Bioshock Infinite
 


夢酔2014/09/15)の記事を独立化


たしかに、FPSに難解かつ重厚なストーリーを落とし込んだ事は見事。 シューターと言うよりは、アクションゲームだが。チャージ>ショットガン>チャージのハメは、アリス:マッドネスリターンズの蝶ダッシュハメを思い起こさせる。Farcry3もそうだったが、最近のFPSは、メインウェポンが鉄砲のアクションゲームになってるよなぁ。

演出も特筆するようなモノでもなく、いつかどこかで見た景色。エリザベス幽閉塔からの脱出も、Farcry3でも、似たような脱出劇をやっている。火をかけられた屋敷からの脱出で、燃え落ちる梁や壁、もう無理とわめく恋人。追い詰められてる感はfarcryの方があったな。オマケに、ラストは追撃隊から逃げるために、恋人に運転を任せて、撃退する。インフィニットはスカイラインを自動で滑るだけだ。

カットシーンならスキップできるのだが、本編中に固定シーンを組み込まれると何も出来ない。エリザベスを連れてスカイラインに乗った後、読みかけの本を取り出したほどだ。どうせ危機一髪で助かるハズ。操作する必要もない。と言うか操作出来ない。巨大な怪鳥に襲われる様は迫力があるが、ゲームとしては退屈な時間だ。キレイなムービーを流していれば受けた時代は、とっくに過ぎ去った。

再三言っているが、私は、映画を超える可能性を持つメディアはゲームしかない。と思っている。だから、ゲームがまた映画に近づいた。とか格好つけて言う奴(ルビ:バカ)には唾を吐きかけたいほどだ(相手もそう思っているだろうから、お互い様と言う事で)。ゲームの終着点は映画じゃない。映画の向こう側だ

そして、ゲームが映画に勝る一点が、プレイヤーが操作できるという点だ。キャラクターの操作であり、物語の操作である。プレイヤーの決断が、物語を変えていく。それが可能なのは、ゲームしかない。

とてもじゃないが、ストーリードリブンとは言えない。せいぜい、レールライドだ。スカイラインが象徴するように、インフィニットは、進む事と戻る事はできる。だが、行き先を選ぶ事は出来ない。 無限(インフィニット)どころか、決められた未来を避ける事すら叶わない。

そもそも、プレイヤーの知らないプレイヤーキャラの過去をストーリー根幹に持ってきている時点で、ゲームとストーリーは乖離している。 この手法としてはゲームシナリオとしては最悪だ。プレイヤーとキャラクターの間に、完全な壁を作るから。ゆえに、なりきりゲーなワケだが。

私も、CoDかBFが見せてくれるだろうと思っていた、シネマチックシューターのフィナーレを、まさかシステムショックの孫であるバイオショックで拝むとは思っていなかった。このインフィニットを、アクションアドベンチャーとして見たら、その出来の悪さが、見えてくると思う。ゲーム的な謎解きを作るのが面倒だから、戦闘で誤魔化しちゃえ。そんな感じだ。

シューターとしても、見るべき所は何もない。「隠れても無駄だぞ!」と叫びながら、隠れているのは敵だったりする。この隠れている敵を探すのがわりと面倒。探してると背後から不意打ちくらいやすいし。


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そんでまぁ、なぜか日本人はAiが自我に目覚める話が嫌いで、時空間ネタは大好きだよなぁ。キングダムハーツが海外でもウケが良い事を考えると、日本人に限らないのかも知れないけど。シャドウオブメモリーズも海外でブレイクだし。

多次元宇宙ネタは、話をややこしく見せやすく、パッと見、難解で頭良さそうなスマートな話に見えるが、その実、パラレルから引っ張ってくれば何でもありのお手軽世界で ギミックを誤魔化しやすい (魔法、超能力犯罪と同じで、理屈不要になる)。パラドックスの根源のズレを無視していたりな (マブラヴだったかは、プレイヤーがシフトしてきた世界に元々いたはずのプレイヤーの存在が飛んでいたと思う)。要は素人騙しなんだよねぇ…

パラレル話で良く思うのは、他の次元を犠牲にしてまで、自分の次元を救う価値があるのだろうか?。「ぼくらの」みたいな話になるが。122人のブッカーを犠牲にしてまで、カムストックを倒さねばならぬ理由はあるのだろうか。 博愛に目覚めたカムストックがいる世界や、酒に溺れなかったブッカー、軍隊に入らなかったブッカー、そんな世界もあるはず。

ルーテスに122回もブッカーを死地に送る権利があるのか。ルーテスの尻ぬぐいに122回も殺されるブッカーは哀れだ。そもそも、時間も超越できるなら、装置開発する前のロザリンドをなんとかせぇよ、ロバート。ブッカーを122人も殺しておいて、自分は殺せないのか。

と、考えるとやや崩壊している気もする。やっぱ、ノリと勢いとエリザベスで誤魔化してるよな。これをべた褒めする人は、ハリウッドの広告費じゃぶじゃぶで、CがふやけてAに見える級映画を絶賛するタイプと思う。中身見てないよね。

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シネマチックシューターは、ファミレスである。 分かりきった味をみんなでワイワイ言いながら食べる事が醍醐味で、料理自体はさほど重要ではない(マルチ主体に移行したCoDなんてまさにそうだ)。だから、消える事はないが、ブレイクする事も無くなるだろう(安定収益源ではあり続ける)。

ゲームというものは、映画がそうであるように、アートの一つでもある。万人受けを狙ったアートが退屈なように、万人受けを狙ったゲームも退屈なのだ。(まぁ、極めればTESシリーズみたいな宇宙魔人級を作れるが)

万人がほどほど面白いものを作ろうとすると、ほどほどツマらなく感じるものが出来上がる。さながら、工場で生産されたソースを温めるだけのファミリーレストランのように。万人に受ける味は、画一的で平坦なものになる。だが、大規模チェーン店ではそれが正しい。安定した味を供給する安定した手段だから。

だから、大規模ソフト会社が作ったものは、分かりきった味の分かりきった料理が求められている。BFとCoDのシングルに、さしたる違いがないように。

このインフィニットは、難解に見えるストーリーという濃いめのソースで誤魔化された、ファミレスチェーンのレトルトハンバーグだ。コテコテのソースと食感の悪い加工肉は、二度は食べられない。だが、巨大スタジオではそうせざるを得ないのも事実だ(何十、何百人で作業するには、そうするしかない 。カーマックイズムを300人で共有なんて不可能だし)。

だから、本当のゲーマーはインディーズに走る。多少焦げていようが、皿が少し割れていようが、料理人が額に汗して、練り上げた本物の肉のハンバーグを食べられる、インディーズへと向かう わけだ(クソ不味いものもあるけどなw)。

進化の可能性としては、もはやシネマチックシューターは行き詰まっている。そっとティアを閉じ、シューター本来の世界に戻ろうじゃないか


 



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