迷宮クロスブラッド
脱皮できない蛇は、自分の皮に絞め殺されるしかない
花と蛇(だったと思う…)団鬼六
・進化を拒絶した愛情は、執着でしかない
いきなり、重苦しいが、実際にプレイしてみるとこう言わざるを得ない。「80年代のRPGに今風のカバー(グラフィック)を被せただけ」。ダンジョンRPGと詠いながら、ダンジョン探索の楽しさは微塵もなく、単調でピーキーなhack&Slashがあるだけだ。ダンジョンも、謎や仕掛け、物語があるわけでなく、ペンシルパズル同然の迷路があるだけだ。20*20のブロックを眺めながら、左端しか使ってないから、この辺に隠し扉があるのだろう。と予想を立てて、サーチ魔法を掛ける。それはダンジョン探索でも何でもない。まだ、模索していた頃の80年代よりも考えがない。
新システムを欲しているわけではない。だが、古いままで良い訳でもない。システムを踏襲しつつも、正当な進化をすることは必要だ。シリアスサムBFEが、GUN&RUNという枯れきったシステムを踏襲しながらも、現代にマッチングさせたように。ときめきメモリアル4が、枯れ果てたハズの自己育成恋愛SLGシステムを甦らせたように。ターンベース、3Dダンジョンという素体を、さらに磨き上げる必要がある。それが敢えて、oldschoolなシステムを採用する気概というモノだろう。
そこには、信念と愛情があるはずだが、この迷宮クロスブラッドには、どこかしら「ターンベースの3Dダンジョンってこんなもんだよね」と言う、諦めにも似たスカした似非ニヒリズムを感じてしまう。 本当に愛しているならば、愛情があるならば、タ ーンベースと3Dダンジョンに潜む、本質的な良さ、面白さを軸に、再構築を試みるべきだったが、実際にやっていることは、一度受けたからと同じ事を繰り返しているにすぎない。
魔法やドロップアイテムのバランスも詰める気がない。としか思えない。効きもしない毒付与魔法が高レベルだったり、相も変わらず、+20だの+30だのと言ったアイテムが、スコンと手にはいる。まぁ、+20でも+30でも、クリティカルで一発で首が飛ぶし、全体攻撃魔法が三連射でもされれば、全滅の危機、かと思えば、相手の攻撃パターン次第では無傷で倒せるようなピーキーなシステムなので、 武具のバランスを詰める価値はない。と言えばそうかも知れない。
低レベルほどその傾向が顕著で、愚直に殴り合うしか出来ず、全体回復もなく、HPも少ない序盤は、全体攻撃を喰らうと、一発で半壊(PTの半数が死亡)も珍しくない。アルゴリズム的には正しいと思うが、ゲーム的にはどうなのかという、確実に弱ったキャラを狙ってくるので、全体攻撃で後衛が瀕死、直接攻撃でトドメ。は避けられないし、手の打ちようもない。
そもそも、戦術オプションがほとんど無いターンベースで、戦闘で盛り上げようと言うのは、無理がある。特にwizのシステムは、かなり簡略化された戦闘システムで、戦闘そのものを楽しむと言うよりも、探索の妨げの一つ 、探索に緊張感を持たせる道具の一つ。と言っても過言ではない。wizのシステムを使い続けるなら、ダンジョンの探索と、rooting、戦利品収集に特化すべきだと私は思う。戦闘に魅力を付けたいなら、それこそ、システムそのものを改変すべきだろう。
ウィザードリィ#1でも、戦闘が面白い。と言う人は皆無と思う。「行くか、戻るか」の見極めや、マッピングに代表されるダンジョンの探索、そしてアイテムの収集が魅力だったはずだ。そんなウィザードリィでさえ、KATINO(睡眠)の呪文で敵の戦力を削ぎつつ戦う。と言う戦術が取れたのだが、このクロスブラッドでは、本当に愚直に殴り合うしか出来ない。補助魔法の設定の旨さが、ゲームデザインの旨さだと 私は思っている。
ウィザードリィの原本となったD&Dで、スリープやチャームパーソン、腹話術、と言った発想力が問われる魔法が低レベルに分類され、高レベルほど、応用性がないのには意味がある。そして、その意味を作ることが、本当の意味のゲームデザインであると私は信じる。
・そもそもダンジョンRPGってなんだ
多くの人が思い浮かべるのは、ローグタイプ(トルネコやシレン)…のハズだが、ゲーム歴が浅い人には、世界樹の迷宮かも知れないが…現状、ドラゴンクエストやファイナルファンタジーのように、フィールド(屋外)マップを持たない、ダンジョンと街のみで構成されたモノ。と考えて良いだろう。
