2.マーコスに賛同し、エレベーターに乗る。
たしかに、マーコスの言うとおり、もうやってられない。
>現状でのエレベーターの使用は禁止されている。
>現段階で、エレベーターを使用する事は任務放棄と見なされます。退出せよ
ドロシィからの警告。赤字で点滅するの警告は、俺の顔を赤く染める。進むも、エレベーターで上がるも、その先で血にまみれるのは変わりない。アイリーンは、じっと俺を見つめている。
同じ生き残るための戦いならば、外に出てから、戦った方が救いがあるのではないか?。踊らされたまま、死ぬよりは遥かに良い。自分の意志で死ねるのだから。決心して、エレベーターを持ち上げる。
「ツライ戦いになると思う」
「ええ、そうね」
武器を構え、臨戦態勢のまま待機する。やがて、エレベーターの扉が開き、陽光が差し込む。心地よい刺激、人間には、いや、生物には太陽が必要だ。
突然ドロシィが崩れ落ちる。何事だ?
>両肘、両膝の関節モーターが損壊。
陽光の中に、細い糸が四本、ドロシィの手足の関節に突き刺さっている。ステイザーかっ。考えられた事だ、エレベーター内部は、既にモニターされており、連中は、準備万端、待ちかまえていたのだ。
間接に直接、高圧電流を流し込まれ、間接モーターが焼き切られたMSは、ただの鉄塊だ。自動小銃をもった海兵隊が、わらわらと集まってくる。
「すまない、アイリ…」
言葉の最後は、銃声でかき消された。血の雨が降る。だが、俺に痛みはない。死んでいるから感じないのか?。後部座席に倒れ込む音。俺の絶叫と、コクピットハッチの軋みで表現されたドロシィの嘆きに、海兵隊は、その身体を硬直させられた。
俺は、脱走兵として処理され、軍刑務所に送り込まれた。査問会すら行われずに。もし裁判が行われたとしても、それは出来レースの茶番だ。地下カーディナルで得られたモノは、全て没収された。
アイリーンは、なぜ自ら命を絶ったのか?。その理由を知る術は、もうない。
差し出された目隠しを拒絶すると、死に神との橋渡しをしてくれる、射手を睨み付ける。そこには、忘れられない顔がある。
「ソーン…きさまだけはっ」
だが、その男は、怪訝な顔するだけだ。初対面のあんたに、そこまで恨まれる憶えはないと言った顔だ。とたんに笑いがこみ上げてくる。そこまで、計画は進んでいたのか。俺たちの同僚だったソーンは、いったい何番目のソーンだったのだろうか?
「打ち方、構え」
人はどこから来て、どこへ行くのか。人はいったい、どこを目指しているのか。その考えを、銃声が遮った。
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