衣類


近所のコンビニや、友達の家に遊びに行くならば、何を着ていても構わないのですが、ツーリングや登山を想定して、書いています。また、バイクの走行中は、風により体温が大量に奪われているので、体感温度は、気温の−10〜−15度したモノになるそうです。


基本概念

服は暖を取るために着るのですが、服は通常発熱しません。なぜ暖かいというと、自分の体温で暖めた空気を、服の内側に留めているからです。この体温で暖まった空気を、デッドエアと言います。このデッドエアをいかに逃がさないかで、暖かさが決まり、いかに逃がすかで、涼しさが決まります。冬はため込む工夫を、夏は逃がす工夫をすればいいわけです。

そのため、冬を基準に考えます。その逆をすればデッドエアを拡散できるわけですから。


衣服の層
アンダーウェア、インナーウェア、インナーシェル、アウターシェルの4つに大きく分類されます。

アンダーウェアは、いわゆる下着の事で、冬場のTシャツや、肌着、靴下までその範疇です。

インナーウェアは、通常着る服です。デニムシャツとか、トレーナーとかに当たります。

インナーシェルは、デッドエアを効率よくため込む為の衣服で、セーターや、なぜか流行したフリースなど、防風能力のない衣服です。

アウターシェルは、一番外側に着る衣服で、コートやウィンドブレーカーなど、防風能力を有しているものです。


アンダーウェア
冬場のアンダーウェアは、コットン100%の物は避けるべきです。服の内部温度が上がれば、必然的に汗をかきます。綿は、吸水能力は高いのですが、なかなか乾燥しません。つまり、汗で濡れたままで、冷たくなってしまい、逆に体温を奪う結果となります。バイクの運転は、意外と運動量が有りますので、長時間運転する場合は、ご注意下さい。

山岳用品店では、吸水速乾性の素材を使用した、アンダーウェアを売っています。夏場でも、汗でべたべたしたTシャツよりは、乾いたシャツの方が気持ちいいですから、持っていても損はないでしょう。ただし、保湿や遠赤効果をうたったモノもありますので、ご注意を。

加えて、最近の製品では分かりませんが、私が購入した4、5年前の製品では、繊維そのものが弱く、すぐにすり切れ、薄くなってしまいました。靴下なんて、二日目で穴が開いた。

夏場は、Tシャツだけで運転したりしますが、あまり薦められません。転倒時の事を考えると、せめてアウターシェルだけは、着ておいて欲しいと思います。


インナーウェア
通常、衣服として着ているモノで構わないと思います。特に注意する点も有りません。一番、コントロールしやすい部位ですから、寒暖の調整は、ココで行うと良いでしょう。長期ツーリングの場合は、白とか黒は止めた方が良いです。汚れが目立ちますから。茶色、ベージュ、意外と緑なんて言うのも、汚れが目立たない色ですね。


インナーシェル
シェル(殻)の名の通り、ここからが防寒のメインになります。インナーシェルは、その通り、デッドエアを逃がさない様に設計されています。そのため、セーターやフリースなどの空気を溜めやすい素材、形状をしています。

最近は、ウィンドストップフリース(通常は、防水透湿素材のゴアテックス等を内側に使用して、風を通さないようにする)とか出ていますが、某ユニクロやストリートファッションが推奨しているように、フリースは一番外側にきる衣服ではありません。風のない日ならともかく、風が強いと、すーすーした経験をお持ちの方も多いでしょう。そのため、マトモに防寒を考えるなら、フリースの上に、防風効果の高い、ウインドブレーカーなどを着ると、その真価を発揮します。

フリースは、セーターと同じ扱いで良いと思います。と言うか、セーターだと、厚みがあって動きにくいので、薄くてもデッドエアを蓄えられるフリースが、登山家に愛用されていたのです。


アウターシェル
外殻です。今まで述べたように、防風効果と、防水効果があれば、機能的に望むモノは有りません。まぁ、ポケットの数とか、位置とか結構重用ですが。注意すべきは、バイク用ウェアだと、インナーシェルとアウターシェルが一体になったモノが多いと言うことです。胴体部分の内側には、フリース素材を使用していたり、フリースベストとして、分離して使用できるモノも存在します。

通常の革製品など、インナーの無い物を着ない限り、じつはインナーシェルはバイク乗りには必要ないのかも知れません。

そもそも、ゴアテックスを初めとした透湿防湿繊維を使用していれば、かなりの防寒効果が認められます。軍手のしたに、ゴアテックスのインナーグローブだけしていても、冬用グローブ並の防寒能力は発揮します。