フィールドタイプの特徴は、世界を股に掛けた冒険を行うことだとすると、ダンジョンタイプは狭いエリアに限定される反面、密度の濃さが要求されるはずだ。それは、一歩一歩迷宮を進む緊張感であったり、迷宮に仕掛けられた謎(罠の類ではなく)を解き明かすことだろう。
だとすると、このクロスブラッドはダンジョンRPGと呼べるだろうか?。私には、2Dマップのない、2D移動のない、ただの普通の古めかしいRPGにしか感じられない。なぜなら、ダンジョンの踏破に魅力が全くないのだ。 ウィザードリィ#1が持っていたTILTOWAITOがあと5発。エレベーターから結構来たし、そろそろ戻るべき…なんだけど、この扉の向こうは小部屋で宝箱が出るはずなんダヨなぁ…という「行くべきか、戻るべきか」に悩む楽しさが、ほぼ無い。踏破したと言う実感も喜びもなく、ただ迷路に押し入って、ボス倒して帰ってくるだけ。もしくはひたすらレベルを上げるだけ。危なくなれば、初期レベルで覚える帰還魔法で安全な探索を行える。
本来ならば、帰還魔法は高レベルで、最初は高額な帰還アイテムに頼らざるを得ず「今戻ったら赤字だけど、安全を考慮したら…」と悩むことがない。冒険のない冒険 に楽しさを見いだせる人はごく少数だろう。通常のRPGで脱出方法が多数あるのは、ダンジョンはあくまで障害の一つでしかなく、駆け抜けられるならば駆け抜けて良いシロモノだから だ。
なによりも、ダンジョンそのものに魅力がない。世界樹の迷宮もそうだが、ただの迷路でしか無い。ダンジョンにあるべき、いわれ、歴史、と言ったそのダンジョンが持っているべき物語性が全くない(世界樹は少しはあったが)。
天然のモノにしろ、人造のモノにしろ、そのダンジョンの成り立ちが必ずあり、そして秘められた謎があり、それを解くことが、ダンジョンの真の制覇、踏破で、ただ最奥地にいるボスを倒すだけならば、ゴールにたどり着くことが目的の迷路にすぎない。
ボスを倒すだけが目的のダンジョンなど、フィールドマップで乗り越えられない地形(山や水)を迂回しながら、入り組んだ地形の奥にいるボスを倒す。と言うのを3Dダンジョンでやっているにすぎない。とくに、このクロスブラッドでは、ダンジョンのみが持つ、上下移動、高低差を利用したデザインのダンジョンがあまりな い、それどころか階層構造もあまりなく、20*20のセクター(エリア)と言うタイルを横に並べたような平面の、平屋作りになっている。
これならば、ダンジョンを売りにしていない、ソウルハッカーズやペルソナシリーズの方が魅力的だとさえ言える。ペルソナシリーズも、クォータービューで3Dではないにしろ、戦闘はダンジョンのみであり、フィールドマップは無いに等しい。ソウルハッカーズは典型的な3Dダンジョンのターンベースだし、真女神転生3も、TPSの3Dダンジョンである。これらと比べても、戦闘が面白いわけでも、ダンジョンの探索が面白いわけでも、ストーリーが秀でているわけでもない、迷宮クロスブラッドは、フィールドマップのない普通のRPGでしかない。
そもそも、ダンジョンRPGというものが、「ダンジョン探索にフォーカスした作品」と見ている私が異常で、世間一般的には「2Dマップを持たないRPG」でしかないのだろうか?。
良いダンジョンというモノは、ダンジョンそのものが物語性を持っている。それなくしては、ただの迷路に過ぎない。何物かが、そこに住み、そこで生活しているからには、利便性を計っているはずで、ただ隠し扉を付けてみました。とか、めんどくさい奥地にスイッチを付けてみました。と言うのは、ただの迷路でしかない。 物語というのが大げさならば、「言われ」や「歴史」でも良い。
ゴブリンが住み着いた洞窟。それが、最近住み着いたのか、それとも長くそこにいるのか。ゴブリンが掘ったのか、それとも、天然のモノなのか、廃坑に住み着いたのか、現役鉱山に住み着いたのか。それぞれ、デザインが異なるはずだし、作る側も、それをデザインするのも楽しみなはずだ。壁のテクスチャや色などは、末端の問題で、コンセプトワークが良くできているダンジョンは、歩くだけで楽しく、ワクワクしてくるものだ。
