1. 少し背伸び
「パンネロさん」
「何ですか?」
ちょいちょい、と手招きしてラーサーがパンネロを呼び寄せる。
「ちょっとここに立っててくださいね」
「え?はい?ここですか?」
不思議そうに首を傾げたパンネロのすぐ脇に転がるどうという事の無い岩の上に、
ラーサーはひょいと身軽な動作で飛び乗って。
「なるほど」
と一人で会得したように満足そうな顔で頷いている。
「ラーサー様??」
「あ、大した事じゃないんです。ありがとうございました」
ますます不思議そうな視線を岩の上に立ったラーサーに向けたパンネロだ。
「何やってんだ、アイツ」
そんな二人の姿を目に留めたヴァンの肩をトンと叩く手。
「背伸びしたいお年頃なんだろ」
「背伸びぃ?」
「上からしか見えない景色もあるって事さ」
ぽかんと口を開けたままのヴァンに小さな溜息をプレゼントしてから、
弾むような足取りで岩を飛び降りたラーサーの隣にバルフレアは足を伸ばす。
「何かいいモン見れたかい?」
パチパチと瞬きをするラーサーにニッと笑んで。
「上目遣いって―――クるもんがあるよな」
カァ、と見る間に頬を染めた少年の初々しい反応に満足したバルフレアは、
その特権を生かすべくパンネロに声を掛けたのだった。
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モドル
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見上げるのと見下ろすのでは随分見る景色が違うだろうというお話。
バルフレアはパンネロやアーシェの上目遣いにニヤニヤすればいい。
フランは見上げる側…か??
→オマケSS