全方位RPGというキャッチコピーのこのゲーム。メタルマックスから受け継がれている、自由度の高さが売り。
そもそも、私にとって、ゲームとは自分の行動が物語となるモノ。と思っている人間なので、至極当然と思わなくもない。どこから、いつから、こういう風潮になったのかは分からないけれども、「戦闘とレベル上げという足かせのあるアニメ(映像作品)」の様なゲームが一般化してしまった現在では、珍しい部類になるのだろうか。
プレイヤーのフレイの軌跡が物語になる。だからこそ、ゲームは小説や映画を越える唯一の存在になれるのではないかと、まぁ、再三言っている訳ですね、私は。こうしたことを売り文句になってしまう現状を憂うべきかも。
さて、このメタルサーガ、高い自由度のシナリオで、陥りやすい落とし穴に見事にはまっています。まぁ、メタルマックス2でもそうでしたが。
高い自由度、と言うことを実行しようとすると、どうしても、単発シナリオの集合体になるのは、しかたありません。と言うよりも、全てのゲーム(特にRPG)は、単発シナリオ(イベントの方が通りが良いかな?)の集合体と言えるかも知れません。
つまり、単発シナリオの集合体であるが故に、メインのシナリオが存在しない。メインのシナリオが存在しないと言うことは、ゲーム全体での盛り上がりがない。と言うことに陥るわけです。実際に、メタルサーガでは、一応、根幹のなるシナリオ(イベント)も、他の賞金首と比重は同じ程度に感じられ、単発シナリオならともかく、ゲームの締めとしては非常に脆弱です。
登山に例えるなら、東西南北、どの登山道から上るのも自由、しかし、山頂というゴールは同一な訳です。そして、登山という勾配を上る課程無くして登頂の感動はありません。メタルサーガは、実に平坦な山と言うか、平地というか。いかに、高い自由度を誇ろうとも、物語である以上、必ずエンディングが存在します。そのエンディングへの盛り上がりを欠いてしまったのならば、そもそも物語として成立していないのではないか?。
サブタイトルが「砂塵の鎖」なのですが、まぁ、まさに砂漠。近寄ってみると、それなりに勾配のあるのが砂漠なのですが、見渡すとやっぱり平地なのが砂漠。そう、賞金首にまつわる単発シナリオでの盛り上がりは、砂漠の中の勾配に過ぎない。全体通してみると、盛り上がりのない平坦な砂漠という。名は体を表す?。
全体に盛り上がりがないのは、伏瀬の張り方が非常に下手なため。と考えられます。と言うか、メタルサーガでは、ほとんど伏線など無いのですけども。賞金首一体にまつわる物語が1シナリオと考えるならば、5〜6体分は、メインシナリオの伏線に使用すべきでしょう。
賞金首を倒す事に見えるラスボスの影。やがて、大破壊の真実に振れ、ラスボスの意図が明らかになり、対決へと向かう。そうだからこそ、盛り上がると言うもの。ネタバレで行きますけども、ラストでアレックスが一気に語るものを、数体の賞金首に分配すれば良いだけの話です。
同じく、高い自由度を誇る隠れた名作AD&Dプール・オブ・レディアンスでは、その当たりの展開が非常に上手い。市議会や個人から出される依頼をこなしていくうちに、ラスボスの影が見え、やがて対決へと向かう様は、お手本としたいモノです。
そもそも、良く出来たゲームというモノは、メインのシナリオがあり、その他の本筋とは関係ないシナリオが点在するモノです。言うなれば、クリアに必要な必須イベントとその他と言うもので、その他のイベントやシナリオは、どこからでも、いつでも手をつけるかは、プレイヤーの自由でした。
最近では、必須イベントの処理だけで一本のゲームになっており、脇道や分岐のない、レベル上げと戦闘という足かせのついた映像作品という感じのモノがメインになってきてますねぇ。差し込まれるCGムービーやアニメーションの流麗さを声高に上げているもの程、そうした傾向にある気もします。
メタルサーガは、全方位とか自由度とか言っているモノの、賞金首のレベルが固定化されているために、たどり着いても手も足も出ないか、アクビしながら倒せるか、と言った状況に陥ります。自由度つっても、移動に制限がない。程度なんだなぁ、今考えると。隣の大陸行くのに金の鍵も、勇者の証もいらないってダケの話?。
いわゆる、お使い型ではない。と言うだけの話か?。お使い型、どこそこへ行くには、Aというアイテムが必要で、Aを持っている人に会うためには、Bと言うアイテムが必要で、Bと引き替えに、このCと言うアイテムを隣の村の誰々に渡してくれ。と言う形で進む、いわゆるドラゴンクエスト型進行。
