1,持っている


「やめて、ジーンっ」
アイリーンは既にM6901の銃口をジーンに向けている。重い拳銃にふらつく様子もなく、教本に載せたいようなな綺麗な射撃姿勢。

「お前は、なぜ戻ってきた?。お前に、その覚悟があるのか?。」
ジーンは構わず、ゆっくりと銃を抜き、構える。ジーンもまた、絵に描いたような美しい姿勢で狙いを付ける。銃口は、俺だ。

「覚悟があるなら、答えろ、………」
アイリーンの名を呼ぼうとしたであろうジーンは、そのまま崩れ落ちた。

「私は…私は…」
「アイリーン…」
「いやっ、来ないで。来ないでっ」
「アイリーン…大丈夫だから…もう、大丈夫だから」

「やめてっ。私は本当のアイリーンじゃないのよっ」
崩れ落ちるアイリーンに、なぜか近寄る事が出来なかった。
「バイオドール…なのか?」
「そうよっ、私はバイオドール。コードネームはイリス」
吐き捨てるように、叫びは、やがて、啜りに泣きに変わった。

「あなたのせいじゃないわ。ごめんなさい、全ては、あなた達を生み出した私たちの責任よ…」
ハニーブロンドの長髪の女性の、涼やかな怒声。アイリーンは疑うことなく、その女性の胸に顔を沈める。
「あなたは自ら名乗った。アイリーンで居続ける事も出来たのに、あなたは名乗ったのよ。自分の道を決めたのなら、自信を持って生きなさい」

力強くも優しい声。所長室で、モニター越しに出会った所員。Gセクションチーフのジェーン・ラディウスその人だ。

1,女性の身元を確認する



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