1,先手を取って攻撃する。


>ZMD312 LUNA エネミーリストへ移行
>戦闘システム起動


「ドロシィ、ZMD312LUNAです。ロックオンを解除・・・」

人間大とは言え、固定目標ならば、命中させるのはそれほど難しいことではない。四散したルナに、ショーウィンドーのマネキンを壊してしまったような罪悪感がこみ上げてくる。

エレベーター前のコンテナ、設置型の通信機。コンテナの中身は武器のハズだが、人間サイズのメカドール用で、ドロシィに使える物は無いだろう。

アイリーンを下ろし、エレベーターに乗せるか、それとも、俺ももはや降りるか。

コンテナを光の筋が通り抜けていく。爆発。吸着地雷でも入っていたのか。煙で視界が遮られ、爆圧のため、対ショック姿勢を崩すことが出来ない。だか、この煙だ、レーザー兵器は役に立つまい。増えていくダメージログを眺めがら、自分の愚かしさこみ上げてくる笑いを止められなかった。

誰だって、武器の二、三種類は持ってるよな。

>友軍反応 ZMD321 ERIS捕捉

巡回にでも出ていたのか。メカドール最後の一体エリスの事を忘れていた。ルナの破壊を見ていたのだろう。エリスからの攻撃は躊躇がない。

エリスから見れば、俺がおかしくなったと思っても仕方ない。ルナを問答無用で攻撃したのだから。

ああ、そうか。

カロンは、最初から欠陥が合ったワケじゃないんだ。俺と同じ様な体験をしたのかも知れない。味方と思っていたモノから攻撃されれば、誰だって疑心暗鬼になる。

だとすれば、俺も壊れてしまっていたのか。

コクピットハッチが、開閉機構の金切り声をあげての抵抗も虚しく、強引に開けられる。エリスにも表情はない。マネキンのような整った顔があるだけだ。だが、その目には怒りがある。仲間を殺された怒りが。

今の俺の顔は、マルスのような無機質で虚ろな顔をしているのだろうか?



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