ゲーム批評系の「埋もれた名作を発掘する」と言う企画の本の表紙に「キャプテンラヴ」と並んで、この「有限会社地球防衛隊」の文字があった。雑誌の内容は読まなかったけれど、なにかピピンッとくるモノがあって、捜したが見つからず、ネットオークションで発見。新品未開封を中古価格で購入。
第一印象は、育成モードが、メルティランサーの二作目に似ている。と言うこと。つまり、あまり、よろしくない出来だ。メルティーランサーもゲームとしては、なかなかの出来なのだが、プレイアビリティー…じゃなくて、システムの使い勝手が悪く、イライラしてしまうことで、大減点なゲームだったが、この地球防衛隊もそう。
とにかく、システム、と言うより、ボタン配置がおかしい。やりにくくて仕方がない。妙なところで、手抜きをしており、せっかくの出来の良さも台無しだ。料理は味で勝負と言うけれど、やはり、ゴキブリと食べかすが散らばった店内で、欠けた皿に料理を載せて出されたら、それがどんなにうまい料理で、味皇将軍が吹っ飛ぼうが、新聞社のぐうたら社員が、詫びを入れても、客足は遠のくだろう。
システムについて
育成モードでは、能力値を確認しながら、スケジュールを決定したいモノだが、スケジュール決定画面では、能力値が参照できない。一つ前の、キャラクター選択モードに戻って参照しなければならない。それならば、最初から、能力値モードとスケジュール決定モードを同一画面にすべきだったと思う。
また、キャラクターを一人選んで、その週を監督するのだが、その際のスケジュール選択は、一日一日、別個に設定できる。のは、良いのだが、一週間まとめて選択モードが無いため、いちいち、一つずつ項目をめくって設定しなければならないのが、ツライ。能力値の伸びが悪いゲームなので、一週間同じ設定をして、2ポイント上がるかどうかなのだから、一週間まとめて一括処理できるモードが欲しかった。
また、選択した項目を憶えてもくれないので、いちいちカーソルを動かさなければならず、非常にだれる。前回選択した項目を憶えていてくれるか、一週間まとめて選択できるモード。オリジナルのスケジュールを記録できるモードのどれかが欲しかった。
ボタン配置も不自然で、△ボタンが、スケジュール実行なのだ。しかも、「実行しますか?」と言う最終確認がないため、間違って押してしまうことが多々ある。多くのゲームで、△ボタンは、データ参照ボタンだからだ。ちなみに□ボタンは、スケジュールを初期状態に戻す。と言うもの…キャンセルを充実させる前に、登録の方を重視して欲しい。
実務(SLG)モードでは、左右キーで方向変換。上で前進、下でバック。と言ういびつさ。コレはまぁ、事故車両をワイヤーで牽引(バックで引っ張る)できるが、押すことは出来ない。と言うパズルの足かせなので仕方ないとしても、もう少し方法があったはずだ。画面を見ていると、ついつい進行方向のキーを押してしまい、あらぬ方向へ進むなどして、ストレスが貯まる。
詰め将棋ならぬ詰めゲーでは、一歩の移動が致命となりうるので、ストレスはなおさらだ。
また、いわゆるクォータービューなのだが、設定角度が悪いために、非常に解りづらい。カーソルアイコンも、横向きのデザイン化された矢印なので、ドコを指しているか、いまいち解らない始末。クォータービューならば、ポインタカーソルは、垂直(真上から)にして貰わないと、指定しづらい事、この上ない。
射界に入っているモノを選択する際に、ありがちなのだが、カーソルがフリーなのも致命的。こういったモノは、射界からカーソルが出ないようにして欲しいものだ。
マップ全体を確認できるモードもないし、カーソルも動かし難いので、マップがどれだけの広さを持つのか、確認しづらい事、この上ない。マップの範囲もあいまいで、実際にユニットを派遣して、移動範囲が表示されるかでチェックしなければならない。ユニットを通り越すことが出来ないので、渋滞が発生しやすい。ロボットは、車をまたぐことぐらい出来そうなモノだが。
迂回しようと、別ルートに入ったら、マップが切れていて行き止まり。通常のSLGならともかく、詰めゲーで、それをやられるとツライ。外周は道路なり、ビルなりで、明確な区切りを作っておくべきだ。