夏用のバイクウェアには、通気性と防護性だけが追求されています。不意の夕立対策に防水もあると良いでしょう。


下半身の防寒

今までは、主に上半身をメインにしてきましたが、ここで下半身の防寒を見てみましょう。上半身は、重ね着をすれば、なんとか対応出来るものですが、下半身はそうはいきません。また、実際に寒さに直面するのは、膝だったりしますので、注意が必要です。

一般の方ならば、股引(関西圏ではパッチ)を使用すれば、かなりの効果がありますが、私のように重ね着できない体格の人間もいます。

そうした場合、内側に着るのは諦めて、オーバーパンツと呼ばれるモノを着用するのも手です。スキーウェアのズボンのようなモノを、着用しているジーンズなどの上に履くわけです。当然、防風防寒能力はかなり高く、一度使用すると、手放せなくなります。が、やはり、ズボンの上にズボンを履くわけですから、自宅、知人宅に付いた場合、出発する場合など、手間ヒマが掛かります。

一番難題なのは、トイレに行く場合です。余裕があるときならば、ゆっくり脱いでいけば良いのですが、せっぱ詰まっているときは、大変です。バイクに乗っているときにずれないように、オーバーオールタイプになっているモノも有りますから、もう大変です。また、着るときも、靴を付けたまま履くわけですから、結構大変です。

脱着しやすいように、チャップスみたいな感じで付けたり、側面が全開になるモノも有りますが、その分、防寒能力が落ちます。

部位限定の防寒を考えるならば、ニーウォーマーや、アンクルウォーマーが有ります。実際に、冷えて困る部位は、膝と特に足首です。足首は、ズボンの裾から冷気が入り込むため、アンクルウォーマーを装着すると意外なほど変わります。ま、ズボンを買うとき、裾を切らない。等して、長めにすればそれなりの効果を得られますが。


防寒の最終手段

冒頭で、風によって体温が奪われるから、寒いのだ。と説明しました。防風さえ、しっかりしていれば、寒さは意外と防げるのです。では、一番防風がしっかりしている衣服は何かというと、レインウェア、つまり合羽です。不意の寒さ、秋口の北海道に限らず、長野県など高地の冷え込みは、嘗めてかかっては行けません。

私が、奥飛騨温泉郷へいったのは、7月23日にでしたが、日中の山間部の気温は、日なたで15℃。日陰で5℃。冬並でした。しかも、夜になると気温は、0℃〜−2℃。まぁ、道路沿いに、結構細かい間隔で温度計が有るのは不思議だったのですが。

西日本の気温しか知らなかった私は、防寒着は一切持っておらず(一般人で、夏場にフリースやセーターを荷物に入れる人はいないでしょう?)あまりの寒さに加えて、不意のにわか雨で、さらに気温は局所的に冷え込み、しかたないので、レインウェアを着たまま、旅を続けました。すれ違うバイク乗りや、話した人に「向こうは雨なの」と聞かれたりもしましたが(笑)。

そんなわけで、西日本の方、長野や岐阜と言った高地や、北海道に行く場合、夏場であっても、防寒用衣服を一つは持っていくことをお薦めします。


衣類の管理

Tシャツ等、アンダーウェアは汗をかきます。脱いだモノをまた履くのは気持ちの良いものでは有りません。それが湿っているならなおさらです。そこで、洗濯するワケですが、出来るだけ、長持ちさせようとするなら、コインランドリーをお薦めします。

コンビニ袋に水をため、トイレの洗面台で選択する方法も有りますが、安物は、繊維が脆弱なため、二度も洗えば、シースルーのTシャツに変身してくれます。加えて、洗えば乾燥させねばなりません。日中を無為に過ごすハメになります。夜洗濯して、朝取り込む。と言う手段もありますが、場所がかなり限定されます。

私が場所を考えずにやったとき、多分、木の何かだと思うのですが、白いTシャツは、まだら模様になりました。加えて、水分が有るため、虫も結構よってきます。ま、フライシートに張り付けるという大バカをしたからですが(笑)。ちゃんと、ロープを張っていれば、違ったかも知れません。時折、洗濯物を乾かしながら、走っている人を見かけますが、排気ガスをたっぷりと吸った、臭い服になるので、止めた方が良いです。

最初から、日程分の下着類を持っておき、汚れ物を、郵パックで送ってしまうのも手です。不在時は、一週間管理してくれるので便利。送り主を実家にしておけば、更に便利。ついでに、荷物になる土産物(自分の、他人の問わず)を送ってしまうと言うのも手でしょう。

最近では、ホームセンターでも下着や靴下なんかを売っていますので、適宜補給しながら。と言うのもアリでしょう。金が有れば。

当然のことですが、濡れた衣類を防水バッグに入れるのは止めましょう。最悪、カビが生えますし、よくて、運動部の部室の酸っぱい臭いが充満しますので。



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