成功度2ならば
「困るんだよな、勤務中に軽々しく話しかけられるのは」
たっぷりとした口ひげと、でっぷりとした腹。首の後ろのたるんだ肉が巨大な口のようにも見える警官。ヒゲについたドーナツの欠片を気にすることなく、ミルクをなみなみと入れた、ココアのようなコーヒーで口を洗っている。
「で、なんのようだ。手短にな。勤務中なんでな」
次のドーナツを選びながら臆面もなく言い放つ。選び出したチョコのかかったドーナツをコーヒーに浸してかじりつく。
「そんな大口の話は聞かないが…埠頭の倉庫に、新参者がいるってんで、ガキどもが息巻いてたな。二、三人でデカイ顔しやがって、軽く締めてやるとか、なんとか。殺すなよとは言っておいたが…そういえば、ここのところ静かだと思ったら、あのガキどもを見てないせいか。小うるさい連中だが、あいつらからのカスリもバカにならんからな」
そう言っても立ち上がる気配はない。店中のドーナツを食い尽くすまで動かないのではないだろうか。礼を言って店を出る。折角の服に、安い油の臭いが染み付いてなければいいが。
夜風はまだ生暖かく、くすんだ油の臭いを吹き飛ばしてくれる清涼さは持ち合わせていないようだ。考えをまとめるにも適さない風だが、えり好みをしているヒマもない。
武器の搬入とバレさえなければ、ただのギャングボーイがたむろしているだけと、その筋には見えるのかも知れないな。裏社会と、我々血族の闇社会は、似て非なるモノだ。あり得ない話ではない。
そして風聞さえたたないように始末をつけたのだ。血族以外にはあり得ない。埠頭は公子の版図。あそこにねぐらを構えるなど酔狂な連中は、サバトの奴らだけだ。
2、繁華街での聞き込み
3、導師と接触する
4,公子に密告したノスフェラトゥに会う