調理具


調理器具
まず、最低限必要なのは、鍋(大小二個)です。クッカーを購入すれば、大抵二個組になっているとは思いますが。調理と呼べる段階まで、食事にこだわる人ならば、フライパンもあった方が良いでしょう。鍋で代用できなくもないですが、後処理が面倒なので。

大鍋は、調理器具ですが、小鍋は食器を兼ねます。つーか、食器として使う方が多いでしょう。しっかりとご飯を炊いた場合には、料理器具が足りなくなりますので、シェラカップがあると便利です。ちなみに、本家シェラカップは、売上金の一部を森林保護に当てている(つーか、森林保護の資金獲得のために作られた会社/製品だ)ので、少々値段が張っても、他の類似品でなく、シェラカップ製品を買いましょう。


刃物
こればっかりは、代用品がありません。刃をタオルで巻いて、輪ゴムやヒモで縛り、厳重に保管しましょう。大抵の場合は、大人数で行って、鶏をバラすとかしない限りは、ペティナイフで事足ります。残念ですが、フルーツナイフでは、役不足です。野菜類は切れるのですが、肉類になると、バラ肉さえ切れません。ベーコンは切れたけど。鞘が付いてて、良い感じなのですがねぇ。ツールナイフ等の折り畳みナイフでも、役に立ちますが、関節部分に、血やクズが溜まりやすく、錆や病気(菌の繁殖)の元になりますので、まめに手入れをして下さい。


武器
得物とも言いますが、要は食器、特に箸やフォークの事です。ハッキリ言います。必要ありません。アウトドアショップで武器類を見ているのは、素人さんと言って良いでしょう。また、武器類を持っていると、気分だけは盛り上がるものです。が、無駄です。

大抵のものは、関節があって、折り畳めるフォークやスプーンだと思います。私の持論通り、関節があるものは脆弱を体現してくれています。スプーンやフォークの首の部分が折れ曲がって、収納できるものが大多数なのですが、これがまた食べにくい。少し硬いものを刺そうとすると、首が収納方向に曲がってしまうのです。それはもぅ、コメディー映画のように。結局その人は、首の部分を持って食べてましたが、手でつかむのと大差ないことに気が付くと、手で食べてましたな。

私が薦めるのは、割り箸です。コンビニで貰えたりするのを、少し貯めておいて下さい。それで十分です。割り箸は資源の無駄。と言う人がいますが、高級割り箸でない限り、クズ材から生産されており、割り箸にしないと、ただの可燃ゴミになるしかないのです。と、知り合いの木材関係者が言うておりました。私の住む町は、木材加工の町ですので(笑)。

溜まった割り箸は各所に分散しておきましょう。タンクバックのポケットとか、ザックのポケットとかです。いわば、へそくりですね。箸を忘れる馬鹿者とか、箸をくれないコンビニとか、高速の自販機でカップ麺買ったのに、割り箸が無い。そんなときに便利です。

最近は、ナイロンのカバーが増えた割り箸ですが、紙の包装だと「こより」にして、火種に出来ます。割り箸そのものも、たき付けになりますので、食事ごとに使い捨てにするのではなく、保存しておくべきです。

なれてくると、小枝を削って箸にするというテクニックもありますが、ちょうど良い小枝が見つからないとき、見つけるのも面倒なくらい腹が減って疲労しているときの為に、割り箸はいくつか持っておきましょう。ちなみに、枝を削って箸を作るときは、削り終わったら、煤が付かない程度に、箸をあぶりましょう。ささくれが残っていると、口を怪我しますよ。


食器
これも不要です。紙皿とか、プラスチック製のセットとか、購入したい気持ちも分かりますが、無駄です。大鍋で汁物、フライパンで焼き物、小鍋でご飯を炊いたら、お茶碗を取り皿にするがごとく、小鍋を使い。汁物が大きすぎると言うなら、シェラカップでも使いなさい。女性の方で、そんなの恥ずかしい。とか言うやつぁ、野宿しないで、宿に泊まりなさい。身の安全も保障されるし。

