EVERBLUE1&2


エバーブルー1とエバーブルー2を一括でレビューします。

基本はダイビングしながら宝探しするゲームです。通常の海の中だと、高さがない二次元での水中移動をしながら、特殊なソナーを使って、潜水艦のごとく、音の跳ね返りの長短で、宝物の場所を探ります。話だけだけど、つまらなさそうですけど、これだけでも、結構ハマります。

見つかる宝物も、金属、ガラス、鉱石、陶磁器など、多種多様で、それに呼応したソナーのパーツ(ゲーム中ではエレメントと呼ばれます)を装着しないと見つかりません。ソナーに一度に装着できるエレメントには、限界があるので、欲しいアイテムに合わせたエレメント装着が必要となります。

こうした海底での宝探しは、やり込み要素の一つでしかありません。本題は、沈没船での探索になります。いつでも浮上できる海中と違い、当然ですが、沈没船内では、特定の場所からしか浮上できません。ダイビングですから、エアタンクの残量と相談しながら、沈没船内を探索するのです。

酸素残量と新たな出口の距離が絶妙で、残量が減ってヤバイ。と思う頃に新たな出口(次の探索では入り口となる)ものが発見できるのです。船内の探索も楽しいのですが、沈没船を発見するまでの探索も楽しいです。

一度に持ち帰れるアイテムは決まっています(ザック容量を超すとHPが徐々に減っていきます)ので、未鑑定の高価そうなアイテムを見つけたが、ザック容量がいっぱい。すでに持っている鑑定済みの高額のお宝を捨てるかの葛藤。くそ重いアイテムを苦労して持ち帰ったら、安かったりと、楽しいのです。

さらに水中では、基本、呼吸音しか聞こえてきません(HPが危険になると音楽が聞こえる)。これがまた、没入感を誘います。海の底にある沈没船、頼りの光源はハンドライト一つ。そのライトも、闇を払うどころか、闇に飲み込まれて頼りない。今ここに生きている生物は自分だけなのでは無いかという不安感。ダイビング特有の「シュー、しゅぱーーーー」と言う、圧迫感の呼吸音すべてが、臨場感をもり立てます。

特に光線の加減は非常に上手く、深夜の山中をツーリングした経験のある人ならば、ヘッドライトすら飲み込んでしまう夜の闇の深さを思い出せると思います。

サックの最大容量が増えると、持って帰れるアイテムも増えるので、過去に制覇した沈没船もまた楽しむことができます。

やり込み要素は他にもあり、島民の依頼をこなすと、信頼のコインを渡してくれますし、達成した偉業に合わせて称号を付けてくれます。これらを集めるだけでも、なかなかに楽しいです。

特定の宝物が分かるトレジャーエレメントの存在や、合成という物作りの楽しみもありますし、水中写真を撮り、写真家に評価して貰ったり、アイテム集めや、オークションでの金儲けや収集など細かなやり込み要素が満載です。

それに加えてシナリオですが、これも良くできています。私は、壊れていく日常というシュチュエーションが大好きなのですが、これまで、日常が非日常になっていくというのは、女神転生のような、破壊的な事件が必要だと思っていましたが、このエバーブルーでは実に平和的な非日常への転換が起こるのです。目から鱗でしたねぇ。

エバーブルー1では、調子のいい友達の口車に乗せられる形で、小遣い稼ぎのために海底からのサルベージを始めていくのですが、島民の思い出の品を引き上げていったりすることで、精神的な成長をしていくのです。そして、今は亡き父の足跡と偉業に触れ、父の成し得なかった事を達成するという流れになります。

暴露すると、最終的なオチは「スプリガン(小学館/たかしげ宙)」になります。超古代文明に触れることで、日常を破壊していくのですね。まぁ、コステロの海賊船を見つけた時点で、非日常っちゃ日常ですが。

最初は海の綺麗さと、ソナー探知の宝探しの楽しさで遊び、島民の依頼をこなして行くうちにシナリオに引き込まれる。その依頼も、沈没船のマップバランスが良くできていますので、先を見てみたいと言う気持ちを駆り立てられます。

島民(NPC)もマップ上に配置された小さなキャラのみで、メッセージウィンドーにバストアップも出ません。しかし、シナリオと言うか脚本が良くできているので、メッセージウィンドー横で喜怒哀楽の表情を出さなくとも、NPCの顔が見えるのですから、その出来の良さを理解していただけるかと。

