アクションRPGとか、シミュレーションRPGとか言う言葉を聞くと、その言葉の定義がふらついている。と言うより、誤解のまま定着したのではないかと思う。
日本人で、定着に一役買ったのは、ほりいゆうじ氏であることは間違いないが、彼は根本的な勘違いを持っている。と言っても、昔の話なので、今は分からないが。DQ1が初代ファミコンで発売され、一躍寵児となった訳だが、ログインの連載コラムでこんな事を書いていた。
『AVGは、行き詰まると、ずっと立ち止まってしまうが、RPGは、とりあえずレベルを上げるか。と言う事が出来る。』
別段、非のある発言ではないのだが、ここに、レベルによる足かせ。レベル制限による難易度調整に逃げれば良いやという、意識が隠れており、ストーリープロットや、ギミックによる謎解きを、戦闘で誤魔化す。と言うモノが見えている気がする。
ここからの曲解に、戦闘してレベルアップして、自機(敢えてこう呼称する)が成長すればRPGだ。と言うなんだか、よく分からない認識が生まれたのではないか。初期の大戦略ですら、戦闘を勝ち残るとランクアップというレベルアップをしていた訳だし、スクロールシューティングで、一定数敵を倒すとパワーアップアイテムのキャリアーが現れる。と言うのも、戦闘によるレベルアップと言えなくもない。
本来の骨子であった、ロール(役割)のプレイによる物語への疑似体験というモノは、どこかへ捨て去れてしまった感じさえする。
現実には、DQ以前から存在してはいたのだが、DQ以降、とりあえず、RPGというジャンルをかぶせれば売れると考えたのか、珍妙なRPGが沢山発売された。アクションRPG、シミュレーションRPGなどと呼ばれるモノ。
アクションRPGの言わんとすることは、戦闘にアクション性があり、キャラクターが成長(レベルアップ)すると言うことだろう。では、縦シューティングで、敵を倒してアイテムを取り、ショットパワーがレベルアップする。アイテムと経験値は違うと言う人がいるかも知れないが、敵を倒した結果、得られるモノで成長する。と言う点でみれば同じ事だ。ゲームによっては、まんま経験値を溜めるタイプのものさえある。
シューティングでも、ステージ間の会話で、世界設定やキャラクター設定をそれとなく解説したりしている。と、こうなってくると、その線引きは難しくなってくる。まぁ、多くの人が気がついているように、もっとも大きな差違は、ストーリー性にあるわけだが。ストーリーの弱さを、アクションと言うゲーム性で補おうというのも、一つの意図だと考えると、何がなんだか。ちなみに、鬼武者やデビルメイクライといったゲームはどっちに分類されているのでしょうかね?。
そして、2005年末になると、やはりと言った感じで、ビートダウン(カプコン)や龍が如く(セガ)。と言ったストーリー性が強い格闘ゲームが登場する。ビートダウンに至っては、敵を倒すと能力値が上げられるという確実なレベルアップ発生する。変装して潜入したりと言うあたりにも、解法が一つしかない上に、アイテムお使いに終始するいわゆる、フィールド型RPG(DQやFF)よりも、RPGらしいと言えるかも知れない。
まぁ、アクション性となると差違があるのでまだ良いとしても、シミュレーションRPGとなると、もう何がなんだか。
シミュレーションRPGというのは、まぁ、ぶっちゃけると、タクティカルコンバットなワケですよ。タクティカルつまり戦術性のある戦闘。ヘックスまで厳密でないとしても、距離やその他の条件等を加味してやっている訳。
元々、テーブルトークの方では、このタクティカル、戦術性ってのが当たり前のように必要だった。だからこそ、キャラクター事に移動距離や、攻撃距離、魔法にも射程距離や効果範囲などが綿密に設定され、果ては重量制限などにくわえて、サイドアタック、バックアタック、奇襲、不意打ち等々、戦術オプションが、ルール化されているわけ。だからこそ、メタルフィギュアなどで、位置関係と距離を明確にする必要があった。
ウィザードリィや、ドラゴンクエストのような、無策に正面突撃し合うようなシステムは、いわば簡易戦闘モード。もっと言うならば、日本でシミュレーションRPGなどと呼ばれている戦闘スタイルの方が、正統的なRPGの直系とも言える。
プール・オブ・レディアンスやカース・オブ・アジュアボンドのSSI社の戦闘システムなど、下手な日本のシミュレーションRPGと歌っているものより、よっぽどSLGしていると思う。呪文の詠唱速度や、被ダメによる詠唱の中断まで設定しているぐらいだし。何よりも、背面攻撃まで設定している。日本のシミュレーションRPGと自称しているものでも、背面攻撃などを考慮したものは皆無だろう。ヘタすりゃ、ZOCすら未設定なものも多い。
まぁ、誤解や勘違いから発生して、定着した言葉は五万と有るので、定着してしまった現状で何を言っても始まらないとは思うけども、知っておいて損はないかなぁと思ったり。
2000年代のRPGは、戦闘とレベルアップという足かせのついた映像作品になっている気がしますな。ムービーを見るために、レベルを上げ、戦闘をこなす。なんだか、アクションや格ゲーに近寄っている気がします。なにより、役割を演じる、自分の分身をゲーム内に送り込んだのに、ヘタすれば選択肢すら提示されず(選択肢があっても無意味だったりする)、観客として物語や映像を傍観する。
自分の行動が、情勢に反映される。と言う点では、侍道2などの方が、よっぽと、ロールプレイしているような気がします。
RPGって一体何なんでしょうね。
【戻る】