打開案としては、やはり、ハンターオフィスを通しての、ミッション受注制にするのがよいのでは。倒すのを引き受けた時点での主人公のレベルから、賞金首のレベルを変動させる。これで、少しは程よいスリルある戦闘が楽しめるはず。依頼を受けた時点でのレベルなので、戦略等が苦手な人は、レベルを上げて再チャレンジすればよい。と。
名前が売れてくれば、オフィスを通さない依頼が来たり、報酬が安すぎてオフィスに無視された依頼を受けたり。一人の賞金首ごとら、1シナリオ。って考えは、私がテーブルトークやってるからかしらね。いや、ホントに、テーブルトークRPGを真面目に考えていると、基本的なこと、スゴい勉強できると思うので、やって欲しいですわ。
そうそう、自由という割に、ミカにプロポーズは出来ても、レイチェルには出来ないのはナゼ?。つーか、ウェディングドレス送ったら、その相手にプロポーズできるようになっても良いじゃん?。全然、自由、ちゃうやーん。
んー、なんか、どんどん、自由というモノをはき違えている気がしてきたな、メタルサーガ。
ちなみに、プール・オブ・レディアンスでは、ミッション・クエストは常に複数だし、提示されているモノ以外のシナリオもある。さらには、プレイヤーのレベルが上がると、モンスターの戦闘難易度も調整される(主に、雑魚の数での調整だが)
さて、システム面を見てみましょう。一言で言うなら、ランダム要素に頼りすぎ。ほとんどの賞金首はランダムエンカウントですし(シナリオすらないモノも多々)、空を飛ぶタイプの賞金首など、本当に世界を悠々と飛び回っているため、運が悪いと、全く出会えません。
また、画面構成が悪いので、マップ上を動き回るタイプの賞金首は非常に見つけにくいのも、困ったもの。クォータービューなので、画面上方と左側への移動ならば、比較的広く見れるが、それ以外だと狭くて、探せたもんじゃない。マップユニットが大きいと言うことは、それだけ画面に入るモノが少なくなると言うことで、また探しにくい。
こうしたモノは、簡単なイベント、フルメタルボアなら、通り道とおぼしきところに罠を仕掛けるとか、ハゲタカヤーボなら、エサ(高級魚肉とか)を置く(雑魚が出るか、賞金首が出るかはランダム)とか、もちろんランダムエンカウントに賭けても良いし、世界中を走り回っても良い。ぐらいはして欲しかったなぁ。容量の問題かも知れませんけど。
店の配置も歪で、トランクルーム(要するにアイテム置き場)が、自宅にしかなく、合成素材の鑑定も、へんぴな場所にあり、合成してくれる店も、人間装備、戦車装備、アイテムと、あちこちバラバラ。さらにくわえて、合成素材は、「??のジャンク」を鑑定すると素材になるのですが、コレがランダム。雑魚ドロップならともかく、ボスしか落とさないものだと、リセット構成必須。めんどくさすぎ。
コレは単純に、なんとか研究所として、鑑定と合成をまとめて行える場所を作るべきでしたな。そしてトランクルームは、各街に一つは置くべきだ。
そして何より、パーツは多いのに、作れるモノがとても少ないと言う…。ウィザードリィエクスでは合成表を作った私ですけど、メタルサーガのは作る気しません。
売りであるはずの、戦車のカスタマイズも非常に中途半端。まぁ、シャーシーの特性を残そうとすると、仕方ないのかも知れませんけど。もう少し自由に改造できて良いのでは?。主砲五本積んだバギーとか、副砲8門つんだマウスとか、いいじゃん。そう言う改造しても。ペイントシステムなどいらんから、せめて装備穴を増やせるようにして欲しかった。
あと、副砲が重すぎ…12.7oなんざ、外して持ち歩けますわよ…緋牡丹パルカン0.8トンで軽い。と思ったけど、800s…乗用車以上かい…重すぎです…35oバルカンとかだと、5トンとかだし…まぁ、ゲームのシステム上の都合なんで、あまり言いませんけど。
戦闘システムも、問題がありまして、今回、敵の状態がコロコロと変わります。それは、それで良いんですけど、降車状態、つまり人間のママで戦っている時、武器の変更が出来ないんですよ。コレ、致命的。
敵の状態が、コロコロ変わるのだから、それに対応した武器を持ち歩き、変更する。ぐらい普通でしょう。戦車の装備が変えられないのは良いです。むしろ、装備変更はガレージのみでも良いぐらい。だけど、人間は、戦闘中でも装備の変更が出来て、戦術に柔軟性がある。ぐらいの区分つけて下さいよ。本当に、何も出来ないままターンを過ごすってのは、もの凄いバカらしい。
そういう事態が、続いたので、各種状態に合わせた手榴弾を持ち歩いていたのですが、終盤、敵が範囲外に移動し「よし、遠距離手榴弾だっ」と意気込んで投げたら、カン。はじき返されました。範囲外攻撃手段が他にありません。何も出来ずに、なぶり殺されました。どうやら、手榴弾も攻撃力が固定のようで、序盤の街で売っている手榴弾の威力は、かなり低いようです。
