ヤギの飼い方   
 ヤギの飼い方で大切なことは,愛情を注ぐことです。飼育者の前ではおとなしいヤギが,他の人には荒い行動を示すことになります。
そのために
【ヤギとのスキンシップ】

(1)ヤギと自然に接し,エサをあげる時に名前を呼んだり,ふれあう時間を多く持ったりすれば,なついて寄ってくるようになります。

(2)手で体をなでたり,毛をブラッシングしたりしながらヤギにやさしく声をかけたり,名前を呼んだりして信頼関係を築きましょう。

(3)ヤギに恐怖心をもたせないよう,ヤギの行動に腹を立て,たたくなどの行為や力で従わせようと手荒い行動をくり返したりしないようにしましょう。

(4)犬用の首輪とリードを付けて好きなエサのあるところに散歩に連れて行くようにすると,自然に自分から近寄ってくるようになります。

(5)離乳の方法
子ヤギの発育の状態や固形飼料の食べる様子を観察して,一般的に子ヤギが生まれて70〜80日(産後2カ月半)位で離乳する方法と,40〜50日で母ヤギの代わりにヒトがから人工哺乳する方法があります。
子ヤギは,生後10日を過ぎると乾草や固形飼料,人工乳(40℃程度に暖めたミルクを直接飲ませる)を食べ始めるので,自由に食べられるようにしておきます。人工乳の量を増やすと離乳がスムーズにいきます。
 
 
 除角(焼きごて)の方法 ヤギの角は,飼育・管理する上で,ヤギ同士の争いでのヤギのけがや飼養者や他のヒトをけがさせる恐れや危険があります。飼養する目的や安全をよく考え,必要に応じて『除角』をしましょう。 
  (1)除角の時期は,生後7〜10日

(2)除角の準備
@角があるか無いかの確認
◆角の生えるヤギは,頭部の毛が渦巻きを巻いており,突起が確認できます。オスヤギの方が生育と角の成長は速いので,子ヤギが生れて一般的に7〜10日と言われています。

(3)除角の注意
◆除角時期が遅い場合,オスヤギの場合は,角芽が広いため,角芽が完全に除去されていないと変形した角が生えてくるので再度除角が必要なことがあります。
◆傷に雑菌が入り化膿することがあるので,除角の痕(あと)を観察し,化膿している場合は獣医師に相談します。
◆化膿した所を消毒し,抗生物質軟膏を塗ったり,抗生物質を飲ませます。
やり方は,牛用の電気除角器を使う方法があります。北原電牧製(デホーナー)

(4)必要な道具

@電気除角器「デホーナ−」(チップ25) A電気ごて Bはさみ Cマジック
Dヨードチンキ Eひも(子ヤギの保定) F手袋

(5)除角の手順

@ 【保定】
◆子ヤギを横に寝かせる。両足を交差させ,動けないようにひもでしばる。きつくすると足に炎症を起こすのでしめすぎないように注意します。
◆あぐらのまたの間に子ヤギの頭をはさみ,固定する。こうすることで,子ヤギに与えるストレスの低減と感染症の危険性が低減できます。
A【毛がり】
◆角のまわりの毛をはさみで切ります。
B【印をつける】
◆角の中心(周囲)をマジックで印をつけます。
C【焼きごての準備】
◆電気ゴテを一度,最高の500℃に上げてスイッチを切って約2分後に冷ましてから作業開始する。

D【除角1】
※電源を入れ,約12分でチップ部分が「500度」になります。
◆子ヤギに火傷をさせないよう,頭と耳の部分をいっしょにつかみ,しっかりとおさえます。
◆除角場所に先端を軽くおしつけ,1秒から2秒で焼け具合を確かめます。
◆電気除角器の中心が角の中心になるようにして,5〜10秒間,角の根元に押し当てます。
※「角芽の部分」を除角器でえぐるようにする。
※頭蓋骨にあたった「かたい感触があった時点」で押すのをやめます
◆電気除角器で止血し,焼き切る。
◆数回,これを繰り返すと,角の周りの皮膚が完全に角から離れて円形になります。
骨まで達する白いラインになれば,角の表膜がこげて脱剥します。

E【除角2】
◆周囲が焼き切れたら,除角器を横向きにえぐるように動かして角の周囲にある角芽をコテ先でこそげとる。(焼き切る)
◆ふちにに電気ごてを当てて,皮膚が付着している部分をはがしながら焼き付けます。
※少し,休んでから,もう一方の角も同じ様に処置をします。

F【消毒】
ヨードチンキやマキロン,または抗生物質軟膏を塗って消毒します。

(6)除角後の注意

子ヤギの様子を見て,2〜3日は外に出さず,安静にする。除角2ヶ月になるころには傷も癒されます。 
 
 
 
   
 去勢(オスヤギ)

「ゴムバンド」の去勢方法
オスヤギは,成長と共に,臭いがきつくなり,メスを追いかけたり,頭突きをするなど,性格も荒くなります。オスヤギを草地の管理や情操教育,ふれあい目的などに利用する場合は,去勢を行った方が扱いやすく,繁殖シーズンの臭いも抑えることができます。また,顔や被毛などを尿などで汚さないので,見た目も清潔です。方法は,睾丸を輪ゴムでしばることにより,血流を止め,萎縮させて去勢をします。 
  (1)去勢の時期
成長してからの去勢は,ヤギにストレスがかかるので生後14日(2週間)から1ヶ月以内にします。

(2)去勢の注意
※あまり早く行うと,尿道の発育に支障をきたし,「尿石炎」などを起こすリスクが高まると言われています。
(3)去勢の準備

@ひも A筒(ビニールパイプ)〈直径25mm水道パイプ,長さ10cm〉
B#260の輪ゴム

(4)除角の手順

@子ヤギを寝かせて,前足と後ろ足をひもで縛るか,またの間に仰向けに抱いて保定します。

A睾丸(こうがん)を確認して,睾丸を入れる筒の回りに輪ゴムを
4〜5重に巻きます。

B筒を手に持ち,睾丸のふくろを筒の中におさめていきます。

C入れたら,筒に巻いた輪ゴムをゆっくり睾丸の根本にずらして,筒をはずします。
睾丸が2つ,輪ゴムできちんとしめられているかを確認をします。

D処置後,
約2週間から1ヶ月すると,萎縮(いしゅく)した睾丸は壊死(かいし)して,自然に落ちます。

※簡単な方法ですが,この方法は,子ヤギのストレスがかなり強いことに留意する必要があります。