1,突発事態に備え、隔壁は開けておく。


部屋の中に、罠があろうとも、部屋の外から敵が侵入しようとも、逃げ道が開いている方が、対処方法は、選択肢が広がるはずだ。一応の保険に、プローブを通路に出しておいて、隔壁は、そのままで作業にはいる。

>Hellow DOROSY、I’M CLARET

>CLARETからメインコンピューターAZALEAへのアクセス不可能
>CLARETは、現在スーパーバイザーモードにあり、生命維持管理機能はAZALEAへ移管


「先手を打たれているわね。なんとかキーコードだけでも…」

>SORRY DOROSY
隔壁が突然閉まる。手持ちのどのキーも受け付けられない。

「CLARETをいじると、隔壁操作がされるようになっていたのね。しかも、ご丁寧に、キーコードが変更されてる。」
「と言う事は…」
「ええ、ここに閉じこめられた」

>酸素残量と成人二名の酸素使用量から計算して、室内酸素での呼吸可能時間三時間です。

「ドロシィのコクピットの酸素や、緊急用の酸素パック使っても、二時間ってところか…残り計5時間…それまでに、誰かがコンピュータールームを占拠してくれる事を祈るしかないな。」

アイリーンが、ドロシィの足元に腰掛け、俺にも座るように促す。
「ねぇ、あなたの生まれたところって、どんなところ?」
唐突で、拍子抜けするような質問に、目玉が飛び出しそうになる。

「ぷっ…そんな顔しないでよ。隔壁を破壊するだけの火力も資材もない。だったら、ここにいるしかないじゃない?。ただ座っているだけなのも詰まらないでしょ?」

いざとなったら、女の方が胆力がある。と言う話しは良く聞くが、こんなところで痛感させられるとは思っても見なかった。
「あなたの事、知っておきたいの」

アイリーンの瞳の中のある絶望を見つけ、自らの失態を痛感する。その痛みを誤魔化すために、ひたすら喋ることに決めた。



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