デビルサマナーソウルハッカーズ


ソウルハッカーズの発売が、1997年と言うことを考えると、1996年を起点として、この数年間はコンシューマーゲームにとって、かつて無い大豊作というか、刀鍛冶における鎌倉時代のような、一種、神懸かりした時代だったのかも知れない。

私個人としては、シナリオ、ゲームバランス、システム、そして、映像演出と、あらゆる面で高いレベルを保持しており、メガテンシリーズに限らず、ロープレとして完成型の一つ。と断言しても良いのではないだろうか。

真性ハッカーグループが、日常かと言われると困るのだが、日常のちょっとした冒険が、世界を揺るがす事件へと進展していく展開性も素晴らしい。その間にも、友情や家族愛とか、ちいさなイベントとはいえ、ちゃんと構成されている。

ビジョンクエストによって、細い因果の糸が、束ねられ、織り上げられて、運命というタペストリに変わっていく。他人の人生を追体験すると言う、ビジョンクエストもオカルト的な導入としても、革新的であったし、ストーリーテリングの技法としても、バックストーリーを、無理なく、主人公=プレイヤー視点を維持したまま、解説できるという素晴らしいモノだった。

敵の配置や、レベル帯の調整が素晴らしく良い。メガテン的に言うならば、ダンジョン内に登場する悪魔も、プレイヤーレベルを少し上回る程度で、少しレベルアップすれば、仲魔に出来るレベル。と言うのも絶妙の配置で、これの前作、デビルサマナーでは、レベル差がありすぎて、わざわざ仲間集めをしなくてはならなかった。そのままの仲魔で行くと、歯が立たないくらいなので。

物語としても、小さな事件から始まった小さな謎を解決すると、少し大きな謎が浮かび。と言う感じで、それこそ、雪だるま式に展開していく。好奇心というか、話の先を思わず促してしまうほど。

ダンジョンギミックも序盤のベーシックな作りから、段々と意匠をこらして難度を上げていく、その難度の上げ方も絶妙で、プレイヤー自信がレベルアップした感じになったりする。また、ダンジョンをクリアすると、自動で外に出してくれるのも有り難い。

仲魔の育成も、前作キョウジ編では、失敗した忠誠度システムも、今作では素晴らしい完成度を見せている。性格にあった命令を出すと信頼度が上がっていくこのシステムは、まさに仲魔と戦っている気持ちになれるシステムだった。これに、真3のような、仲魔のレベルアップシステムがあれば、究極型と言えるのではないだろうか。

メガテンとしても、現実とニアヒアな設定で、コンピューターによる悪魔召喚という基本を踏まえた形としては、まさに究極型。悪魔との会話戦闘も楽しく、良く出来ているし、戦闘中のセリフも、ライドウよりかは短めだが、雰囲気に合っているセリフはソウルハッカーズの方が多いと思う。

映像演出の点でも、突出したデザインの良さを見せるのは、サイバースペースの演出。8面体のキューブを回転させ、展開させるとメニューバーが出たりというアイディアの良さと、切れ目を捜すと言う行為が実は、ハッキングだったり。サーバーの深奥に潜る時も、ウォールが、keepOutと書かれた、透明の壁だったり、他のゲームだが、ネットランナーや、ニューロが見ている光景ってこんなんだろうなぁと、当時思ってました。

と、私にしては、珍しくべた褒めだが、難点としては、さすがに、現在プレイすると、色々と重い。発売当時は、滑らかで、高速と思ったものだが。と言う、本筋とは関係ない難点しか思いつかない。

一応の完成型というか、究極型を作り出してしまったためか、以降のメガテンシリーズは、真3の様な、イレギュラーな設定で、お茶を濁すというか、誤魔化しに徹している。

また、ソウルハッカーズを境に、細々としたバランス取りがヘタになっていく言う、技術継承の失敗というか、岡田COZYの離脱(?)とかで、プログラムという技術面はともかく、シナリオ的、バランス調整という職人の感覚が頼りの部分がモロくなってきている。と思う。

近頃、サターンを引っ張り出して、再プレイしてみたのだが、面白い。思わず、先へ先へと進めたくなる中毒性。こう言うのが、本当の中毒性と思う。クリア後のシーアークでの転生、悪魔全書の完成、究極の仲魔作りや、好みの仲魔作りとか、プレイヤーの自発的な、やり込み深度。本当に、ゲームとしては最終レベルと思える。

私は、シナリオ偏重主義なので、レベル稼ぎというのが大嫌いで、大抵のRPGとなれば、良くて二週程度(二週目特典がつくものが多いので)、そんな私が、軽く5週はしたと言うことでも、バランスの良さは分かって貰えるかなぁ。特にメガテンは、長丁場だし。

