case266〜266号事件〜


まぁ、最初から期待はしていませんでした。ので、ダメージはないです。購入の理由は、シスター(修道女)が出るから。それだけですし。すいません、修道女フェティッシュなんです、私。メイドなんて、目じゃないくらいに。

とは言えいろいろと言いたいことがあります。ざっと解き終わりましたし…他のサイトの評価も覗いてきました。まぁ、軟らかい表現を使っているところが多かったですが、一言で言えば、

珍しく、他のサイトと意見が合いましたわ(笑)。ただまぁ、やはり、シナリオや、文章表現を注視するサイトはすくなげですな。怒るポイントがちょっとずれているサイトもあったりして楽しかったわ。

それはまぁ、検索して比較して貰うとして、このゲーム。言えることはただ一つ。余程、納期が迫っていたらしい。それだけ。

ゲームシステムは、メイビー共通のモノです。可哀想な風景と同じ。オーサリングヘブンと同じと言っているサイトもありましたが、メイビーの基本フレームを使用しているので、当然でしょう。相変わらず、選択肢が出ないと、セーブ&ロードできず、スキップも、丸ごとスキップか、低速しかありません。困ったもんですわ。ゲームコンセプトは、可哀想な風景と同じですが。

さて、いろいろとダメ出ししていきましょう。

手短なところで、ゲームの進行のさせ方から…フラグを意図的にハズすことが、こんなに苦痛だとは思いませんでした。また、欠陥と言うか、バグというか、無線の指示や犯人視点時に、犯行現場でもないところで、捜査を始めると、突然「現場に着いた」とでる時があります。勘弁して下さい。デバッグするヒマのなかったのでしょう。

このコンセプトについて、いろいろと、弁解していますが、結局、まともな推理モノ、刑事物が作れなかったために、フラグをハズさせる。と言う逃げに出たのでしょう。何しろ、行く先々での調査コマンドは無意味(おそらくボーナスCG発見のみ)だし、その時に語るセリフも、ランダム。場所も時間も関係ない。勘弁して。

相変わらず、時刻は全く無意味ですし、移動シーンの不親切さも非道いものです。マップをクリックするのですが、「行ける場所は12カ所」とボスが言ったのですが、ポインタも出ないので、マップ上をカーソルでなぞって、まず行ける場所を確認しなくてはなりません。勘弁して。

警察署周辺で張り込みしたり、つーか、署に戻ったら、同僚から情報集めたり、科学調査を参考にしたり、せめてそれくらいはやりましょうよ?。

次、シナリオ。と言うか文章力。

まず、視点がぶれる。のならまだしも、めぐるましく変わります。某ライター作家さんが、コレだけゲームやマンガが台頭しているのなら、視点のプレは許容されるのではないか?。と言う発言をされていました。視点の非固定化が、新しい文学のムーブメントになるかどうかは別として、余程の描写力がない限り、読者は視点が、ぶれると混乱します。

こうした視点のプレたゲームというのは、映画やドラマを、ゲームで再現しようとした場合によく起こり、また必ず失敗します。その理由は、至極簡単で、ゲームは映画やドラマではないからです。

映画やドラマは、観客(ユーザー)は、蚊帳の外です。物語に加入することは愚か、そもそも存在しないのです。それを前提として、映画やドラマは演出を行います。対してゲームは、主人公=ユーザーであり、物語に介入どころか、物語の中心であるのです。

そのため、ドラマや映画では、定番の「主人公の秘められた過去」がどんでん返しや、オチとして効果的なのですが、ゲームでは主人公は、自分自身であり、自分の過去を知らないことがまず異常です。

類例にはいとまなく、センチメルタルグラフティーの主人公は、まるで記憶喪失のようですし、カノンだかONEだかの主人公も同様です。突然、過去の記憶を思い出し、「実は」と語られたって、何の感慨もありません。それどころか、その記憶は、間違いなく人格形成上、多大な影響を及ぼした経験であり、それを知らずに主人公として、行動できるわけがありません。

