人工少女3/人工少女3はんなり
最近の子供は独創性に欠ける。イマジナリーフレンド(空想の友達)も、すぐに、アニメの模倣して作る
−ミスターヘリマン(フォスターズホーム)
さて、無印の発売は昨年2007の11月末。はんなりは、六月末と、だいぶ経ってしまいましたが、意外にも、2008/09/09現在、未だにプレイしており、予想に反して、意外な息の長さを見せております。 のんびりプレイしていると、聞いた事のないセリフを聞けたり、一風変わった、挙動を見せてくれたりと、意外な奥の深さを感じ取れます。
さて、市場の評価の低さを鑑みるに、一つは、あの「イリュージョン」から、「人工少女」の新作が出る。という過剰な期待に端を発しているのは、明確です。とはいえ、確かに、ゲームになっていないゲーム(とは言っても、イリュージョンのゲームは、元来ゲーム性は、無いに近いぐらい低いモノが多い)であり、コマーシャルコピーの「また、いちゃいちゃできるね」と言う物にも語弊があり、いちゃいちゃと言うほど、シュチュエーションは無い。
その理由は、プレイヤー側から、仕掛けられるアクションが、三つのみで、変化に乏しいと言う事。会話への発展性がないと言う事。出来る事は、呼び寄せる。手をつないで連れ回す。抱きつく。この三つ。これだけで、いちゃいちゃと言うほどのシュチュエーションは生み出せない。
ゲーム性と言えるのは、人工少女の愛情値の上昇や、行為時に絶頂に導く事。なのだが、これすらも、手間。と言いながら、ゲーム性がない。と言う矛盾した評価をする人も居て、ニントモカントモ。
3Dコンピューターフィギュア作成キット+ちょっと遊べます。なソフトとして考えると、非常に優秀なゲームと言える。が、セールスコピーは、先にも挙げたとおり「また、いちゃいちゃ出来るね」であり、シュチュエーション面の充実を期待した人から見れば、落胆は計り知れないことは想像に難くない。
元来、箱庭系ゲームは、その入り口からして、人を選ぶ。つまり、箱庭の中で、自分で楽しみを見つけられる人にとっては、広大なプレイスペースとなりえるのだが、目的が見つけられない。いわゆる、お使い型自動誘導ゲームしかやった事の無い人にとっては、何もする事がない。何も出来ないゲームへと早変わりする。このことは、オブリビオン、GTA、ブリーなど、代表的な箱庭タイプのゲームの評価を少し眺めれば、分かって貰えるかと。
箱庭型ゲームは、類い希な自由度を持つ可能性を秘めていると同時に、自主性のない人にとっては、何もする事がないゲームに成り下がる危険性を大いに孕む。日本の現状からして、箱庭型を楽しめる人より、無思考型、強制誘導型ゲームに馴染んでいる人の方が多く(特に18禁ゲームに至っては、強制誘導型というより、デジタルコミックに近いモノが多い)。
この人工少女3においては、アニメやマンガのキャラクターを再現する。と言う事に専念するのも、また一つの遊び方であるが、そうして、有志が作ったモノをただ、ダウンロードしては、押し倒すだけ 。そんな独創性も、自主性もない人にとっては、本当に退屈でつまらないゲームになってしまう。作ったキャラに愛着があるわけでもないので、本当に押し倒すだけで、会話を楽しむ余裕もないのでは、金返せと言う気持ちも理解できるが、正しい使い方をしていないとも言える。
つまりは、自分で作成していないから、愛着がなくキャラクターで、可能な体位を見終わればする事がない。と言う人が、悪評を付けている人の主流であり、箱庭ゲームの遊び方を全く知らないと喧伝しているようなものとも言える。レビューの中には、デフォルトの人工少女を増やせ。と言う意見があったが、そもそも、自分の理想的なヒロインを作るのが目的のゲームであるし、公式非公式サイトには、わんさと作成されたキャラクターがアップロードされている。
抜きゲーとしては、致命的と言われる、リプレイ機能が無い事や、体位の変更不可を上げる人もいるが、基本的に人工少女シリーズは、抜きゲーではない。デジタルな彼女といちゃいちゃするためのゲームである事を忘れてはいけないが、そのいちゃいちゃが出来ない矛盾はメーカーは考えて欲しい。体位の変更不可は、全く持ってその通りで、何故に、搭載しなかったのか、疑問に思う。
