2,泣きやむのをひたすら待つ


うつむいたままのアイリーン・ケストナーに、かける言葉すら思い浮かばない。俺に詩人の才能はないようだ。ただひたすら待つしかない。重く冷たい時間が、死にかけたゴキブリように、もがいている。耐えられない。ならば、俺も人であることを止めよう。軍人であり続けるのみ。そうするしか、意識を保てそうにない。

「ケストナー博士は、どこにいるか分かりますか?」
「殺されたわ・・・」
アイリーンは、驚くほど、簡潔に言い切ったが、その背中をみれば、どれだけの悲しみに耐えているか、容易に分かる。

「・・・すまない・・・」
「どうして貴方が謝るの?」
皮肉げなアイリーンの問いに、返す言葉は容易には出てこなかった。
「それは」・・・もっと上手くやっていれば、バイオドールは・・・

「やめて、ヒューじゃないわ」
毅然とした視線で、中空を睨む。カタキの顔を思い浮かべているのだろうか。
「父さんを殺したのは、ここでは見たことのない型だったわ・・・」

バイオドール以外の敵がいるのか、アイリーンが嘘をついているのか、それとも、俺たちの仲間に裏切り者がいるのか。それよりも、今はこのアイリーン・ケストナーをどうするかが問題だ。

1,アイリーンをドロシィに乗せる。
2,一番近いエレベーターに向かわせる。



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