手榴弾は、一定係数にしてくれよ…武器防具の威力、それから、店の配置設定など、色んな面でのバランスの悪いゲームではあります。
特技も、二刀流専用とか、二丁拳銃専用とかあるのですが、これらの武器は合成のみ。それはさすがに不親切。そして何より、未だに、シャーリィの距離外射撃の使用条件が分かりません。
次は、シナリオ。単発群を一つ一つ見ていく訳には行かないので、全体像…と言っても、メタルサーガには、メインのシナリオがないからなぁ…大破壊の真相ぐらい、振り分けて欲しいものだ。
でまぁ、環境管理コンピューターが、暴走とも取れる行為を取った裏には、環境をもっとも激しく、そして効率的に破壊しているのは人間で、いわば地球にすくった病原体である。とするのは、古くは、大鉄人17。新しくは…Gガンダムかな。等々、手垢のついたもの。
そして何より、段階を経ず、ラストでアレックスが一気に喋るため、盛り上がりもクソもない。やはり、コンピューターの暴走と思わせておいて、実は苦渋の決断だった。という流れぐらいないと盛り上がらないつーの。
そもそも、核で汚染された地球環境は改善されたというのか?。人間も死んだが、動植物も大量に死んだはず。むしろ、アレックスは、マザーコンピューターに反乱を起こす側であるべきではなかったろうか?。
オロチは、水質管理端末で、その辺からバックボーンが見えてくる方が面白いと思うのだけど。ホンマモノの龍神って。パッケージに書いてある、ドラゴン退治に飽きた貴方へ。って、ドラゴン退治やがな。オロチは水質管理コンピューターで、水質管理(と言うか浄化能力?)の一環として、近隣生物の調査をしている。その験体となる人間が生け贄と。
大破壊前、村全体で、水質改善の験体になったことが、オロチに生け贄を出して、村を救って貰ったという伝説に変化。オロチも普通の検査だったのが、ノアのハッキングから、解剖してしまう様に。とか。
バイオ研究所では、暴走した端末がモンスターを作り続けていて、ポチたちも、本当はジェノサイド兵器でとか。その辺からもバックボーンを垣間見せることも出来そうだ。
妄想で補わせることで、幅と深みを出すグレーゾーンと、物語を盛り上げるために、きっちり語る部分との線引きが、最近のゲームは下手になっている気がしますなぁ。
たとえば、ブレークダウンの写真と、エミリオを関連づけるとか。エミリオが「オレの親父は、ブーメランスパナも上手くて、名うてのハンターと旅をしたこともあった」とか、一言あるだけで、もしかして。と考えさせるのがグレーゾーンだと思います。
「親父は、優秀なメカニックだったけど、整備中のミスで、戦車を暴走させ、その事故でお袋が死んでから、おかしくなっちまった」まで語ると、カッチリした盛り上げ用になるかと。
まぁ、容量の都合で削られた感じもしますけど、投げっぱなしな伏線というか、イベントありすぎ。
ラストイベント終了で、エンドロールを迎えたあとも、引き続きゲームは続けられるのですが、もう少しさー、メッセージに変化あっても良いんじゃない?。銅像も調べられないし。アランさんが転んだ。は発生しないし。
そうそう、超特技は、愛の巣で覚えたかったなぁ。愛の手ほどきとか言って。
誉めるべきは、高い自由度のゲームを作ろうとした意気込みと、一言も喋らない主人公。と言うことでしょうか。評価は、もうすこし、がんばりましょう。ですけども。意気込みは買いますけども、この盛り上がりの無さは、スーパーロボット大戦F並です。
移動に制限のないことが、自由度なのか?(レベル足りなくて秒殺されるだけじゃ?)。全体としての盛り上がりが存在しない物語に意味があるのか?(最後に、一気に設定ぶちまけられてもなぁ?)。言葉はキツイですが、すこし問うてみたいところです。
(2005/9/23記述)
情報メモ
どうにも、防具の防御力=重さ。と言う隠れ処理が施されているようです。主人公だけが、やたら行動順位が遅いので、刀は重いのかと思っていたのですが、武器を買えても変化なく、防具を脱いだら、いきなり速くなりました。
どうしても、カミカゼ系賞金首で先手が取れない。と言う場合、防具を脱いでみましょう。撤退阻止さえ使えれば、カミカゼ弱いですから。レベル135で、loveマシン使っても、カイザー相手に、先手取れませんでしたが、防具(頭と胴)を脱いだら、あっさり取れました。
アルファが異常に速いのも、彼女は防具を一切つけていないからでしょう。
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