考えてみれば、良くできた小説なんかでは、その表情が目に浮かぶのが当たり前。ゲームでは、メッセージウィンドーのよこに、キャラクターの喜怒哀楽を出すのが定着してしまいましたが、これは裏返せば、セリフだけでは喜怒哀楽を表現できないので、露骨に表情を出しました。と言う逃げの手口、手抜きが定着してしまった。と言えるのではないかと、本作をプレイしてから思うようになりました。


エバーブルー2

エバーブルーから一年後と言う設定です。大抵の続き物の場合、強くなりすぎた主人公の扱いに苦労するのですが、上手く処理しています。嵐で遭難し、相棒兼保護者のズッコを助けるために、最強装備を失い、事故から体力が落ちたと言う設定です。

ただし、ストーリーのオチは前作と大差ないので、インパクトは大幅ダウンです。まぁ、今回のテーマは友情物語ですので、クオリティーは別段落ちていません。 船内探索も、船外探索も楽しいですし、相変わらずマップ上に配置されただけのNPCですが、表情がよく見えるゲームです。

前作の地中海から、カリブ海へ移ったこともあり、ベース音楽は陽気なラテン音楽。無音の水中と対比がより明確となりました。
システム的な変更はほとんどありません。若干の変更点は、危害を加える魚が登場することでしょうか。ウツボやミノカサゴはトラップとして機能するので良いのですが、特定エリアを巡回するサメはどうなんかなぁ…。 見えない壁に阻まれて(特定の部屋から出れない仕組みなので)、噛みつきを繰り返す鮫はなぁ。まぁ、鮫を避けながら、アイテムを探すのはスリリングではありますが。

マップエレメントの存在が消えた反面、家を建てることができたり、魚図鑑に水族館(水中写真にとらえることで増えていく)が追加されたりと、やり込み要素は増加しています。 前作では酒の収集がありましたが、今作では楽器になっています。ビンの中にあるアルコールと違い、水中の木製楽器って腐ってそうですけどね。楽器だけでなく、(中世の)武器防具、オーパーツ、家具、それから重量チャレンジ(トラックも持って帰れる!)とかなり増してます。もちろん、前作通り、依頼品の探索や、自主的な収集物もあります。

前作では、親友にしか、恋人ができなかったのですが、今回はヒロインっぽいのが幾人か登場します。ナラとエリスは、水面下の攻防が激しそうだ(笑)。

沈没船の種類も増えてますし、クリア後に追加される隠し要素も楽しいです。クリア後の隠し要素をクリアすることで、開発スタッフからの手紙が手にはいるのですが、そこに書かれていた、開発の狙いは、ほぼ達成できていると思います。

私個人は、マップエレメントによる宝探しは楽しかったので残して欲しかったのと、宝探しが無くなったことで、フリーローミングつーか、オープンワールド感が減ってしまったことはちょっと残念です。ああ、そうですね、このゲームを短く言い表すとしたら「海中というオープンワールド」でしょうか。

マニュアルを見ると、すべのNPCは、ちゃんとアップに耐えられるぐらいちゃんとデザインされているようなので、画集として、資料としてアップを公開して欲しいなぁ。と思います。海賊娘のアルシオーネがかわいいので、アップみたいなぁと。

エバーブルーをしていると、ダイビングをやってみたくなること請け合いです。
次回作を熱望したいところですが、そろそろシナリオネタも限界でしょうからねぇ。無理せず新ネタで新たな感動を提供して欲しいと思います。


ちなみに、3に当たるのかも知れない、wiiのエバーブルーは、本当にダイビングシミュレーターになってしまい、ゲーム要素は無くなりました。しかも、バックビュー。ゲーム性が無いんだったら、主視点、HUDレスで、没入感を限界まで高めて欲しかったものですが。ゲーム作りを途中であきらめてしまったかのような出来は至極残念です。

グラフィックの向上が、もの凄く効くゲームなので、PS3とかにHDリマスターしてくれないものかと、良く思います(さすがに今やると、いろいろ粗い。まぁ、見るに堪えないほどではないです。魚もほどほど丸いですし)。変に追加要素を足すと、ダメにしてしまいそうなので、グラのクォリティ以外は触らないで欲しい。一滴の醤油が全てを台無しにしてしまうように。と言うぐらい完成されていると思ってるゲームです。

 




初稿:不明(2005年前後?) 改訂:2014/02/07


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