2、負けたら


しまったッ。

強靱な前足で押さえ込み、毒液を流し込むクモ。戦闘パターンは、それを模して作られたはずだった。がっちりと押さえ込まれたドロシィは、さながら捕獲された蝶。

毒液の代わりに、無骨な作業用トーチを改造したビームトーチが伸びてくる。


「ドロシィのビーコン消えました。メカドール、133部隊ともに全滅です」
「ふん、これが陸軍最強部隊だと、笑わせる。こんなことで宇宙人どもに勝てるのか?」
剃り上げた頭に、特殊なゴーグルをつけた中佐は苦々しげだ。
「それだけ我々のジョーカーが、優秀という事だ」

「待って下さい。終了シグナル確認。作戦は成功です。発信元の機体番号は・・・」
「残存機体は一機だけなのだな?」
「え、あ、はい。」
「ならば報告は無用だ。すぐに報告書を提出し、ゼロの起動を承認させる。ムラサメ研に準備させておけ」

は虫類のような冷血な眼差しの男は、振り返ることなく言い放つ。
「バスク・・・忙しくなるぞ」
「はっ、ジャミトフ閣下」



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