御神楽少女探偵団


知人から、これはどうよと勧められたので、やってみた訳です。PS版の1しかやっておらず、正味、続と合わせて一本の連作なんだけれども、どうにも、続が手に入らない。エルフ版の新に収録されているモノの、予算以上の価格だし。と言う訳で、書きました。

率直な感想。コバルト文庫。小中女子むけ探偵ネタコバルト文庫。この手合いのゲームの割りには、男性受けを狙っていると言うよりも、女子向けのネタもチラホラ見えますし。助手が、美少年で、無意味に女装して潜入するとか。

タイトルに探偵団、とあるように、一応推理モノなのですが、肝心のトリックも、成立してるのか?。とちょっと考えます。そう言った意味でも、コバルト文庫レベルと言えるかも知れませぬ。

その為、ただのドラマ。というか、デジタルコミック的なものとして、見れば、それなりに面白くはあります。

さて、ゲームとしてみた場合、はっきり言って、成立していません。視点が、完全に視聴者視点であるがために、混乱すら起こります。探偵団の三人と、探偵長の視点を便利に切り替えること多々なので、「それでは、手分けして捜しましょう」と言うあと、誰の視点やねん。と、思わず突っ込みました。

そもそも、猟奇同盟という、通常のタイトルコールを出しておき、アクションシーンまでクリアして、さあ。と思ったら、続・御神楽少女探偵団に続くってあーた。いろんなことを、踏みにじってますよ。

問題の推理トリガーも、あまり意味があるシステムと言えず、ただの間違い探しに終始してしまいます。推理トリガーとと言うのは、御神楽の売りで、相手のセリフや、状況説明に、留意するかどうかで、相手の矛盾をついたり、アリバイを崩したりする…ほど、高尚なシステムではなく、ようは、回数制限のある、手がかり探しです。

回数制限があり、推理トリガーを使い切るとゲームオーバーになるシステムにもかかわらず、再プレイするとそのシーンの開幕から始まります。つまり、もったりしたイベントムービーや、掛け合いを何度も見なくてはなりません。非常に苦痛です。メッセージスキップもないので。

私個人としては、推理トリガーによって単語や文を集積し、最終段階で、探偵長に提出する時に、調査報告書が虫食いで、それを推理トリガーで集めた文で埋めていく。のだと思っていました。犯人は***で、動機は***。凶器は***で等々。それで、正解率が80%以上なら解決編に進めるとか、90%に達しているとなにかボーナスがつくとか。

補記:私の推奨スタイルは、流行り神のスタイルに近い感じですな。流行り神は自動でピックアップしてくれますけど。流行り神のスタッフも御神楽でムキーとなってたのかも知れませんねぇ。

さらには、差し込まれるムービーに全く必然性がなく、また、アクションシーンとの見分けもつきにくいので、また、無意味なムービーかよ、と思ったらアクションだったりします。くわえて、タイムギャルとかドラゴンズレア(分かんないかナー)のような、方向や指定されたボタン入力をするタイプのアクションなのですが、その指示アイコンが見えにくいったら。ムービーの背景に埋没してたりしますから。

また、このアクションシーンも、クリアしてもストーリー的には失敗しているという珍妙さ。敵のアジトから逃げる時に見つかって、敵の攻撃をかわす。と言うアクションシーンがあるのですが、全部かわしても、結局捕まります。なんだそりゃ。一発で殴られても、かわらん気がする上に、探偵団は、三人いるので、一人減っても捜査は続くよ、どこまでも。

発売時期が、たぶん、サクラ大戦以降と思われ、随所にシステムや演出的な模倣が見て取れます。ミニゲームが何個か入っているのも、サクラ大戦の花札とかモップ掛けとかなんでは無かろうかと。

シナリオも、推理トリガーで間違い探しをしたのち、解決編で、探偵長が一気に謎解きしてしまうために、推理モノをやっている気持ちには到底なれません。上で書きましたが、報告書スタイルならまだゲーム性があると思うのですが。

さて、問題のシナリオですが、これもまぁ、正統派推理ファンが見たら、呆れてしまうレベル。怪奇ファンからみても、なんか半端と思うレベル。だからこそ、コバルト文庫レベルと称している訳です。コバルト文庫に申し訳ないですけど。

大正時代の独特の言い回しの解説は、うまく取り込んでいるのですが、シナリオのキーになるとこで失敗しているので水の泡と行った感じです。夢男で、遺贈10万円。と言うのが動機になるかも。でミスディレクションに誘おうとしているのですが、プレイヤーサイドとしては、10万円がいくらなのか分からないために、まったく疑えませんでした。