skyrimやオブリビオンの迷宮が、上手いのは、太古の邪悪を封じた墓だからこそ、墓を開く仕掛けが奥地にあり、護衛がいる。イカレたネクロマンサーの住居だから、素材捕獲トラップがあちこちにあり、自分の出入り口として隠し扉がある。と言う物語性がきちんとあるからだ。古代人の住居だからこそ、防犯装置が生きていたりする。そして、その住居が賑やかだっだ頃の記憶が、ぽつぽつと落ちている。またそれが、迷宮制覇の手がかりとなる。
テーブルトークでシナリオデザインする時は、誰しもこういう物語のある住処として作るモノだと思っていたのだけど。ムラマサはテーブルトーク未体験なんでしょうかねぇ…九龍妖魔学園記とか、慟哭そして…や、火焰聖母のダンジョンが、面白くないのは、こうした物語性が全くない、ただ迷わすだけの道、迷路そのものだからだ。
だから、ダンジョンを抜けた時の達成感もなく、制覇した気持ちもない。ただの迷路だから。 遊園地のミラーハウスや巨大迷路に達成感はないが、きちんと作ったお化け屋敷にはクリアの達成感がある。それも同じ理由だろう。
ただ迷路があるだけならば、トルネコやシレン、ペルソナ3のような、ローグライクもどきで十分だ。だから、私は、迷宮クロスブラッドをダンジョンRPGとは呼ばない。フィールドマップのないただのRPGだと。
なによりも、迷路化しているのにドアプレートだけ生活感を出そうしているのが、より一層、空虚さを増す。仮眠室、トイレ、などドアプレートだけで、中に入っても、イベント一つ無い。PCのラプラスの魔では、遊戯室ではトランプに興じている幽霊から参加を誘われ、寝室を荒らせば亡霊が怒り出す(いわゆる、藪をつついて蛇を出す系イベント)。
ダンジョンに物語がないが故に、ダンジョン攻略のヒントや謎解きが全くない、ただひたすらスイッチと隠し扉を探すだけの探索は、単調で退屈。skyrimでさえ、先に入ったものの死体から日記(ジャーナル)を見つけ、仕掛け扉のヒントを提供している。また、ただの洞窟も、先の探検者たちの日記を読むことで、ここで何が起こり、なぜ彼らは絶滅したのか分かるだけでも、十分な物語を持つダンジョンといえる。
・シナリオセンスの欠如
WIZXTHの頃から、酷かったわけだが、こちらはさらに磨きがかかっている。もはや、根本的なデザインセンスの問題としか思えない。 一般的な意味でのシナリオ、つまりストーリーテリング、ストーリーライティングの面でも、少々ヒドイ。
遊霊病棟は最悪だったが、他のダンジョン…いや迷路も、ブラッドコードを取るために、強大な異形を解放してしまうとか、なにか物語性がほしいものだ。マスタートーチャーもそうだが、 不忍池プリズンの悪魔所長が、次々と扉を開けて回るXTH隊に「新しい死刑囚を歓迎する」とか言うのは、?マークが三つぐらい浮いてしまう。普通に考えれば「私の監獄で好き勝手やってくれているようだな」とか「お前たちはナニをしているのか分かっているのか?」とかだろう。もしくは、回収後の出口付近で 牢名主が「解放してくれてアリガトよ、礼を言いに来たぜ。」とかだろう。
最終的には、「シナリオがない」と言うことに帰結する。物語的な流れは存在するが、それはシナリオではない。単に、あのダンジョンに潜って、ボス倒してこい。では、なんの盛り上がりもないし、流れとしてもつながりにくい。そして、選択という判断もない。ダンジョン探索に置ける判断(「行くか戻るか」)もなく、物語的な判断もない、戦術判断もない、無思考のゲームと言うのが実体だ。
簡単な例としては、上司から「あの洞窟のゴブリンを倒してこい」と言われるよりも「弟の病気に効くキノコが採れる洞窟にゴブリンが居着いてしまって…」と悲嘆に暮れる少女の方が、キャッチーであるはずだ。それと同時に「ゴブリンを排除する」「キノコのみ持ち帰る」と言うクリアへの選択も同時に生まれる。
さらには、上司の命令を守る。と言うのもモチベーションだが、押し付けられた命令よりも、プレイヤーの自主判断で「この子のために行きたい」と思わせた方が、モチベーションは、はるかに高い。そう言う組み立てが、シナリオであるはずだ。