女性は特に、女性的な魅力を廃すべきです。ちょっと会話したぐらいで、勘違いする女日照り多いぞ。つーか、山に入ってて人見てないから、ものごっつ美人に見えるのな。食堂のおばちゃんさえ(笑)。



これも代用が利きません。ベテランは裸火、つまり焚き火なんかでまかなえますが、素人や初心者、馬鹿者どもが、無神経に焚き火をしたせいで、無料キャンプ場がいくつも閉鎖されました。ちゃんと、バーナーやストーブを持っていきましょう。

大別すると、二種類です。燃料が、ガスかホワイトガソリンか。で分類されます。双方に一長一短があり、あとは好みの問題です。ベテラン、と言うかマニアはガソリンタイプを好む傾向があり、知古である、うんちく君と猿まね君(本で読むとすぐ染まる:野宿人寺崎さんの本で感化)は、ガソリン愛好者でしたな。


ガソリンタイプ
長所は、頑丈。小型。燃料が安い。海外に持っていける。
専用のホワイトガソリンで無くても、バイクや車の無鉛ガソリンなら使用可。と言うのが売りです。ガスに較べると、火力カロリーに劣る傾向がありますが、使用する際には、まったく気になりません。

短所、手間がかかる。火種がいる。火力調整不能。
着火時に、ポンピングと言う動作を必要とし、手動ポンプで空気を送り込まねばならず、またプレヒートと言って、ガソリンが気化しやすいように、五徳の部分を暖めねばなりません。火という神聖なものを使うための儀式。と言って、この動作を好む人も多いですが(笑)。ガソリン燃料なので、携行していた燃料が切れるとお手上げです。アウトドアショップでも、缶でしか売っておらず、缶を持って旅を続けるわけにも行かないでしょう?。無鉛ガソリンでも良いのですが、やはり故障率は跳ね上がります。

また、レギュレーターの故障は、運次第と言われており、新製品のが一週間で詰まったり、中古品が三年無交換だったりと言うトコもざらにあります。燃料タンクの破損や、ふたの閉め方が甘いと、大事故につながる可能性を秘めています。

さらに最初に火を付けるときに、マッチやライターと言ったものが必要となります。また、燃料がガソリンですので、細かい火力調整は出来ません。強火と弱火ぐらいは、可能ですが。


ガスタイプ
大別すると、専用のガスカードリッジを使用するタイプと、家庭用カセットコンロのガスを使用できるタイプに別れます。

長所:扱いが簡単。ランタンとの互換がある。
簡単と言うところに、全てがあります。接続し、燃料バルブを開き、電子ライターを起動させれば、点火です。1分と必要ないでしょう。ガソリンタイプは、まだポンピングしているはずです(笑)。ガスだけに、細かい火力調節も可能で、とろ火から強火までOK。

ガスコンロタイプなら、全国のスーパーで売ってますし、専用タイプも、量販店を見つければ必ず売っています。

短所:稼働時間が短い。ガス缶の処理に困る。寒冷地に弱い。
煮物(カレーやシチュー含む)なんて作ると、あっという間にガスが無くなってしまいます。まぁ、5、6日は持ちますけどね。ガソリンに較べると短命です。また、ガス缶を捨てられる場所はほとんど無いので、使い切ったガス缶は酷く邪魔になります。心優しい店員さんがいるところでは、引き取ってくれたりしますけど。

ガスカードリッジは、危険物ですので、税関で没収されます。海外では持っていけません。

また、ガス故に気温が低いと、気化せず性能を発揮できません。ガスコンロで、全開なのに弱火にしかならなかった経験がきっとあるでしょう。寒冷地用のガスとか、対応アイテムを売っていますが、やはり割高です。冬に限らず、山岳、高地では、夜は冷え込みますので、寒冷地装備が必要です。奥飛騨に行ったとき、七月下旬だったのに、夕方の気温は5度。夜は1度でした。防寒具持ってなかったので、合羽で過ごしましたよ、私は。


