新システムが、新ゲームと言う幻想


いつから、『目新しいシステムこそが、新しいゲームなのだ』と言う共通認識に、しかも、絶対の認識となってしまったのだろうか。

いまだに『このシステムは、ここが新しい』と言うメーカーの宣伝文句を見るにつけ、つくづく痛感する。


私が思い至ったのは『ときめきメモリアル2』のレビューを見て回ったとき。ほとんどのサイトで『システムが、前作とほとんど同じで、つまらない』となっていた。これは、意味がありそうで、正しいそうだが、実際は間違っているし、意味がない。

完成されたゲームシステムならば、もはやそれ以上、改造する必要もない。ゲームの詳細に合わせて、若干の修正をするだけで十分なのだ。

ときめきメモリアルのシステムは、自己育成+好感度をあげてイベント探しゲーム。と言うジャンル(俗称恋愛SLG)において、ほぼ完成したシステムだ。それをむやみにいじる必要が無かっただけだ。つまり、「ときメモ2」は、単純に、同一システムの別シナリオとして楽しむものであったわけだ。

ノベルゲームとか、サウンドノベルと言うジャンルがあるが、システムはほぼ同一だ。かまいたちの夜2は、前作とシステムが同じと不平をこぼすだろうか?。雫と痕でも良い。スーパーロボット大戦シリーズなんて、システムはおろか、シナリオまでもが変わっていないのに、評価が高い謎のゲームだ。

システムの斬新さと言う要素は、所詮、有名絵師を採用しました。ぐらいの効果しかない。ゲームの出来映えには、直接影響しない要素なのだ…本来は。ただ、映画を有名役者(演技で有名ワケではなく話題性重視)や監督だけで評価するように、ゲームもまた、絵だけで評価される事は多いのだが。

目新しいシステムは、映画で言うSFXに等しいかも知れない。革新的な特撮は、話題性を呼び、宣伝でもそれを前面に押し出す。

ただ考えてみて欲しい。『驚異のSFXを使用しているが、ストーリーがグダグダな映画』と『特撮は、パッとしないが、感涙モノのストーリーを持つ映画』。どちらに満足するだろうか?。むろん、個人の趣味趣向で意見は分かれるところだとは思う。

『驚異のSFXを使用しているが、ストーリーがグダグダな映画』は、いわばジェットコースターのようなもので、その場の爽快感と言う点では、もちろんエンターテイメントではある。つまりは、アトラクション的な興奮。

「特撮はパッとしないが、感涙モノのストーリーを持つ映画」の方は、ストーリー的な興奮。心に染み込むような興奮かと。どちらを求めているかは、人それぞれだし、その時の気持ち次第だろう。食事と同じだ。

しかし、単純に物語としての出来を比較した場合、SFXがパッとしなくても、ストーリーがしっかりしている方が、満足度は高いと思う。肉体的な興奮は持続しないものだから。

逆に言うならば、人を感涙させるストーリーを作る自信がなければ、斬新なシステムを生み出そうと努力すべきだし、感涙させる自信があれば、サウンドノベルのシステムでやればいい。そう言った意味で、エロゲーが売れるのは、Hシーンを、映画で批准するならば、特撮バリバリのアクションシーンなんだよね。そこで、故意に盛り上がりを作れると言う点では、TRPGの戦闘に等しい。

ともあれ、作り手も、じっくりと味わって欲しいのならば、ベーシックな作りにした方が良いと思うし(失敗例:偽典・女神転生。変に凝ったシステムを導入したせいで、ストーリーテリングの阻害に)、買い手もそれを認識すべきだ。とは思う。



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