さらに、「キノコの独占を狙う少女の陰謀」、「洞窟のゴブリンも、元々の住処をトロールに追い出されて困っている」、「キノコの話は嘘で、邪神へのイケニエとして冒険者を誘っていた」など、広がり、連続性を持たせることで、誘導するのがゲームの運営であるが、ムラマサにはそれがない。話としての繋がりはあるが、連続性に欠けるので、盛り上がらないのだ。唯一連続性を持つのは、最後の最後だけだ。
黒騎士のブラッドコードの欠片を集めるにしても「ただ拾ってこい」で済ませてしまう。普通の感覚があれば、なにかイベントと絡めるはず。 黒騎士の暗躍する姿を追い、その過程でコードを手に入れるから、盛り上がる。奴の目的は?動機は?それらが一つずつ集まっていくからこそ、ドラマチックな展開となっていく。と言うのは素人で分かることだろう。
単純に、「異形が急激に活性化したエリアがあります」として、話の流れを作って、新たなエリアを開放す れば済むだけの話なのに、探索のために新しいエリアへの進入許可を出しますとか、本当にセンスに欠ける。
ヒドイ言い方をすればクロスブラッドは「RPG」ですらないと言っても良いかもしれない。
設定面から見ても、海人や則子が、良い組織ぶろうとするのだが、導入からして「黒騎士に追われていた民間人の学生を強制徴用したあげく、基礎訓練どころか、装備の説明、支給もないままに実戦に投入する」のは、どう見ても捨て駒です。
訓練後にPT編成し、実戦訓練という名のチュートリアルで、旧校舎に行き、その途中で、シズナ探索を命じられる方がマシと思います。
・やり込み要素はオマケであるべき
ルセッティアのところでも書いたが、クリア後のオマケは「ビクトリーラン」であるべきで、一万メートルトラックのゴールテープを切った瞬間、フルマラソンスタートです。ではコントにしかならない。
The Elder Scroolシリーズのようにローミング主体にするならば、クリアしないと行けない場所。クリアまで制限がかかる。などは排除すべきだと、私は思う。ローミングの途中にメインシナリオがあるべきで、シナリオの中にローミングがあるべきではない。
単純に言えば「ゲームはクリアしたけど、未クリアのクエストがあるから、まだ続けよう」と言うのがあるべき姿であり、「未解放のエリアに行きたいから、ゲームをクリアしよう」と言うのは本末転倒で、カードのためにスナックを捨ててしまうようなものだ。
いずれにしても、ゲームはクリアしたけど、クリア後もこの世界に留まりたい。と思うからこそ続けるわけで、こんなのがあるから残ってください!と懇願するのは興ざめだ。FALLOUT3やS.T.A.L.K.E.R SoCで、クリア後の放浪要素が求められたのは、その世界が魅力的だったからで、新規エリアが開放されるわけでも、新要素が追加されるからではない。
・デザイン放棄のシステム
そもそも、和製RPGが、「レベル差で押しつぶす」と言う発想しか無いものが多く、レベル上げが絶対正義のような世界。特にウィザードリィの戦闘システムは、圧倒的火力によって、押しつぶすか、押しつぶされるかで、そこに は戦術という技術も努力もない。脳みそを停止させての経験値稼ぎは、努力ではなく作業だ。もしくは単純作業と言う精神的苦痛に耐える時間でしかない。
そして解決方法も、強盗殺人しか無いというのも古い。相手が山賊とかモンスターであるにしろ、結局のところ、住居に押し入って皆殺しにして帰ってくるだけなのだ。
キャラクタービルドも、レベルでスキルを覚えるタイプで、詰まるところ、ビルドもなにもない。「スキルの組み合わせ」と言う売りも、詰まるところ、レベルを上げて行くことでしか無く、本来の組み合わせの妙とはほど遠い。例えば、戦士にしても、一発型と手数型に分化しても良いはずだし、モンクも受け型と攻め型に別れても良い。そうした選択の幅があってこその組み合わせで、ただのマルチクラス考察でキャラビルドなんてのは、おこがましい。
私だったら、スキルポイント制にして、各ブラッドのスキルを取るようにするがなぁ。手数系の戦士と一発系の戦士とかビルド方針が別れるだけで、違うビルドを試したいと言う、やり込み要素となる。
モノ集めにしても、スコンと+20だの+30だの出てくるので、強化の意味がない。苦労して限界まで強化して+24にしたぜと思ったら、スコンと+32が出てきたら、ヤッターと喜ぶ人はどのくらいいるだろう。少なくとも私はやる気を無くすタイプだ。
