機動戦士ガンダム コロニーが落ちた地で



「ファング3 りょーかーい」


 

セガ最後のゲーム機であるドリームキャストで出ていたガンダムゲーム。サターンで出ていたブルーディスティニーシリーズよりも、リアリティ重視で作られており、今だからこそ言える、「モビルスーツで行うFPS」の最高峰と言え、タクティカルシューターの色合いを持つFPSと言えます。反面、リアリティ重視が故の地味さが、足かせになったとも言えますが。陸戦ガンダムすら登場しないですし、登場人物は、実写調で表示され、「アニメ絵でないからダメ」と言う暴論がまかり通るような時代でもありましたし。女性キャラもホバートラックのアニタだけですしねぇ。

本家の洋物FPSをいくつかプレイするようになって、改めて、「コロニーが落ちた地で」の出来の良さに気がつかされましたので、今あえて、新規に記述しておこうと思います。

今でも、日本ではTPSやバックビューを信奉する人が多いことからも分かりますが、CoDが大ブレイクする前には、FPSはほとんど市民権がない状態でした。バイオショックのwikiのコメントにですら「TPSで出してくれれば傑作だったのに」とか言う論がまかり通ってましたから。

故に、ガンダム戦記などバンダイ系はTPSというかバックビューで展開し、アクションゲームに止まってました。セガだけは、なぜかコクピットビューにえらくこだわっていたようで、ブルーもコクピットビューでした。 それを理由に叩かれることもありました。


ガンダム戦記で、機体の挙動が少し遅れることで、MSの重さを再現…という評価もちょくちょく見るわけですが、「コロニーが落ちた地で」では、コクピットビューでそれをやっているので、MSに乗っていると言う実感がかなり強まります。さらに、移動時の初動には、画面が少し沈み込むのでMSの足(膝)が踏み込んでいると言う感覚を体感できます。ジャンプからの着地は言わずもがな。そしてなんと、しゃがむことも出来ます…が、高さにあまり変化が無いのが残念ですが。

おそらくは、初の完全再現であろう、連邦系の狙撃スコープがあります。カイやハヤトが、ヘッドレストの横から引っ張り出してくるアレが完全に再現されており、それによる遠距離射撃が行えるようになっています。さらに、スコープを引っ張り出してくるラグも設定されていますので、FPSのスナイパーライフルでスコープをのぞき込む時のラグに相当するペナルティも考慮されています。 コクピットビューだからこそ出来るこだわりです。

タクティカルシューターの要素として、僚機への指示が可能となっており、その指令も、移動経路も指定でき、なおかつ「索敵移動」や「その場で警戒」「仲間を護衛」など何種類かの命令を出すことが出来ます。僚機を先行させて、敵をおびき出し、自分はキャノンタイプで狙撃を行う。と言った戦い方も可能です。パイロットの個性もありますが、戦闘レンジを指定することで戦い方の指示を出すことも可能。ホバートラックもいるので、音紋索敵がキーとなります。

武器も出撃前に選択できますし、盾も選べます。機体の選択も出来ます。頭部が破壊されればバルカンが撃てなくなったりと損害部位も出来ています。さらには、MSであるが故に、ライフパックや回復ツールの存在もなく、無鉄砲に飛び出してもクリアできない設定になっています。そもそも、単なるジムですし、突撃したって返り討ちですよね。

レベルデザインもなかなかの出来。最初のステージから、遠征に出る陸軍に被害が出ないように砲台を排除しろ。と言うミッションで、手間取っていると、味方の戦車や歩兵がバタバタとやられていく仕掛け。敵のザクを倒しつつ、砲台をサーチしつつと、面白いステージです。きちんと障害物を利用した射撃戦も出来ますし、ガウやギャロップといった大物も出てきます。

また、ガンダムゲームにしては、珍しい濃密でリアリティあふれるシナリオと上手く連動したレベルデザインがなされており、非常に面白かったです。FPSなのにシナリオの密度はかなり高く、また、そつがない物になっています。あって無きがごときガンダム戦記とは比べものになりません。たとえば、敵の主要都市攻略時に敵から停戦提案が出されます。「都市を放棄するから攻撃はなしだ」と、そこに貨物列車がやってきます。大量の物資とともに敵を見逃すが、それともここで阻止するか。と言う選択も発生します。ちなみに、見逃すか攻撃するかで、あとの展開に変化がでます。