他に、三週以上プレイしたのは…真1,真3、シャイニングフォース1,2。ぐらいかなぁ。入れて良いなら、エバーブルーもかなりやってます。

マジで、XTH2とかより、面白いんだもんなぁ。ここ、二、三年に発売されたゲームよりも、遥かに面白い。と感じてしまうのはナゼなのだろうか?。



今さら簡易攻略情報

ネミッサのタイプにおける難易度
 明るい、セクシー>>>クール 
雑魚戦に強いアギ系とボス戦につよいジオ系と言った感じ。最終的にはメギドラを修得するジオ系に軍配あり

明るい(アギ系)の利点
アギ系を修得する(序盤は火炎弱点多い)
ハマ系を修得する(雑魚を一掃できる。特に終盤便利。反射されても人間は無効)
くりからの黒龍は、まぁ使える(とは言え、火炎属性でかぶるのだが)

欠点
アギに追加効果がない(相手の行動を封じにくい)
意外と火炎吸収の敵も目立つ

セクシー(ジオ系)の利点
メギドラを覚える(万能系なのでボス戦特にシーアークで有効)
ジオ系を覚える(電撃弱点のボスがいる/ショック状態による敵の封殺)
回復魔法の修得が早め
満月の女王は使える(PS・3DS版:万能属性でメギドラより強くて低燃費)

欠点
ジオ系は拡散タイプ(威力減算するので全体攻撃としては脆弱)
破魔呪殺がない(MAG稼ぎの乱獲がやりにくい)
満月の女王が微妙(サターン版はダメージが低かった)
電撃反射の敵がポツポツといる

クール(ブフ系)の利点
ムドを覚える
ブフを覚える(フリーズ状態による封殺)

欠点
序盤は冷凍庫なので敵が氷結無効
呪殺反射の敵は多い。反射されて死亡もあり得る
二億四千万の悪は使えない


使える英雄・猛将
造魔に限らず、物理EXTRAは、体力の消費量が多く、その割に威力が微妙でコストに合わない事が多い。全体攻撃も多く、反射系が混じっていると使いづらい。そのため、物理メインの猛将は使い勝手が今一つ。

ジャンヌ・ダルク(造魔40+ブラックマリア)
ブラックマリアがLv55なので、作れるようになったら即作りたいほど。彼女がいれば、回復要員はもう要らない。ネミッサも攻撃に回れる。ラクカジャ・スクカジャ、メ・ディアラマだけでも優秀だが、EXTRAのオルレアンの祈りは、MP回復が出来る技なので、MAGや現金の節約になるし、長期戦にも頼れる。ただし、祈りの効果はランダムで、「何も起きない」「爆弾化」「HP回復」「MP回復」が起きる。運が悪いと10ターン位、浪費することも。

ラーマ(造魔70+ヴィシュヌ)
ヴィシュヌが84なので、ほぼ二週目用(二週目ですら、ベルゼブブ戦はLv75程度。スティーブン無いと無理)。ブラフマーストラ(独自のメギド)と、ジャッジメント(ニュートラル以外にダメージ)が使えるので、次元回廊向き。まぁ、ヘイムダルとジャンヌコンビの方が良い気もするけど。

造魔
高レベル造魔を作りたい場合は、ドリーカドモンからの一発合体がベスト。継ぎ足しでは、レベルが平均化されるので、下がっていく。ので、なるべく上位の悪魔に、必要な魔法をもたせると言う仕込みが必要になる。タイプは、結局、人型が安定する(ハマ・ムド・状態異常無効)。次いで龍型(やや魔法に強い)あたり。天使は物理に弱く、獣は魔法に弱い。が足を引っ張る。

仲魔
私のお勧めは、Lv50パラスアテネにマカラカーンを継承させる。そうすると、テト・マカ両方使えるので、御霊で速を上げておけば、ボスは、ほぼ封殺できる。テト・マカ要員は、他に出来ることはないので、他の継承は考えなくてもいいのが便利。なおかつ、低レベルで作れる。

他には、マリシテン、西王母が極カオスのテトラカーン持ち。ハチマンに至っては、ニュートラルかつ、素で両方もっている。

キュベレは、素でラク・ンダをもっている上に、メ・ディアラマ持ちで、正確が冷静。タルカジャかマカカジャを継承できれば、とても役に立つ。

性格は冷静、友愛、獰猛が便利。友愛はかばってくれるので、保険に。獰猛は、忠誠度MAXが攻撃力UP。冷静は、はてなボックス等を無効にするうえ、忠誠度をMAXにしておけばGOが頼れる。ダメージを受けたり、反射の敵だけが残ったりと、状況が変化しても適切な対応をしてくれる。



