事件記者コルチャック


三流新聞紙のINSの事件記者、カール・コルチャックが、まわりで起こる怪奇事件を解決する。と言うストーリーの流れで話がすすみます。大抵、テープレコーダーに独白を吹き込むシーンから始まります。ツインピークスでやっていたあの手法は、コルチャックからなんですね。

70年代に制作されたテレビドラマなので、特撮は悲しいぐらいです。が、その分、脚本、演出、構成の巧みさで、十分に魅せてくれますし、決して飽きさせることはありません。序盤のなになげない、上司とのやりとりにさえ、伏線が用意してあり、物語の後半で、あの何気ない会話が事件の手掛かりになるなんて!。と唸ること必死です。

ただ、立て続けに見ていると、序盤に出てくるアイテムを見て「ああ、コレは伏線だな」と分かるって来るのですが、それをどう処理(ご都合主義にならず、物語に織り込むか)するかと言うのも楽しみの一つです。

最近の作品は、特撮に頼りきりで、基本をないがしろにしている気がします。
面白い作品は、基本が、脚本や演出、プロッティングがしっかりしていることの方が重要と言うことですね。

また、ちゃんと登場する怪異に関して、綿密な下調べがしてあるようで、隙がありません。隙がないと言うよりも、他の隙だらけの作品が、このコルチャックを見て、ろくな下調べもすることなく、怪異を引用しているのでは?。と勘ぐりたくなるほどです。


この事件記者コルチャックの特徴として、問題は解決しますが、解明はされません。

事件の謎は、謎のまま。理屈も何も提示されません。目の前で起こった事件を(もしくは、降りかかる災厄から逃れるために)、解決するだけ。それが何であるか、なぜそうなったのか、分からないままです。

それなのに、未消化と言う印象をまったく与えません。

理屈なんて分からないからこそ、ミステリーなのだ。と、逆に納得さえしてしまい、本当のミステリーとは、理解できないモノなのだと理解して、いい知れない恐怖感を感じます。小洒落たそつのない理屈や、興ざめな理由付けをするよりかは、分からないモノは、分からない。と認めてしまった方が、恐怖感が増すような気がします。


主人公のコルチャックは、二枚目でもないし、いつも、よれよれの水色のスーツに、くたびれたテニスシューズ。上司に「鳥の巣」と称される、くたびれた帽子を愛用しています。この帽子は、さながらお守りのようで、なにもそこに行くのにわざわざ持って行かなくても。と言うところまで、持っていきます。

まるで、その帽子さえ無事なら、コルチャックも無事だよ。と言うメッセージでもあるようです。

コルチャックは、調査が上手いわけでもありません。いつも、窓ガラスを割り、鍵をこじ開けて忍び込みます。記者としての能力も高いとは言えません。写真はいつもピンぼけで、使い物になりませんしね。

身体能力が高いわけでもなく、特別の知識もありません。度胸があるわけでもありません。隠れていても、耐えきれなくなって叫びながら逃げ出すことも多いのです。

警察とのコネもなく、むしろ嫌われていますし、過激な記事を多く手がけ、強引な捜査をするコルチャックを嫌っている人間も沢山、登場します。

記者と警察の関係もしっかりしていて、日本の奥様向けサスペンスドラマ見たいに、警察は甘くありません。いつも、コルチャックは、現場を荒らし、捜査の邪魔をするとして追い払われ、時には怪異を撃退した現場から出たところを、逮捕されます。コルチャックを庇ったり、無償で情報を提供してくれる警官もいません。

しかし、警察はコルチャックの洞察力や分析力だけは、評価しており、常識を逸脱した事件をあっさり受け入れるコルチャックを、恐れ敬意を示している感じさえあります。その証拠に「闇に舞う首無しライダー」で、心底コルチャックをバカにしていた、新進の警部は、失態を犯し、降格、左遷されます。

INSと言う新聞記者にも関わらず、コルチャックは平気で、3〜4日は編集部に現れません。締め切り大丈夫なのかなぁ。と思っていたら、女吸血鬼の話だったかな。「INSウィークリーニュース」と言って、社の説明をするシーンがあったので、週刊新聞らしいです。日本と違って、アメリカでは、個人紙から全米紙まで、多数の新聞がひしめいていていますから。きっと、INSはシカゴのローカルニュース紙なんだろうと思っていたのですが、ニューヨークを初め、全米の主な都市に支社があるようです。意外と大きい新聞社なのかも。

時に、読者投稿欄を担当しているエミリーおばあちゃんですが、開始当初は、旅好きなちょっと責任感のない若い女性。と言う印象を私は受けました。第一話の「恐怖の切り裂きジャック」では、コルチャックは警察を怒らせた代償に、旅行で休んでいるエミリーの代わりに投書に返事を書くように命じられるのですが、そんなコルチャックを同僚たちは「ミス・エミリー」と言ってからかうのです。独身のコルチャックに対してなので「ミス」と言っているのかも知れませんが。

しかしながら、いつもコルチャックの味方をしてくれる、エミリーは、おおらかな祖母(グランマ)とした方がキャラが立ちます。
ところで、エミリーおばあちゃんへの投書のコーナー名は、やはり「エミリー・ポスト」なんでしょうかね(笑)。


余談

怪獣ワニトカゲの影の回を「超常ホラー読本(KKベストセラーズ)」では「爬虫類生物が、二本足で立つのはご愛敬だが…」と言う、一文があるが、ファンタジーゲーマーなら、ご理解いただけるだろうが、この回のワニトカゲは、いわゆるリザードマンや、オハイオ州のの立って歩くカエルの様な、未知の生物の事であり、また文化を持っている。と言うことが恐怖の対象でもある。

別に、地下に巨大ワニが存在する。と言う、安い恐怖でない。超常ホラー読本で、コルチャックの事を知ったので、悪く言いたくはないのだが、内容に虚偽が多い。ビデオが再販される前で、字幕や邦訳のないモノを見て書いたのかもしれないのだが。

炎に浮かぶ呪術の影の話なんか、まったく別物である。

私のよく行くビデオ屋には、8巻までしかなく、旧作1本95円になってから、要望コーナーも削除されたので、入荷される目処はない。DVDにならないだろうか?。別の店でも良いから、入らないかなぁ。



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