会話パターンは、意外にも充実しており、同じ性格タイプでも、属性の付け方で、別の性格のように見える。のだが、会話を始めるきっかけが、全く分からず、ただ、ぼーっとしていると、少女達はどこかへ行ってしまうし、特にはんなり導入後は、すぐに欲求不満になって会話どころではなくなる。 せめて会話モード、オブリビオンのように、会話になるとズームアップして、簡単な会話内容が提示されるとか合っても良かったのではないかと。まぁ、この辺のバランス調整の下手さは、今までゲームらしいゲームを出してないイリュージョンにとって、ツケが回ってきた。と言える。
また、昼夜の時間移行が自然です。と言うのも売りにしているのだが、確かに、夕暮れから夜が更け、夜が明けていくのは、美しいほどなのだが、残念な事に、登場人物とは、全くリンクしていない。プレイヤーがゲーム内で睡眠を取る事で、容易にずれ込んでいく。真夜中に目を醒まして「おはよう」といい、がっつりステーキ食べていたり、真っ昼間に「もう寝る」と言っていたり。
衣装も、昼、夜、また気分などで、あらかじめ登録しておくことで、人工少女の気持ちが見えるようにはなっているのだが、気分はまだしも、時間のほうは、平気でずれ込む事は、上で述べたとおり。真っ昼間に、夜の衣装着ていたり、深夜に昼の衣装だったりと、もう少し、時間とちゃんとリンクして欲しかった。
…という意図の書き込みを某所でしたら「時間のリンクは厳しいかな。夜にしかプレイできないから、夜ばかりになる」…現実時間とリンクするという発想をする脳を解剖したいです、先生。どう考えても、ゲーム内時間以外考えられんやろ…ホントに、読解力に欠ける…現国は大丈夫なのかと不安になる。
他にも、人工少女の行動は、単純に、各内部パラメーターの増減で制御しているため、睡眠欲求が貯まれば昼間に眠り、数値が基準を下回れば、深夜であろうと目を醒ます。属性に「夜行性」と言う物があるのだが、みんな夜でも活発に動くので、ほとんど意味がなくなっている。この辺も、もう少し努力して貰いたい。
追加ディスクである「はんなり」は、無印に輪をかけて評価が低い。その代表例は、値段が高すぎる。と言うものであるが、これまた意外にも、通常会話が思いの外、強化されており、アルゴリズムというか、AIの思考にテコが入っている事と、追加の性格が3タイプ入っている事を考えれば、このくらいの価格は妥当であろう。
と言いたいのだが、追加の性格は、おしなべて出来が悪い。方言をコンセプトにしたのは面白いと思うが、それは諸刃の刃であり、不出来になると、不快感すら与えてしまうのが方言。涼森ちさとによる京都弁はともかくとして、大阪弁は、明らかに、バッタ(補注:役者さんは大阪出身だった模様。いや、アクセントはあってるよぁ…と悩んでいたのですが、まぁ、セリフがおかしかったと。すんませんです)であり、脚本(つまりは、セリフ)が、間違った大阪弁(京都弁と大阪弁が混じっている。大阪よりの京都弁でも、京都よりの大阪弁でもなく、明らかに混じっている)となっている。博多弁も、微妙な違和感を感じる。この微妙な違和感が一番もどかしかったりするのだが。博多弁に関しては、親戚は熊本にしかおらず、成否の判断は今ひとつ付かない(補注:こちらも、博多出身の役者さんだった模様。)。
また、ノーマルなヒロインタイプの性格がないため、普通の女の子を作ろうとしても、出来ないというのは、かなりツライ。この辺りの感覚のズレは、是非とも修正していただきたいところ。
追加マップも、意味がない。と言うより、移動が手間な割になんのギミックもないので無意味であり、研究所を増やすぐらいなら、校庭や体育館を造って欲しかった。 駅前にしても、ただ行けるだけではなく、せめて、ブティックとか美容院とか設置して、ワールド内で衣装変更とか髪形変更が出来ても良かったのではないかと。
造形に関しては、太ももや、乳房の静脈の透け具合まで再現してあり、非常にリアル。乳房の揺れ方も、非常に自然で、オブリビオンの売りである物理演算(重力を考慮したモノの動きや落下)に匹敵するような、柔らかく、自然な揺れを見せてくれます。
少し話は飛びますが、痛感したのは、アンチイリュージョンの特性なのか、それとも、エロゲやる若人の特性なのか、もの凄く読解力が低く、想像力に欠け、独善である。と言う事。はんなり発売一週間で、情報公開がないのはおかしい。とか、サポートする気がない。とか。いや、 どんなメーカーだって、新作発売一週間で、根幹情報公開するわけ無いじゃん…致命的なバグとかなら別だけど、無印の頃は、致命的バグですぐにパッチ当ててるし。
