ミニヤギ飼育の実際-私の失敗例とヤギの習性から-
ヤギの飼育は,飼育場所や周りの環境等により変わります。ヤギをよく観察し,その習性を知り,飼育の工夫をすると良いと思います
 ヤギ小屋の作り方飼養施設と設備
(1)ヤギ小屋
入り口

ヤギベット
   
   
    ヤギ小屋の入り口は,作業がしやすいよう一輪車が通る幅に垂木とコンパネで作りました。ヤギ小屋は,みかん倉庫の軒下を改造して作りました。部屋は,夏は風通しが良く涼しく,冬は暖かいように考えました。ヤギは,暑さや湿った所が苦手です。湿気対策として,床が乾燥するようブロックを置いた上に厚板を敷いたり,スノコを置いたりして床を高くします。また,糞尿で体を汚さないよう,上にワラやカンナクズをまいておきます。
    また,床をコンクリートにして,かんなくずやワラをしいています。掃除がしやすいようヤギのベッドも作りました。ヤギのベッドは,掃除が楽で良いのですが,お産をしたメスがいる場合,ベッドを高くしすぎると,ベッドの上がり下りが大変なので低く作りました。フンやおしっこは厩肥(きゅうひ)として,ミカン畑や野菜畑に入れて肥やしにしています。今度は,堆肥場を作る予定です。
①広さ
(1~2頭の場合) 
    部屋の広さは,子ヤギが産まれることを考え約3.3㎡から6.6㎡ぐらいで,我が家では,約2m×3m(6㎡)の広さにし,板で2つの部屋に仕切っています。それは,出産して,子ヤギの授乳期間に,オスヤギが子ヤギを踏みそうになったり,頭で振り払ったりすることがあったからです。できればオスヤギは子ヤギと離して,個別に飼育できる部屋を作った方が良いと思い,ただいま増築の準備中です。
②屋根と柱     屋根は,材料にアスファルトシングルやトタン,合成樹脂のトタン板を使って作りました。屋根を高くしすぎて強風ではがれたり,雨が中へ降りこんだりすることがありました。屋根はあまり高くしない方が良いと思います。屋根を支える柱は,ヤギがかじったり,オスヤギが頭突きをして遊ぶので太く,頑丈な柱にしました。また,ヤギ小屋の中の壁は,コンパネやトタン板を貼りました。 
③壁       ヤギの身体はいつも清潔にしてあげるようにしています。ミニヤギは,性格が温和で,穏やかに接するとよくなつきます。体がかゆい時や遊んで欲しい時は,近づいてきて体をこすりつけてきます。そこで,ペット用のブラシで毛なみにそってブラッシングしてやります。それ以外に,外の遊び場に竹を組んで,身体がかゆい時,自分でかける竹の壁を作りました。
④柵
外回りの柵
差しかけの柵
 
    外回りと差しかけの柵は,金網にしました。以前,放された飼い犬にヤギが襲われたことがあったからです。柵は,ヤギが野犬から身を守るのに大切です。最初は,竹で作ったのですがすぐに壊れてしまいました。次にコンパネで囲ったのですが,オスヤギが頭突きをして遊んだのでイノシシ侵入防止柵用の金網を買い,又釘(またくぎ)で金網を固定しました。冬はブルーシートやコンパネを建てかけて,部屋に冷たい風が入らないようにしています。
(2)小屋の外
差しかけ
雨どい
  ヤギは,雨や強い日差しが苦手です。そこで,雨や日よけのため,差し掛け(母屋から差し出してつくった片流れ屋根)を作り,地面にスノコを敷きました。また,差しかけの中へ雨が入らないよう,屋根に降った雨水を集めて流す「雨どい」をつけ,排水路へ流すようにしました。
(3)運動広場        ヤギが自由に日光浴,運動ができるよう広場を作りました。広場の周りを初めは,竹で囲っていましたがすぐにこわれて,金網で柵をすることにしました。金網は,1m間隔で支柱(鉄筋)を打ち,針金や結束帯で固定します。また,広場の真ん中は,地面の排水を良くするため土をもり,遊び台を置きました。
(4)換気       ヤギは,湿気が苦手です。換気をするために扇風機を設置し,空気の流れをつくって,部屋の空気が入れかわるようにしています。扇風機の電気コードをヤギが食べたことがあったので,ヤギの届かない高い位置に置いて使っています。 
(5)日よけ
  ヤギは,暑さが苦手です。夏の暑さ対策,日射病の予防は必要です。そのため,広場の中にテラス果樹(桃,イチジク,柿,ウメ,サクランボ,ブドウ等)を植えて日陰(日よけ)をつくりました。果樹は,ヤギの餌にもしています。我が家では,イチジクと桃を植えていますが,下枝の葉と幹はすっかり食べられてしまいました。幹の周りは,金網を張った方がよかったようです。牧場の外には,ミカンやアンズ,クルミ,リンゴ,カキの木も植えて,季節によって新鮮な葉っぱが食べられるようにしています。  
(6)遊び台       ヤギは,高いところが大好きです。運動広場の中央や桃の木の周りに遊び台を作りました。ヤギは好奇心が旺盛なので,すぐに竹や杉の丸太で組んだ「遊び台」に登って遊んでいます。
(7)飼槽
えさ台
えさ箱
  