あとは、出撃前の装備選択モードで「ロボ用装備できません」「車両用装備できません」と表示するヒマがあったら、装備できないモノは、ハナッから表示すんな。表もループしないので、車両用装備選択するとき、カーソル動かすのが非常に面倒だ。ロボは一台しかないのだから、せめてロボ用装備を下段にするべきだ。
出撃車両を自分で選べないのも、大減点。明らかに足の速さが欲しいのに、3式高速装甲車を出せなかったりするのは、どう言うこと?。キクの車両も固定なのも納得できず。だったら、最初から指揮車と言う名称にして於いてくれ。
装備面も不満が多い。消化剤ぐらい車から蒔けるだろうに。
ブリーフィングでの情報が少なく、SLGマップに入ってから、詳細を知らされるので、必要な武装を持っていないことも多々発生する。ただし、コレは緊急出動である事を上手く再現しているとも言える。
補足:こうしたキー配列やシステム面が気になるのは、やり込みたいが故に不満が起こる。ゲームをやり込みたいのに、操作性が悪いと非常にストレスが貯まる。一度クリアすれば、飽きるタイプのゲームならば、システムや操作性に不満は憶えないはずだ。一度我慢すればいいのだから。
何度もやり込みたいのに、それを阻害するシステムや操作性と言うのは、追求されるべきだろう。
ゲームに関して
まずは、キャラクターが薄い。定番のステレオタイプの大集合なのだ。なにより、ヒロインたちのキャラクター、個性が薄いというのは致命的。また、サブキャラも、定番中の定番すぎてなんだかなぁ…まだ。メルティランサーの方がキャラは立ってたな。キャラが今ひとつ生きていない。
能力値的にも、上昇の仕方が画一的で、もっと個性があって良いのではないだろうか?。初期能力値だけでは、個性とは言えず、成長曲線も考慮して欲しい。SLGならば。
あと、ヒロインのイベント少なすぎ。エンディング(非トゥルーエンド)から想定するに、デートイベントは3〜4しか無い模様。少なすぎ。また、選択肢も意味があるのかないのか解らないので、もう少し、当たりはずれがハッキリ解るセリフを用意して欲しかった。ストーリーイベントも、つーか、各ヒロインのメインシナリオも今ひとつ薄い。
明らかに、作り込み不足。素材やアイディアは大変に面白い。が、イベントが少なすぎるため、ゲームが非常に単調になる。訓練中になにかイベントがあって良いはずだし、実働任務やアイドル任務でイベントを起こすべきだ。サブキャラとの絡みももっとあって良いはずだ。今時、ヒロインたちのみとのエンディングというのも、芸がない。
ナニよりアイドルとして売る。と言うのに、能動的なイベントがほとんど無い。と言うのは、いかがなものだろうか。もう少しイベントが欲しい。新曲発表(実際に歌は流れなくても良い)とか、GEOのテレビCM撮り、ポスターや写真集発売とか、幾らでもあるはずだ。ジーナの新曲が演歌とかさ。ユニット名を付けてたり、ソロで売り出すとかさぁ…。それとも、ときめき度が足りなくて、イベント発生条件を満たしていないだけなんだろうか?。
会社自身の広報イベントが全くないのが、残念でならない。発生条件を満たしていないだけかも知れないが。
年末年始の固定イベントも、なんかやっつけみたいな印象を受ける。選択肢の一つもないため、文字通り強制イベントと思ってしまう。まぁ、恋愛度が足りていれば、選択肢は現れるが。
SLGパートも、トラップ位置やタイミングが固定されているため、SLG色が薄れ、やはり詰みゲー、パズルと言った面もちとなる。最短手順でルートを造る。と言う事になる。
達成条件の難易度も、ちょっとむちゃくちゃな処もあり、絶対に失敗させるような設定をしているところもある。トレーラー護衛や、二号機強奪など、ちょっと達成不可能な感じた。詰みゲーなので、何度かやれば解法は見つかるのだろうが、フリープレイとか無いので、ちょっと面倒。もしかしたら、トゥルーエンドでフリーモードが解放させられるかも知れないけど。
営利のレスキューチームというと、サイバーパンクでは定番の存在だし、現在の警備会社も似たようなことを始めている。契約者が突然体調不良や事故に襲われたとき、警報を鳴らし、警備会社を呼ぶというのもの。そうした救急ネタのイベントやMAPがあっても良かったような気がする。病院へ搬送せよとか。そしたらメガホンがもっと生きたのではないだろうか?。
