ANUBIS


お早う御座います。戦闘行動を開始します。


 

コナミの3Dアクションゲーム。ジャンプではなくて、縦軸も移動できると言う本当の意味での3D。実プレイは2003か04ぐらいなのですが、ちょっとやり直してみたら、やはり、結構面白かったので、改めて書こうかなと。

実は、ZOEの続編(スペシャルエディションには、前作の粗筋が入っています)で、人間もポリゴンで描かれていたZOEとは、うってかわって、アヌビスでは人間は2D。セルアニメっぽい感じに。そして何より、ベタな少年ロボットアニメネタだったZOEから、一転、アヌビスでは、珍しい大人のロボットアニメネタを展開する。アヌビスの主人公ディンゴは、ひいき目に見ても30前後ぐらいでしょうから。

前作、ZOEの主人公は少年。少年が主人公の場合、ロボットは、可能性を秘めた未制御な力として、少年そのものの象徴であったりする。だからこそ、心の葛藤や試練をクリアして、少年の成長に合わせるように、ロボットもパワーアップしていく。

端的な例は、初代ガンダムにも反映されている。ランバ・ラル、母親からの巣立ちを経て、パワーアップメカ、Gファイターの登場なる訳だが、これは実はガンダムの飛行用メカで、マジンガーZのジェットスクランダーと同じポジション。そして、ララァ・スンとの出会いを経て、マグネットコーティングと言うパワーアップを遂げる。

これが、ファンタジーになるともっと端的で、賢者や魔法使いが課した試練(どこぞの洞窟で、幻影を見さされたり)を乗り越えることで、伝説の剣だとか、なんとかを入手する訳だ。

元来、英雄物語が、一人のやんちゃな少年が、様々な経験をして成長し、英雄神になっていく課程を描いたものであるからして、このストーリープロットは、最古の物語と言えるかも知れない。

対して、大人が主役のロボットアニメとなると、ロボットは、ただの道具に過ぎない。制御された力の象徴であり、ダーティーハリーの44マグナムであり、座頭市の仕込み杖と同じ扱いでしかない。意外と大人のロボットアニメというのは少なくて、ボトムズとか、ビッグオーとかになるのかな。少なくとも、この二つには、主人公メカのパワーアップはない。

ボトムズのキリコに至っては、量産型のスコープドックを愛用しているぐらいだし。ガンダムで言うなら、主人公がずっとザクに乗っているようなもの。大人のロボットアニメが少ないのは、それだけストーリー作りが難しく、緻密さが必要だからだろう。

さて、アヌビス本体の評価に移るとしましょう。
ストーリーの方は、さして評価できるモノではありません。とはいえ、アクションゲームですから、あまり過度に期待するのも酷と言うものでしょう。とは言え、ヘタなRPGと同じぐらいのストーリー性はありますが。

前作ZOEの主人公レオが主役のままだったら、ノウマンという、人間の汚い所を見つめすぎてしまい未来に絶望した大人が、レオという、未来と希望を信じている少年に打ち負かされると言う、伝統的な物語になったワケなんですが、大人な主役のディンゴに移行したたもののそれを上回るドラマツルギーは展開できずに終わっています。

ハードボイルドにも出来ず、熱い主人公にも出来ず、ちょっと中途半端な感じまいなめませんが、映画で言うところのB級アクション。トップガンレベル(と言うとファンに怒られそうですが)そのくらいのストーリー展開はあり、私のようなコチャコチャ言うタイプでなければ、満足は出来るかと。

肝心のアクションの方は、超未来未確認浮遊快感の売り文句に恥じないぐらいの滑らかな動きを見せます(補注PS2としては)。3Dロボットシューティングではなく、アクションとなっているのも、確かで、撃つ、斬る、掴む。と言うのが売りのアクションとなっています。敵を掴んで投げ飛ばすと言う基本的な事から、掴んだ敵を縦にしたり、鉄柱を引き抜いて投げたり、殴ったり、壁の鉄板を投げたり、縦にしたりと、様々な、オブジェクトを利用しないとクリアできない。と言う凝ったステージが連続します。それが故に、年寄りにはちょっとキツイとも言えるのですが。

ただ、ロックオンのシステムがちょっと脆弱で、友軍機にも当たり判定がある割に、ロックオンの斬り合えが、L2ボタンを軽く押す(右スティックでも可)、ロックオン解除がL2ボタンを長く押す。と言うもので、 瞬時に切り替えが出来ず、また自動で直近の物体にロックオンが移るので、どうあっても誤射しまくります。

ステージ構成も、なかなかのバランスと仕掛けが満載で、オブジェクト攻撃をしないと倒せないボスや、特殊な勝利条件など趣向も良い。友軍を護衛しながら、突入ポイントに向かう。と言うミッションでは、他に類を見ないほどの、軍隊的な乱戦を展開します。

ただ、惜しむらくは、エキストラミッションの構成にもう少し凝って欲しかったなぁ。ゲーム中に様々なオプション兵器を入手し、その特性を活かしたステージも多々ある訳ですが、エキストラミッションは、そうした特殊兵装を活かしたクリア方法のオリジナルのミッションがあると良かったかなぁと。 ゲームのエキストラミッションは、ステージの個別選択でしかない。

あと、残念なのは、音楽モードがないこと。主題歌が非常に耳に残る、良い曲で、音楽は詳しくないので、間違った表現かも知れませんが、テクノ調の高速詠唱のような、早口に近いペースで歌います。非常に良い曲になっています。私は、サントラは、シーンとマッチングしてなんぼ。つまり、音楽だけを抽出したなら、一本だけの箸のようなモノと思っている人間なので、あまりサントラCDとかには興味ないのですが、コレは良いなぁと。

臭いとしては、マクロス+の歌に近いモノがあります。意地になって捜したサントラは、リュックベッソンのサブウェイ(It's only mystery が欲しかった)と、古い方のADポリス(ハートブレイカーが気に入った)って、サントラでなくて、歌やん、俺。

脱線しますが、サブウェイには、厳密なBGMがありません。普通、盛り上がるために、テーマソングをかけたりしますが、サブウェイでは、そうした普通のBGMかなぁと思わせておいて、実は作中で、生演奏だったり、ラジカセの音楽だったりと、ちょっとフェイクをかけてきます。主人公が思い悩んでいる時に、サックスのもの悲しい曲が流れているのですが、しばらくして、主人公がウルセえな、見たいな顔をして立ち上がり、場面が切り替わると、その曲をストリートミュージシャンが弾いてたと言うような感じてす。

実は、アヌビスでは、レベルアップの概念があり、ジェフティ(自機)は、成長していきます。様々な状況を利用したステージクリア、オプション兵器の入手、ドラマ展開、リアルタイムRPGと言えなくもない密度は持っているゲームだったりします。AIのエイダとのやり取りも楽しい。と言うか、戦闘時の返答で親密度みたいなのがあるのですが、親密度高いと難易度下がるような。

アクションが得意でないと、ちょっと勧められませんが、良く出来たゲームであることは間違いないでしょう。エキストラミッションに、オリジナルの、サブウェポンの特性を活かしたクリア型のミッションがあれば、もっと長く遊べるのになぁ。




色々と非が多いHD版ですが、今から買うならHD版でしょうね。もうPS2でも粗めの画像には戻れないでしょうし。
と言うか、思い出は美化されるを地でいっていると思います。アマゾンレビュー。
リメイクでなく、リマスターですしねぇ。



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