なんかもう、冗談みたいなネタだけど、漫才している人に、そんな馬鹿な事を言っちゃダメだ。と説教するような人も居て、切なくなってしまいました。
あとは、意外にも、レズネタ入れないイリュはアホ。と言う意見も多く、同性愛指向の人は多いのだなぁと。しかし、自分とは異なる性別の同性愛を好む。と言うのは、現実的な恋愛を忌避している証拠で、少女期に、いわゆる「やおい」に走るのは、その傾向のため。と言うのは、評価が固まった解釈なワケですけども。
男の方でも、それは当てはまるのでしょうかねぇ。まぁ、AVなんかでも、レズネタは定番にありますし、本物の女性の同性愛者からみると、まったく、そそられない出来らしいですし。要は、男性に受けるように作りになっているというわけですね。ぎゃくに、やおい同人は、男性の同性愛者から見て、どうなんでしょうかねぇ?。
まぁ、ともかく、レズネタ入れないイリュはアホ。と言うのは、自分の価値観が世界共通と思っている証拠。むしろ、入ってない=一般受けするネタではない。ぐらいに思うべき。さがネット界と言うべきか、要望の声は予想外に多かったらしく、腐男子(いや、やおい好きが腐女子なら、レズ好きの男は腐男子かなと)の声を聞いてか、その要素は、ちょこっと「はんなり」に反映されてますけど。
ついで、この時点でのイリュージョンの新作。「箱」トップ絵見て、どう見てもホラーとか、幼女誘拐監禁とか、言う意見がまかり通ってました。説明文に「箱の中に入り込んで」とあるのに、どうやって段ボールに二人はいるんだよ。とか。リンゴと同サイズだと、小さすぎてH出来ない。とか。
「箱に入る」ではなく、「箱の中に入り込む」と言う表現がされている時点で、明らかに、魔法の箱です。どうやっても、魔法の箱庭的なもので、妖精っぽいもの育成としか解釈できません。中に入り込む以上、同サイズになるのは明白だし。ドコをどう見たら、ホラーに移るのか。 まぁ、そうした情報が公開されると、騒いでいた人は一気に沈黙してしまいましたが。また、箱のアマゾンレビューも、コイツ病院へ直行させろと言いたくなる人が発売前レビュー書いてます。
なんというか、イリュージョンかわいそう。こんな客しか居ないところで、興行するなんて。
話がそれましたが、話の根幹は、箱庭ゲームに適正があるかどうかで、評価が割れるゲームです…ゲームと言うほど、ゲーム性無いけど。あと、キャラクターを作るのが好きかどうかにも依存します。要は、最初に戻りますけど、デジタルフィギュア作成キットなので、それを使って遊び方が思いつくかどうか、かな。
私の場合、出版社や漫画家からスカウト来たけど断ったと言う経歴の知人から頂いたキャラクター(PBMでの恋人キャラ)を、外見のみならず、性格も、ほぼ完璧に再現できたので、多分、死ぬまでつきあえるゲームと思います。 PBMでも、T型そのものの性格でした。
改案としては、容易なところで、AIの簡易コントロールシステムを導入する事。例えば、基本行動「学生」としたら、朝〜夕方までは学校内に留まり、夕方に帰宅する。と言うようなルーチン設定。主婦ならば、家の掃除をするとか。自由人だと完全ランダムとか。これだけでも、生活感が出るハズ。マニュアルモードで、もっと細かく設定できれば、なお良し。
いちゃいちゃ。と言うからには、会話イベントの拡充が必要で、せめて、「海へ行かない」とか「隣に座らない」ぐらいの能動的な会話は出来ないと、シュチュエーションは産まれてこない。能動会話で、愛情度が上限すれば、少しはゲーム性につながると思う。
根本として、メーカーサイドが、シームレスと言う事を誤解していて、コマンド選択とか、ポップアップメニューすら出すと、シームレスにならない。と思いこんでいるような印象は受ける。あくまで、エリアのつなぎ目がない、切れ目がない。事が本義であり、ポップアップメニューやコマンド選択はあっても問題ない。GTA4などシームレスと言われているし、オブリビオンもそう。
抱きつきによる、行為の開始でなく、言葉による行為の開始や、要望の伝達「口でして」とか「上になって」とかが、あるだけでも、随分印象が違ったと思うのですけども。
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