射幸心を煽るはずのプラスアイテムが幻滅させると言うのは、如何なものかとおもう。そして、暴発的なプラス数値が、ジャンクアイテムを無価値化するのは、wizXTH2から成長していない。
・つまるところ戦闘のある迷路ゲームでしかないクロスブラッド
結論はこうなる。迷路を踏破して、ボスをレベル差で引き倒すゲーム。
ダンジョン探索の楽しみもなく、キャラビルドの楽しみもなく、ストーリー的に引き込まれるわけでもない(故に、クリア後に解放される特典をちらつかせて、ニンジンとしている)。レベル上げの作業しかする事がない。そして、レベル上げは断じてゲーム性ではない。
特に、ダンジョン探索に楽しみがない。キャラビルドが楽しくないと言うのは、ダンジョンものとしては致命的。まぁ、和製にキャラビルドを楽しむものはほとんど無いわけだが。ローグタイプの場合は、スキル、perkの組み合わせも楽しみの一つであるわけだし、Wizardryにしても、僧侶から転職して、回復が出来る戦士にしよう。とか、箱あけ専門家のシーフを作ろうとか、長期計画が楽しみの一つでもあった。クロスブラッドでは、サブに持ってくることで、何の苦労もなく実現できる。
ダンジョン探索が楽しくないのは言わずもがな。終盤は、隠し扉を探すゲームになっていて、全体エリアは20*20だけど、左隅にしか入れてないから、この変に隠し扉があるはず。とサーチするか、魔法使うかのゲームでしかありません。本当のダンジョンゲームなら、ヒントや手がかりがあり、スイッチ操作や仕掛けをくぐり抜けつつ進むべきで、このことからも、ダンジョンRPGなどと名乗るのは、恥知らずと言っても良いでしょう。
喜びは、苦労の分だけ増すもので、いかに最近のゲーマーが苦労を嫌うと言っても、こんなに排除されては、喜びもない。固くて噛むのがイヤだからと、ステーキをペースト状の離乳食みたいにされて誰が喜ぶものか。柔らかく調理する方法か、固くならない肉を見つけるべきだ。
柔らかければ良いんだろ!とミキサーにかけるような事をさして、私はセンスがないと称している。
他にも文章センスも、XTHの頃から進歩していない。作劇のセンスなんて、泣けてくるほど。相も変わらずコマンドで空き教室へ移動と選んだあとに「隊員達は、空き教室へ移動した」とか出したり、そもそも、主語をしつこく書くので「私はニューヨークから来ました」「私はお腹がすきました」と言う、どこの日本語教室の教材か?見たいな文ばかり。
そのセンスの結実はダンジョンの遊霊病棟で、「言葉の拷問を開始する」「恋人とケンカしたことあるか」「いいえ」「かわいそうな奴」とか「言葉の拷問を開始する」「昨日家から出たか」「はい」「普通だな」…拷問?…言葉の…拷問?
ちなみに「恋人とケンカしたことあるか」「はい」「本当にケンカするほど仲が良いと思っているのか」…ただのやっかみだ…「昨日家から出たか」「いいえ」「まるでダニだな、家に住むダニだ」…そっすか、とりあえず、拷問 とやらはいつ始めるので?
質問がメタ(明らかにキャラクターへではなく、プレイヤーにしている)ので、なにかオチがあるのだろうとボスのところへ行ったら、「言葉の拷問で、貴様らの精神は死んだ」とか言いだしてくれまして、笑い死にはするかもなぁ。と。さらには、霊界から「諦めるな、君たちには無限の可能性がある」とか励まして貰ったりして…違う意味で泣けました。なにこのセンス…と。
そもそも、拷問をしてくるのがトーチャー系、手術台でメチャクチャにされた被験者なんですが、この段階でセンスねぇ!と叫ぶわけですよ。拷問するなら、ポルターガイスト系でええやん。なんで被害者が拷問してくるかと?。牢獄で拷問死した霊が、今から取り調べをするとか言ってるようなモノですよ。普通役人の霊を出すだろう。と。
トーチャーでするなら「なんで助けてくれなかった」「一般市民なんて助ける価値無いと思ってるな」「何が平和をまもるだ」「お前たちには何も出来やしない」「無意味だ」「無価値だ」「存在意義もない」「 お前たちは、この世にいるべきじゃない」とか、言葉責めぐらいはやって欲しいもの。
むずがゆい日本語の一例
「緊急時に備えて、無効化するセキュリティ」ってなんだ?