結論的には、ガスは短期間で高火力料理(インスタントラーメンとかレトルト向き)、ガソリンは、じっくり料理に向いていると言うことでしょうか。自分の調理/食事スタイルや、嗜好に合わせて選んで下さい。お金と積載量に余裕のある人は、両方持っておくと良いかも知れません。ガソリンストーブで煮込み料理を作りながら、ガスストーブで炒め物とか、ガソリンで料理をしつつ、ガスでコーヒーを飲むとか、贅沢が出来ますヨ。

ちなみに私は、ガス派です。国内で、一ヶ月ぐらいの野宿なら、ガスの方が便利です。手早く準備できて、手早く終えるし。


調味料
自炊するなら、必需品です。まず、油。塩、こしょう。この三つは必須です。油は、好みもあるでしょうが、口がしっかり締まるタイプをまず選びましょう。オリーブオイルがお勧めです。エコナのクッキングオイルも使用量が少ないし、容器も小さくて、お勧めです。塩は大量に持って行くべきです。何かと重宝しますので。少々健康を気遣って、ミネラル天然塩を袋ごと持ってきましょう。コショウは容器ごとで可。

後はお好みで、醤油、わさび、カラシ、一味、バジル、コンソメの素。等々です。醤油は、コンビニ弁当やなんかの出来合い弁当に付いている、小さなパック入りの使い切りタイプが売っていますので、それが便利です。醤油とわさびがあれば、酒の肴は沢山作れるので、便利ですよ。冷や奴とか、いたわさとか(笑)。同じく、一味やカラシもお総菜買ったときの調味料に便利です。

本格料理の友としては、コンソメスープの素、チキンブイヨンとかでも良いです。これ入れて、野菜を入れれば、立派なスープが出来上がります。バジルは、香草類の中では、汎用性に富むので、持っておくと便利です。先ほどの野菜スープにちょっと入れたりして。

これらをバラけて持っていると、整理も付かないし、汚れてしまいます。そこで、定番ですが、タッパーをお勧めします。ちゃんと、自分の鞄に入るかどうか、一番大きな(たぶん油の瓶)ものが入るかどうかを確認して、購入しましょう。そこに、調味料にくわえて、包丁も入れておくと、安心です。



野宿人には、いつも、水があるとは限りません。カロリーメイトなどで無い限り、全ての食事に水は必要です。成人が生活するには、2リットル必要とされています。食事をし、後かたづけをするためには、やはり1.5リットルは欲しいところです。コッヘルやクッカーを揃えるときに、二リットル程度の、ポリタンクにも目を向けましょう。最悪、ペットボトルでもOKですが、夏場にバッグの外に出しておくと、有害物質が溶け出すという説があるので、気を付けましょう。


事後処理
当然、食後にゴミやクズが出ます。キレイに使い切るのが、野宿人の第一歩です。ゴミ袋は、日常同様、スーパーやコンビニ袋を代用すればいいのですが、これだけは購入して欲しいものがあります。三角コーナーや、排水溝にかける、生ゴミ用のネットです
そんなもの、どうするんだと言われそうですが、食べ残しや、食器を洗ったときのゴミ。キャンプ場の水場で、排水溝にラーメンのクズや、米粒が溜まっていて、嫌な思いをしたことがあるでしょう。アレを防ぐためです。

野宿人の基本は、存在の痕跡を残さない。です。それ以前に、人間として自分がやられて嫌なことを、他人にしない。と言うのは、当たり前でしょう?。ネットを通すだけで、ずいぶん違いますし、水場のない所で廃棄すると、野犬やクマが場所を憶え、集まるようになるかも知れません。あなたのせいで、人が怪我をしたり、死んでしまったり、クマが撃ち殺されたら、嫌でしょう?。


おまけ
まな板は?。と言う人がいるでしょう。必要ありません。知恵と発想で、貧乏生活…じゃない野宿生活は豊かになります。まず、代用品は、タッパーのふたです。ただ、肉や魚を切ると不衛生になるので、ちゃんと洗いましょう。

紙パックの飲み物、牛乳やオレンジジュースなんかですね。それがあれば、完璧です。まず分解して、広げ、軽く水洗いします。内側、ロウやアルミが張ってある方をまな板にすれば、衛生的ですし、洗えば何回か使えます。


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