1920年代の日本の資料が無いので、アメリカとの比較になるのですが、20年代、平均的な価格で、T型フォードが、385ドル。この頃のレートが1ドル2円。単純計算で一台770円。物価的には、江戸から明治になった折、下級武士の年収が400円ぐらいだったはずです。

現代の大衆車が300万円(正味は250万ぐらいと思いますが計算の都合上。軽だともっと安いのでしょうけど、T型はセダン相当でしょうから)ぐらいというのを考えますと、あばうば一円が現代で五千円ぐらいですか?。百円札が、50万の札束。1万円が5000万。10万円というのは、現代の5億ぐらい?。

お得意の懐中汁粉で換算するとか、細かい価格が分からずとも、「懐中汁粉がいくつ買えるのかしら」「何十万個でしょうでしょうね」とかで、それとなく伝えられると思うのですけどもねぇ。

補注:物の本によると、大正時代の一円は現代の価値でおよそ4000円程度だそうです。ので、十万円は四億円相当。何十万個でなく、懐中汁粉の会社ごと買えますな。アメリカドルのレートから概算した割に、一円=五千円は、なかなかの精度だったという事ですか。

さて、シナリオを細かく見ていきますと
幽鬼郎。タイトルは立派なんですが、勧めてくれた知人によると、御神楽シリーズ最悪のシナリオ。まぁ、私としては、ギミックとしては蘇る夢男の方がヒドイかと。まぁ、100%隠し部屋だろーと、開始3分で突っ込む、小学生むけ推理トリック。乱歩の少年探偵団よりは、整合性ありますけど。

太白星。全体のノリとしては、マーロウに近いです。劇場という舞台設定が、ハリウッドと演劇関係者が良く出てくるマーロウに近いかなと。大がかりな殺人トリックではなく、絡み合う人間関係をほぐすことで、事件が解決するというのも、近いかなと。でも、相変わらず、解法は強引。金田一ばりに、遠征先で、クリティカルな証拠を入手する当たり。

夢男。大がかりな割りに、トリックがしょぼん。フツー出入りの劇団員が、変装して電気屋で御座いって来たら、気がつきそうなものだろう。執事長よ。執事は、客の顔を覚えるのが仕事だからして。

蘇る夢男。誰しもが突っ込んだ、そのタイミングで、ドアを叩いて騒いだら「時間やるから、早く飲め」と言っているようなもの。幽鬼郎でも、見殺しにしているので、故意かもしけませんが。もちっと金田一的な、人間関係の絡みつきを期待していたのですが。ど真ん中ストレート。絶好球過ぎて唖然と見逃しストラックアウト。きっと、金田一耕助的な、奥様の遠大な乗っ取り計画。と思ったら、ただの変な人でした。

そんな訳で、トータルとして、デジタルコミックとして見るならば、まぁまぁ。と言ったところ。ゲームとしてみたならば、何一つ、成立はしておりません。そんな出来。

やはし、視点は誰かに固定しないとのぅ。プレイヤーは実働助手(ないし、肉体労働担当探偵。御神楽先生は頭脳労働)で、押しかけ助手の三人組みで良いと思うんだけども。制作側は、御神楽先生のロッキングチェアディテクティヴ化を狙っていたという話ですが。


新・御神楽少女探偵団

まぁ、御神楽1をやってどうでも良いと思っていたのですが、勧めてくれた知人が、「続だと、それに近くなる」といったので、ならばと続を捜していたのですが、見つからないので、諦めてエルフ版を購入したというワケです。ちなみに、それ。とは、上で書いている「トリガーで単語や文を集めて、報告書として提出する虫食い文章を埋める」と言う奴です。

さて、PS版との違いですが、PSとPCの基本処理能力の違い、CDへのアクセスが無い事による高速処理。なにより、エルフ版には、既読メッセージスキップがあるので、トリガーを使い切ってからのリカバリーが速い。

また、アクションシーンでも、埋没してマーカーそのものが見つけにくい上に、受付時間も短かったPS版にくらべ、マーカーがハッキリと見え、受付時間も延長されている気がします。

若干のグレードダウンといえるのは、章終わりのアイキャッチが、エルフ版では、SDキャラのミニムービーというか、スクリーンセーバー的な動きのものに変わっています。PS版では、作中の表情変化をアイキャッチにしていた訳ですが。