このcase266でも「あなたはラルフとなって…」とあるのですが、視点がぶれるわ、経歴は知らないわで、とてもじゃないが感情移入なんてさらさらできず、安っぽい刑事ドラマをビデオ見ているようなものです。

加えて、犯行シーンでは、視点どころか、人称すら不統一で、犯人の二名以外に明らかに、男が登場している描写もあるし、駅構内のトイレだったはずなのに、いきなり車両内のトイレになっていたりします。おそらくは、複数人で書いたか、細切れに書いていたモノの、納期の都合で切った貼ったしているウチに、ワケが判らなくなったと思われます。

後半に行くに連れて、文法がおかしくなり、文字抜けがおこり、時間に追われる姿が感じ取れます。まぁ、コンプリーツと言うか、オーサリングヘブンと言うか、メイビーなので、時間があってもこれ以上には出来ないでしょうね。つーか、日高社長だし(暴言)。

さらに、ジョン(新人刑事)の性格が定まっていないので、丁寧語で不躾に喋る。と言うよく分からない性格になっています。熱血なのか、クールなのか、エリートなのか、たたき上げなのか、シーンごとにてんでバラバラのスタイルで描かれます。勘弁して。

敬語を使いながら、たたき上げの老警官と対立する、エリートのボンボン刑事。としたかったのでしょうが、語尾や言葉遣いがバラバラなので、性格までバラバラです。

で、主人公の老刑事ラルフの過去が、シナリオのキーであるのに、主人公の分身たるユーザーは、それを知りません。つーか、三日ぐらいでバレバレなんですけどね。意図も過去も。薄っぺらいたら、ありゃしません。

副テーマであろう、新人警官と老警官のぶつかり合いと、相互理解による友情も、薄っぺらいです。表現や描写がなっちゃいないからです。伏線どころか、物語につながりすらありません。勘弁して。

あと、調査中に、刑事の信念や、犯罪に対する哲学を語るのですが、意味無いっス。手垢付いて真っ黒っス。そのセリフ。

やはり、主人公はジョン(新人刑事)にすべきでした。平時は「やり方はお前に任せる」と言っておきながら、無線で犯人の情報が入ると「子飼いの情報屋からたれ込みがあった」とか言って、別の現場へ向かうように指示をする。パートナーを信じるか、通報を信じるか?。そこで葛藤が生まれ、不信感が生まれ、事件の背景を調べ…の方が、盛り上がると思うんですけど?。

「プレイヤーの目的と、キャラクターの目的が相反する事でのジレンマ」がテーマ()らしいんですが、感情移入できないために、ジレンマもクソもありません。ドラマシーンなんて、アダルトビデオで早送りされるAV女優のまともなドラマシーンの様なものでした。つまり、葛藤も、ジレンマも感じないよ。

バッドエンドの演出や、種々の演出がなっていないため、葛藤もジレンマもありません。身内が犯行にあったら、もっと描写シーンがあって良いんじゃないですか?日高さん?。

せめて、真っ当に逮捕したら、ラルフ(老刑事)が、護送中に発砲、射殺。10年前の英雄が失墜し、力無く笑い、自分が捕まえた犯罪者が五万といる刑務所に向かう。と言うシーンがあっても良いじゃないですか。

つーか、そのくらいしてくれないと、盛り上がらない。つーの。まぁ、コンプリーツ、オーサリングヘブンは、近いウチに潰れる公算が大なので、今持っているソフトは…値が上がる分けないか(笑)。


思い出したので追記
このプレイヤーとキャラクターの目的が相反するというのは、エルフの「遺作」で完成していたりします。遺作は98時代の作品なので、遺作の方が、ずいぶん速いはず。
遺作では、同級生が遺作に捕まることによって、ビデオテープが送りつけられ、エロシーン(遺作が捕獲した同級生への陵辱)を拝むことになります。プレイヤーとしては、エロシーンは回収したいが、キャラクターとしては同級生へ被害は出したくない。と言う、見事な相反がすでに完成していたりします。


戻る