本の渚百選」にも選ばれている。

尖閣湾の名前の由来は、世界一の海岸美としてノルウェーのハルダンゲルフィヨルドの景観に勝るとも劣らない景観であると、
ハルダンゲルフィヨルドをそのまま日本語にしたのが尖閣湾。だそうな。


ちなみに、紛らわしいのが 尖閣湾には「尖閣湾観光」と「尖閣湾揚島観光」がある事だ。
尖閣湾の南にあるのが尖閣湾観光、北にあるのが尖閣湾揚島観光。
尖閣湾観光は、達者海水浴場のすぐそばにあって、サメの形をした海中透視船「シャーク」と、100名まで乗れる「遊覧船」がある。
一方、尖閣湾揚島観光は、佐渡と揚島を橋で結んで、そこから尖閣湾の景観を一望できるのだ。また、こちらも海中透視船が出ている。


↑ こちらは北側の「尖閣湾揚島観光」付近。
遊歩道や橋があり、歩いて尖閣湾を眺めることができる。 「君の名は」のロケも行われた橋だ(架け替えられたが・・・)
我々は南側(達者海水浴場側)だったので、遊覧船から眺めるしかなかった。




13:30 史跡「佐渡金山」
私としては、佐渡を訪れるのは今回で4回目となるわけだが、
「佐渡金山」は小学生以来となり20年弱ぶりか?


↑ 平日とはいえ、駐車場に車はほとんどいなかった。

↑入場チケットを購入し、暗闇のトンネル(坑道)に入る。
リアルな等身大ロボット達により、江戸時代の鉱山作業の様子が
よくわかるようになっている。 中はとてもひんやりとしていて寒いくらいだった。

↑ トンネルを出ると、資料館がある。「小判」の完成までの資料や、
当時の街並みを再現したリアルな模型などが展示されていた。


↑ 資料館にある「触れる金塊」
12.5キロの純度99.99%の純金塊。直に触れることが可能。
ケースに手を入れて、金塊を取り出したら記念品がもらえると言う。
手はやっと入る大きさだし、金塊は片手では持ち上がらないので、まず取り出すのは不可能だろう。
あなたも行ってチャレンジしてみては!

↑ 資料館を出ると、お土産屋さんへと続き、出口となる。
売店で買った「金ぷんソフトクリーム」
かなり美味しかった。



14:20  
大佐度スカイライン
「佐渡金山」から「大佐渡スカイライン」へと向かう。 ヘアピンカーブの連続であり、運転には慎重さが必要だ。
グングン高度は上がっていき、視界もひらけてくる。


「小仏峠」から見えた”国仲平野と真野湾” 
「尖閣湾が見えます」というビューポイントもあったが、木々が邪魔して見えなかった。

↑ 大佐渡スカイラインの途中にあった「トビシマカンゾウ」の群生地。

”大平高原”という看板が建っていた。大佐渡スカイラインで「カンゾウ」が見れたのはこの場所だけである。


↑ 走り始めて40分。今度は下り始める。すると、そこには絶景ポイントが待っていた。


 「白雲台」展望台。
廃墟となった旅館の屋上を利用した展望台。
建物は古いので、あまり良い気分はしない(笑)のだが、とにかく眺めは素晴らしかった。


↑ 「白雲台」からの大パノラマ。 ここからの展望は、佐渡を一望できる。

↑ 左手に「両津湾」 中央に「国仲平野」 右手に「真野湾」と超大パノラマ。
佐渡随一の景勝地であることは間違いない。


↑ すぐ近くに「金北山」が見える。標高1172メートルの佐渡最高峰だ。
頂上には自衛隊のレーダー基地がそびえたっていて、何とも重苦しい雰囲気が漂う。

↑ 「白雲台」から両津方面を望む。ここから一気に下山し、次に向かうのは
本日最後の観光スポット「朱鷺の森公園(佐渡朱鷺保護センター)である。




15:40 
朱鷺の森公園(佐渡朱鷺保護センター
帰りのジェットフォイルは両津発17:30である。
時間的に本日最後の観光ポイントなる。


↑ 駐車場に車を停め歩き出す。
まず「資料館」があり、こちらから見ていく。 日本の最後の朱鷺「キン」のはく製が展示されていた。
ちなみに”協力費”という事で、入場するには大人一人200円かかる。

資料館を出ると、朱鷺を飼っているゲージを観察できる。
と言っても、ゲージまで20メートルは離れているので双眼鏡で覗く事となる(双眼鏡は常備されている)
お〜い、やたら遠いぞ。
日本産の朱鷺は絶滅したが、中国産朱鷺のペアリングの成功により、現在100匹程度が飼育されているそうだ。
待望の野生復帰も数年内に行う予定らしい。
「佐渡朱鷺保護センター」のホームページへ