続はまだ途中なので、新の方を。

新の方では、メッセージスキップに加えて、冒頭のミニドラマをスキップする事が出来、再捜査しても、イチイチゲームオーバーに数えられません。続の方は、トリガー使い切りのゲームオーバーまで減点対象にしてますので。

さて、えーと、まぁ…いっか。全体的には、良くも悪くも御神楽です。シナリオレベル、落ちてもないけど、上がってもない。

ただ、ゲーム構成が、平成15年だか16年だかのゲームなんですが、もっと古いゲームのように感じます。と言うのも、アダルトシーンを全て切り落としても、全く問題がないシナリオ構築。本編とは、ほぼ無関係のエロシーンの導入。

もう10年以上も前のゲームのようです。正直、一話目、殺されるべき男で、女郎屋に売られた少女の躾シーンが突然始まったのは、なんというか…デジャ2のごとき、脈絡の無さ。ちなみに、少女の出番は、なぶられるだけです。本筋とは、ほぼ無関係。

シナリオや脚本レベルの話をすると、色んな意味で、色々な事を諦めたようで、とても残念です。

例えば「ミス…ミス…」「ミスアメリカ?」「それじゃ、バトルフィーバーになっちゃう」とか、どうせエロゲーするのはオタクだろう。と言わんばかりのギャグになってないギャグです。つーか、バトルフィーバーって、30半ばでないとわからんのでは無かろうか…

まぁ、こういった感じで、大正時代っぽさを出す事をさっくり諦めたかと思えば、懐中鉄砲とか基督(キリスト)教とか、むりに漢字使って大正っぽさを出そうとしていたり。

あとは、完全にゲームということを諦めたようで、バックストーリーをモロに出しておいて、大事なとこはボカしたり。なんというか、反則技のオンパレードというか。「このままでは、巴くん達が危ない。」「どういうコトです」「実は…」「分かりました急ぎましょう」で、章変えって…色んなコト無視してません?。

便利に、バックストーリーを断片的にみせて、煽ろうなんて。ゲームである事を諦めているとしか。


あとは、まぁ、「和服はもう暑い」「洋服着れば?」「キャラ立てとかありますから」とか、もうぅ、サッブイなぁ。こういう裏側のセリフがボケになってたのも、十数年前に流行ったぞ。

話数が進むにつれて、情熱が無くなっていくのも感じ取れますしねぇ。もう、確実に、殺人トリックとかにこだわるのはやめたらしく、人間関係の調査メインで解決する金田一パターンになってきてます。

ん、そういえば、畑中神父の部屋の鍵…解決してたっけ?。つーか、そもそも、御神楽探偵長が、大連に流れてきた経緯とか全く語られないし、つまるところ、美和の死のトラウマとの対決も語られない。まぁ、御神楽は主役でないから、それで良いのかも知れないけど…まぁ、色んな所を諦めたというのは感じてもらえるかと。

さて、別個に。

一話。殺されるべき男。まぁ、可もなく、不可もなく。無意味なエロシーンに辟易しつつ。

二話。呪香。全三話の中では、唯一、エロシーンがメインの中でちゃんと絡んでます。ただなぁ、バッドエンドで、あそこまで、秘密クラブの正体掴んどいて、一ヶ月も放置するこたぁねーだろ。しかし、一話で真犯人を許しておいて、コッチのは揺るさんのですか。

三話。百舌。十二時の男は、便利に使えて良いですな。モリアーティーかーい。そもそもにおいて、ルパン三世バリの完全に他人になりすませる変装術というのは、真っ当な推理モノとしては、反則も甚だしい。オマケに催眠術。そんなん、他人になりすまして、催眠術かけたら、完全犯罪ボロボロできますやん。

ルパン三世のような、アクションモノならともかく、推理モノ。と看板掲げて、完全に他人になりすませる変装術をだしたら、ワタシはゴミ扱いしてます。よって、少年探偵団の二十面相はギリで許せるんだけど。

うわ、マジ、書く事ねぇ。上のPS版と比べても、エルフ版は、感じ入る事無いなぁ。まぁ、人間関係や動機面では、ちゃんとした、探偵モノしているのですが。いかんせん、ゲームとしては、相変わらず成立していない。

と言うか、80〜90年代の発想で、停止しているのではないかと言う気がしています。まぁ、御神楽に限らず、他の会社のゲームにも言えるのですけど…他のゲームになってないモノよりは、まぁ、遥かに良い出来ですけど。

…下を見始めたらきりがないからなぁ…下見て、アレよりマシ。とか言い出したら、もう滅ぶしかない。と思うのだけど。



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