3、アイリーンを撃つ


指が硬いグリップに振れた途端。胸が熱くなる。焼けた鉄棒を差し込まれているような、痛みを通り越した熱さ。

「バ…バカな…速すぎる…人間業じゃ…な…い…」
ジーンは拳銃から立ち上る紫煙を払おうともせず、射撃姿勢のままじっとしている。

「そうさ…俺たちは、人間じゃない。人間ですらないのさ…」

むせかえる俺の息は、鉄の匂いと味がする。室温が氷点下になったような寒さ。反比例するように、胸から熱いものがこみ上げてくる。

「血って…こんなに熱いものなのか…」
だが、冷たいタイルは、熱を急速に吸い込み、アイリーンの冷たい視線が、俺の命を氷漬けにする。哀れみと悔恨、侮蔑と同情、思慕と憎悪、様々なものが入り交じった、悲しげな冷たい視線に見送られ、黒く粘つく、冷たい悪魔の唾液の海で、俺の意識は沈んでいく。


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