    ヤギは,餌が地面に落ちて汚れたり,ぬれたりした餌は食べません。飼槽(えさ台)から餌が落ちたり,こぼれたりしないよう,えさ台はヤギの首の高さかそれ以上の高さに作ります。
飼槽(えさ台)は,木箱に足をつけ,底に穴をあけて,雨や露にぬれない場所に置いています。ヤギは,同じ種類の餌にすぐあきたり,新しい餌はなかなか食べようとしません。我が家では,飼料を与える時,えさの種類(配合飼料,圧ペントウモロコシ,干し草)によって赤や青,緑色のえさ箱で餌を分けて与えるようにしています。
(8)水入れ     ヤギは,水をあまり欲しがりません。でも,夏場は,よく飲んでいます。そこで,簡単に水をくんでおけるよう「バケツ」を使っています。これまで,ヤギの身体にあたってひっくりかえしたり,中にミや糞尿,雨水が入ったりしたこともあったので,丸太に古い鍋をくぎでうちつけ,中にバケツを置いて高くし,ヤギが楽に水が飲めるようにしました。水は,1日1回は取り替えるようにしています。
(9)虫除け
鉱塩
    ヤギは,蚊が苦手です。しっぽをしきりにふって払います。これまで,いろいろ試したのですが,ペット用の蚊取り線香を使っています。しかし,小屋の中で蚊取り線香をたいて,ひっくりかえすと火事の危険があります。そこで,古い鍋を高い位置にくぎで固定し,鍋の中に「蚊取り線香」を入れて使っています。また,アブやハエなどの虫には,殺虫スプレーを使っています。ヤギのミネラル,塩分補給に「鉱塩」を使っています。ミネラルの欠乏は,食欲減退,活力のない皮膚,発育不良,繁殖性の低下を引き起こします。鉱塩は,農協で,4670円で購入しました。(5kg×4個,固形カウストン100TZ)
(10)エサ     ヤギをみかん畑に放牧して除草する時は,有毒な植物に気をつけ,自由に青草を食べさせるようにしています。梅雨時期は草がぬれていたり,青草ばかり与えていると,下痢や糞が軟便になりやすいこともあったので,できるだけ刈り取った草は少し乾かして半乾きのものを与えています。エサは,朝と夕方に与えるようにしています。冬場,エサの少ない時期は,竹の葉を与えたり,広葉樹の葉や樹皮を好んで食べるのでミカン,ビワ,クリ,カキ,クヌギ,茶,シイ,クルミの葉を集めてストックし,与えるようにしています。 
ヤギ小屋の増築   
      これからの梅雨時期,雨降りにもヤギさんが活動できるよう,今ある部屋の壁を切りぬいてとなりに部屋を作りました。これで,ヤギさんと人が屋根のある部屋で自由に出入りし,ふれあえることができます。材料は,垂木と2×4材で柵をつくり,金網を又釘で固定しました。天井は,たなを作って,ものがおけるようにしました。 高さは120cmで,金網の上にヤギさんが乗り越えないよう,横に1本,垂木を入れました。
    ドアは,余った金網と垂木で作りました。照明もつけたので暗い時間でもヤギさんとのふれあい,観察や世話がしやすくなりました。しばらくこれでヤギさんたちの様子をみてみましょう。