ウィルスが入ってくるかもしれないから、PCのセキュリティ弱めるのかムラマサでは?
単純に「緊急時に備え」を取っ払い「ランクBセキュリティを無効化しますか」で十分だと思う。
洋ゲーのオマケに入ってる頓珍漢な日本語訳レベルだよね、これ。万事この調子。
シリアスサムBFEで有名な「着陸地点が暑すぎて降りられない」以下だわ。
どうしても長くしたいと言われたら、私ならば「警戒態勢を緩和し、セキュリティランクBへ移行しますか」ぐらいだろうか
ラスボスも、システム的には、可能な限り、いやな攻撃を装備させました。みたいなボスで、なんのヒネリもない。ボスの正体は、少し面白かったが、相も変わらず、伏線の張り方が微妙だし、国家秘密機関に、そんな怪しげな経歴の人間が本名で潜り込める(しかも、北米支局の隊長候補)って、どうなんよ?。
まぁ、wizXTH1のリリスのように、3-4回ちらっと出てきただけのキャラに「私は生きたよ」とか言わせて「ほら、感動的だよね、ね?ね?」の頃よりは、きちんと感情移入出来るようになっているが(そのために、強制イベント化(しかも任務受領型)するのは下手すぎると思うが)、行動の方針が、微妙というか、目的の方向性が違う気がする。記憶喪失のような、ちぐはぐさ。分かっているはずの事で、瞬間的に切れてみたりとかねー、知らなかったの、それ?そんなに長生きして、そんなに情報追い求めて、そんな研究もしてたのに?。とか。
wizXTH2のような、「はい最終兵器、がっぱってねー」と最終決戦中にNPCから投げ渡されることは無くなりましたが、その最終兵器作りとイベントが連動してないので、うっすい薄い。最終兵器作るのに、ブラッドコード集めてきて。と言うのだが、本当にダンジョンの奥地に落ちているだけだったり、突発イベントのボスが持っているとかだったり。
先にも書いたけど、そこは黒騎士の暗躍とリンクしないとダメだろうと。ひょっこり落ちているのではなく、ブラッドボムが設置してあるとか、「急激に異形が活性化したエリアがある」とか、それだけで話はつながる。
本来の意味での「シナリオ」、つまり全体の話を構築出来ていないのは相変わらず。
作業性をもってレベルを上げることは、ゲーム性では決してない。レベル上げ作業をゲーム性と思っている日本のゲーマーや開発者は、まだまだ多いと思うが、それを脱しない限り、鎖国というか、ガラパゴス…もはや、タコ壺だと思うが、閉じこもった環境の中での餓死は避けられないだろう。
wizXTHで、解散しておけば、おしいディベロッパを失ったなぁ。と思っただろう。処女作で、力量以上の評価を受けたという点では、魔人プロジェクトと同類と思う。
もし、未だ続ける気概があるのならば、ダンジョンの良さとはなにか、ターンベースであることの意義とはなにか。ストーリーライティングとシナリオの違いとは何か。今一度、見つめ直して欲しいと思う。 正味、低価格版だったから、このくらいで済んだが、フルプライスで買っていたら、もっとドキツイ言葉になっていたと思う。
・プログラム的なダメだし
マウスを使用させないなら、マウスカーソルは消しましょう。特に全画面モードで、ど真ん中にWindowsのカーソルが残るのは無様。
これは、システム面だけど、サブマップはともかく、メインマップにPIT、落とし穴の位置を載せないのは、どうかと思います。向いてる方向も出ないしねぇ。
・総括
チーム村正って、ダンジョンを愛してないんじゃ無いだろうか?。フィールド型では予算がかかりすぎるから、やむを得ずダンジョン型にしたら、思いの外受けて、口から出任せで「こだわってます」とか言ったんじゃないだろうか?。そうでもないと、ここまでダンジョン探索の面白さを全部外せるわけがない。そう考えてしまうぐらい、外している。
本当に、wizardyXTH2で終わっていれば、化けの皮は剥がれなかったのに。
初稿2012/04/22 改稿2013/09/26
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