大丈夫?ファミ通の攻略本(PS版)だと、ショックやフリーズは雑魚戦で使える。とあるが、それらはボス向きである。
レオン自工のムーウィス戦など、ショックにすれば、ロードが終わる前に倒せるし、キングフロストの自爆も止められる。
魔力が高いほど、ショックになりやすい気がする。

人型造魔のEXTRA技に、ナイスショートが入っているのだが、ベルゼブブは仲間に出来ないので、継承不可能。
ロストワードやオルレアンの祈りは、なにが起こるか分からない。だけで済ましているが、そこは調べようよ。ウィザードリィのマハマンとかと同じで。

ネクロマ戦法を推しているが、ネクロマで召喚された仲魔は、無敵になるが回復魔法がかかると即死してしまう。つまり、メ・ディア系が使えなくなる。
となると、主人公とネミッサは自己回復に務めることになり、宝玉とソーマ10個ずつの20ターンでは、じり貧になるのが見えている戦法な気がする。



PS・3DS版限定情報
スプーキー生存フラグ
2周目である事
銀子の質問(無名の刀修得時)は「わからない」
スプーキーズ解散時「ココに残る」




3DS版追記(2022/03/31に追記する私も私だが)
声優はキャラに命を吹き込む神と言う戯言がかつてあったが、その逆の「命を奪う死神」でもあることを痛感できる作品。
かつて、やりこんだ人からすると、イメージと配役が合っていない。マダム銀子は完全に男性声で、あれだとヒトミの第一声は「マダムなのに男の人なんだ」だと思う。

また、脚本が微妙におかしい。ユーイチがGUMPを見た時「主人公がもってるそれ、なぁに」の主人公を「あんた」で言い替えるのだが、ユーイチなら「キミ」だろう…シックスなら「あんた」だろうが。

他にも、誰に向かって喋っているのか不明な変換が行われる。レッドマンと始めて出会った時に「主人公の名前を知っているなんて」を「カレ」と言うのだが、ヒトミと二人きりなのに、三人称はおかしいだろう?。ネミッサは基本「アンタ」なんだが、時折「キミ」が入る。また「カレ」で置き換えることもあるが、ネミッサなら「コイツ・アイツ」だろう。

おそらく、脚本担当が、ヒトミとネミッサのセリフを混同している。逆に、ラストシーンでのネミッサが主人公を呼ぶときは「キミ」と言ってほしかった。

他にも、違和感が強い言い回しは多々あるが、

特に、スナッピーは、「言ったんだキュ」と言う語尾キャラ付なんだが、この「キュ」をホンモノのイルカの金属音声を差し込むので、もんどりうつこと間違いなし。
ロメロの「〜だキー」は、普通なので、内部人事が色々あったのではなかろうか(笑)。


ゲームとしては、PS版のリメイク。
ただ、ダンジョンの面白さを理解していない、安易な簡略化を行っているので、微妙につまらなくなっている(まぁ、現代のナゲッツに合わせたとも言えるが)
その一つが、ネオクリア、見晴らしの玉の廃止。DSの下画面にMAP全開になる親切設計。ストレンジエリアのループギミックなんか完全に殺されている。
3Dダンジョンを殺して、2D化している無理解ぶり。そらぁ、ダメになるな、アトラス。

また、業魔殿で、継承魔法の確認をしようとすると、ビクトルの「これでいいか」を連続で聞くハメになってうっとおしい。

ダンジョンギミックの「止まるな」は、携帯ゲーム機の操作性の悪さと相まって、難易度爆上がり。

利点は、ディスクの入れ替えが無くなったこと、作った仲魔を全書に登録できるぐらいかな…


原本のサターン版は、1997年発売で、インターネットの初期。ニフティフォーラムが最先端だった頃かな。さすがに、カプラではないが、まだモデムを使っていた頃だ(PS版でのケータイは、ブラックベリー的なキーボード付きケータイだが、サターン版では、折り畳み式ではないiモードは愚か、ショートメールもないただの携帯電話が最新機種だった。だから、メールで済む要件も通話している)。ソフトと言っているのも時代が出ている(今ならアプリだろう…そういえば、ソフトウェアって言葉もすっかり斜陽だな…)。

そんな時代に、すでにインターネットの暗部を指摘するようなシナリオは見事の一言。

カドクラのセリフ
「ネットはコミュニケーションを拡充する、新しい意思伝達方法ともなりえた。だが、現実はどうだ。デジタルは人間性の粗悪な記号化を生み、虚言と虚構のみが人々の心を満たし、事実の存在意義すら否定する。精神文化の衰退を引き起こした。」

いまの炎上案件や誹謗中傷と、驚くほどにリンクする。

名作は未来を読む。
ハッカーズ2は…デビサバ2と同じ轍を踏むだろう…
 


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