敵の戦略も見事で、エンディングでは「そうだったのか、やられたぁ」と思うことしきり。

ミッション合間の仲間との通信で、それぞれの人となりが見えてきたり、 シナリオのフォローもあったり、それらのイベントもきっちりスキップできたり、細かい気配りもシッカリできてます。特に、ミッションクリアイベントでは、自機を見る唯一のチャンスなんですが、部位損壊がきっちりと反映されているので、 ダメージが酷いと、頭部無し、左手無しのラストシューティング状態でイベント進行したりします。


この作品、バンダイがナムコと合併したこともあってか、完全に無かったことにされつつあるのが非常に残念ですね。逆に言えば、無かったことにしないと、ナムコ製のガンダムの立つ瀬がないほどの出来映えとも言えるのですが。ちなみに、かろうじて、GジェネレーションFに登場しているぐらいで、それ以降は全く無視されている感じです。

まぁ、地味だし。FPSとして完成しているので、Gジェネみたいなターン制でやるととてもつまらないと言うのもありますが。

ただ、残念なところも多くて、狙撃モードに耐えうる武器が、キャノン系のキャノンしか無いんですよね。狙撃でマシンガン撃ってもまぁ、当たりますけど。威力があるわけでないし。MSであるが故にHSで一発ダウンとかもないですし。武器も、100oマシンガン、ロケットランチャー(バズーカ)、イベント用に試作型ビームライフルだけでして。特別編ならば、ビームスプレーガンとビームライフル(陸戦ガンダム用)とハイパーハンマーもあったっけな。が選べます。

100oはSMGのような物ですから、ライフルとしての90oとか、狙撃用の単発大口径とかあると良かったんですが、当時は無理でしょうねぇ。また、弾薬は無限なので、厳密にはFPSとは言えないかも知れません。目的達成でクリアではなく、敵全滅でクリアですしね。途中で追加目標が加算されるので、上手くできていたと思います。

私が好きなステージは、放置された露天掘り鉱山のステージと、敵の砦攻略戦です。このステージ、上手く敵の探知範囲をすり抜けると、狙撃から一方的に攻撃出ます。敵の頭を破壊したり部位損壊をわざとさせたりしてましたねぇ。味方機を上手くあてがって囮にしたりと、色々とパターンが試せるステージです。ともに、追加目標の設定が面白く、鉱山では、追加目標クリアすると、量産型ガンキャノンがもらえるという。迫力があると言うと、ガウの狙撃任務でしょうか、試作型ビームライフルとガウの爆撃が激しく、大迫力です。どうにも、バンナム系ガンダムに出てくるガウ落としの原型はここにある気がしてならないという。

兵装の拡充と、マルチプレイが実装されていたら、もの凄くブレイクしてたんじゃないかと思います。FPSに造詣が深い方の意見を聞いてみたいです。正直、シングルプレイだけ見ても、オペレーショントロイなんて、鼻で笑われてそのときに飛んだ鼻くそみたいに見えると思います。マジで。DCというハードと、実写系キャラという地味さから、認知度がイマイチなんですけど、ゲームとしては、かなりのハイレベルにあります、断言できます。

最近、PS3XとBOX360で、DCのゲームを配信しているようですので、是非ともラインナップに加えていただきたい一品です。私が渇望しているのは、これとSGGGとやきゅつくなんですけど、セガガガは無理だろうなぁ…


こっそりとした自慢は、アムロを倒せたこと。ホワイトベースチームに勝てたこと。もう一度、やれと言われても無理だと思いますが。ユウ・カジマよ、EXAMなしで私は勝ったぞ!。

ポイントは、ビーム兵器だとさすがはニュータイプ!と言う超回避を見せるアムロですが、100oマシンガンだとガンダムの装甲を信じ切っているのか回避しません。アムロはビームサーベル大好きっ子なので、中距離より近いとほぼ突進(またはジャンプ)>斬りを狙ってきます。コレをバーニア回避でよけて、ひたすらマシンガンを叩き込む!。

問題は、ガンキャノンで僚機が倒してくれるか、大ダメージを与えてくれるかが分かれ目。ガンタンクは移動の遅さから、戦場に到達する頃には、ガンダム、ガンキャノンはいないか、こちらが負けているかです。

が!。ガンタンク砲はかなり痛い。近づくとポップミサイルとなかなか難解な敵。私の場合は、高低差で上手くキャノンを封じ込められまして、しゃがんで、盛り土を盾に。ガンタンク砲の発射光を目標にして、「たぶんこの辺!」とスコープで撃ちまくって勝つという辛勝でした。
 

 
もうエミュでやるしかないと思うが、GDROMは吸い出しも難しいしねぇ…
まぁ、DC本体は捨て値であるので、それを買うしか!



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