内容的には「資料館」「飼育ゲージ」を見て終わりとなるので、見学時間はあっけないほど短い時間で終る。
他は公園となっているので、園内をさまようのも手かもしれない。


PM4:20 両津港「佐渡汽船」到着。


まず、レンタカーを返却。今回は佐渡汽船のインターネットプラン「日帰りレンタカープラン」を利用した訳だが、
レンタカーは9時間利用で8,500円(カローラ)だった。
ちなみにガソリン代も含まれているらしく、満タン返ししなくてよかった。
この料金、安いんだか高いんだかよくわからない。
まあ、佐渡の道はこのページで何度も述べているが、道幅が狭いのであまりスピードは出せない。
よって、1日で走る距離も限られているから満タン返しは不要なんだろうか。
それでも我々は、一日で120キロ強走った。

お土産を買っていたら、時間はすぐに
出航時間のPM5:30になった。
ジェットフォイルが走り出す。おー、やはり速い。 ウトウトしていたら、
夕方のオレンジ色に染まる新潟市の街並みが見えてきた。幻想的だ。


余談ではあるが、
新潟〜両津〜小木〜直江津 間は国道350号線である。
両津〜小木間は当然、陸地に道があるが、
ジェットフォイル航路の
新潟〜両津、小木〜直江津間もなんと 海上の国道
なのだ。
意外とこの事実を知っている人は少ないかもしれない。
佐渡の有志が 進まぬ佐渡の道路整備の為、国道の設置を国に依頼したが、国道は
都市と都市を結ぶ動脈であることが前提であるとの事。
当時の政治家「田中角栄」に相談したところ、海上の国道案がでて、
新潟〜佐渡〜直江津を結ぶ国道350号線が誕生したとの事である。


PM6:30 新潟港到着。
ジェットフォイルは定刻に新潟市に到着。
佐渡汽船駐車場(朱鷺メッセと共通)に車を停めていたのだが、この料金もバカにならない。
2,000円強はとられたと記憶する。 ちなみに1泊以上の佐渡旅行であれば、助成金もあるらしいが、
日帰りは対象外であった(悲)

↑ 駐車場を出発し、自宅へ向かう。
が、なぜか方向を間違えて「新潟みなとトンネル」へ寄り道。
確か、5年位前に完成したトンネルと記憶する。立派なトンネルであるが、
同時期に「柳都大橋」なるものも至近距離に完成していた。
ふたつもいるのか? どう考えても税金の無駄遣いではないのか?

↑ 高速道路に乗り、自宅を目指す。
「新潟西」〜「柿崎」ICまで 今度は”ETC通勤割引”の対象となり半額となった。
それにしても日本の高速料金、まだまだ高い。

PM9:30 自宅へ無事に到着。
次の日は仕事だったのだが、さすがに疲れていた。




<感想>
それにしても日帰りとはいえ、かなり充実した内容だったと思う。
今回の一番の目的は大野亀に咲く「トビシマカンゾウ」の撮影だったのだが、
天気にも恵まれ、たくさんの写真が撮影できた。
佐渡もほぼ半周し、限られた時間の中でいくつかの観光スポットも廻ることができ、
充実した内容だったと思う。

しかしながら、佐渡の観光シーズンからはずれているとはいえ、
直江津港から日帰りできないこの不便さ。
これはどうにかして欲しい。

また、停滞している佐渡観光。
7〜8月はある程度賑わうんだろうが、
平日の6月とはいえ、なんだか悲壮感が漂った。

佐渡と聞いて真っ先にイメージするのは「佐渡金山」や「たらい舟」であると思う。
しかし、これではリピーターはやってこない。 小学校の修学旅行どまりである。

もっと、綺麗な海(マジ綺麗なのだ!!)や、
「大野亀」や「二ツ亀」などの手付かずの大自然をアピール
してもいいんじゃないだろうか。
新潟県はホンキになってPRしてもらいたい。
これだけの大きな観光島を抱えているのは新潟県だけなのに・・・
魅力がまだまだ残っている島なのにもったいないのだ。

寺泊港から出ている格安の「佐渡日帰りツアー」などはとても好評と聞く。
しかし、滞在して楽しんでもらうためにはどうするか?
今後の課題だろう。


自分は近いうちにまた佐渡に行ってみたいと思っている。
「佐渡一周」を成し遂げ、
このホームページ上でも 佐渡をもっとアピールしたいと思う。



2006年6月10日