意図的か、どうか知らないけれど、歌が下手すぎ。OPの歌からして、脱力してしまった。まぁ、アイドルモノだから、意図的なのかなぁとか、考えたりもしましたけど…悪いけど、下手すぎ。
補足:歌唱力は人並みです。各個人の歌も並みです。ただ、OPの主題歌が、曲に対して、歌詞の方が字あまりな感じで、早口にして、無理矢理に歌っているため、下手に感じる。歌詞に曲を付けたのか、曲に歌詞を付けたのか、知らないのでコメントは控える。
ただ、OPはもっと特撮ヒーローノリで良いんじゃないかなぁ?。水木一郎アニキとか、ささきいさおさんとか、景山ヒロノブさんとか、アップテンポで勇ましく歌って良いんじゃないかなぁ…スローで、切々と歌うのも格好いいかも。
総括
一言で言うなら「面白いけど、出来は良くないゲーム。」と言う感じですなぁ。ゲームとしての方向性が、実に中途半端で、育成SLGとも言えず、経営SLGでもなく、、戦術SLGとしても中途半端。まさしく、帯に短したすきに長し。な状態。
可能性は充分に秘めているので、PS2で練り直して欲しい。経常利益100億と言うのなら、もっと経営に参加させて欲しいし、経営に参加することで、広告やキャンペーンを展開するとかで、アイドルとしてのイベントもフォローできたはずだ。自ら、スポンサーになることでラジオ番組を持ったりしても、面白いと思う。
私は、いかにもホームメイドロボと言った感じのする一号機が好きです。ロボの特性を活かしたMAPも欲しかったなぁ…
ともあれ、あの雑誌の評価能力も信用できないと言うことか。まぁ、私もタイトルだけ見て反応したので、私の嗅覚も衰えている。と言うことなんだろうなぁ。
ともかく、良作ではあるけれど、名作ではない。作り込みの甘さが、残念でならない。せめて、イベント(SLGマップではなく)が、今の倍あれば、もっと印象が良かったろう。アイドル売り込みイベントが、2ヶ月ごとの定例会でしか起こせないなんて。結局は、そこに尽きる。もっと能動的なイベントを仕掛けたかったなぁ…
キャラクターグッズとか、デダグティの超合金ロボとか…なんぼでも出てくるわ…それとも、イベント条件満たしてないのかなぁ…ひたすら、残念で仕方がない。実相寺監督はともかく、ゲームパートにもう少し優秀なスタッフがいれば、オオバケしたのだろうなぁ…あと、歌な(笑)。
補足(書き足し):全員そろえて、トゥルーエンド目指してプレイ中なんだけど、やっぱメルティランサー二作目くさい。各パートによって、ボスが異なるようだ。最終的には、一つにつながるんだろうけどさ…あと、イベント発生条件がシビア。SLGで、アドベンチャーの如く、一つ選択間違えたら、以降のイベントが発生しない。と言うのはいかがなものだろうか。
大会社と提携したなら、ロボ装備の開発予算が、倍増しても良いのに予算は代わらないし…セリフは代わるけど。まぁ、確かにアドベンチャーゲームパートではあるんだろうけど…なんか違うよなぁ…攻略本片手にプレイしろって言うの?。
パッケージ裏面に「救難救助・戦略シミュレーションを核に、会社経営、人材育成、さらに恋愛SLGを融合」とあるが、融合できてねぇ。それぞれが独立しており、ケンカしており、足を引っ張り合っている。
もっと言うなら、戦術級だし、会社経営と言っても、ナニもすることはないし、と言うか、経営には参加できない。アイドルの営業すら出来ないのだから。人材育成と恋愛育成はこのゲームではかぶっている。実働班は訓練できないしね。
やはり、ゲームスタッフのセンスの悪さが足を引っ張っている。企画を立てたのも、ゲームスタッフなんだろうけど…作り込み不足。この一言。アイドル営業と、会社経営を強化し、小イベントを増補、AVG(会話パート)の簡便化と、恋愛SLGの強化。ってほとんどじゃねぇか?。
ホントにデートイベントは、会社帰りに出掛けるだけだし、休日にデートも誘えないし、PS2で二枚組(一枚はムービー専用とか)にして、作り込んでからもう一度出して欲しい。したら、PS2買う踏ん切りとなるソフトだ。
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