公式の意義

ルールはこうさ
ひとつ、スタイルは実像を凌ぐ
ふたつ、態度が全てだ
みっつ、いつでもエッジまで踏み込め
よっつ、ルールなんか破れ


−リパージャック『サイバーパンク2020』


日本人は、と言うと他の民族の現状を知らないので、語弊がありますが、概ね権威に非常に弱い民族です。公式設定、公式ルール、と言うだけで、まるで不可侵の憲法や、神の言葉であるがごとく、一言一句を正しく解釈し、実行せねばならないと言う狂気に駆られているかのようです。近年では『ガンパレードマーチ』で、色々と物議を醸しましたのが、記憶に新しいでしょうか。

私の考える公式設定や公式ルールは、制作者や、製作会社の提示したハウスルールでしかありません。つまり、日本で最も広く、会員の多いサークルが発表したハウスルールと言うことです。そのため、そのルールを採用するかどうかの最終決断は、マスターを担当する人間にかかっています。

追加された公式設定や、公式ルールの権威なんて、その程度の代物です。元々ある公式設定にしても、共通のベース設定でしかなく、初回のプレイに、マスターとプレイヤーが共有する知識でしかありません。そこから、色々構築したり、崩していったりするわけです。また、コンベンションのように毎回が初回と言う事態の為に、公式ルールはあると言っても良い。

いわば、スポンジケーキを与えられて、そのまま喰う人も、デコレートする人も居るわけで、どちらが正しいかなんてのは後は、好みの問題なわけです。ただ初めての人には、クセのない食べ方をして貰うのが、スジと言うものでしょう。

トーキョーN◎VAのイベントリポートか何かで知ったのですが、制作者側は「日本軍によるN◎VA占領は起こらなかったことにしても構わないし、天津を暗殺したって構わない」と言ったそうです。当然です。つーか、そんな質問するヤツがアホや。

したら何か、全国のN◎VAルーラーは、画一的な共通設定の元、制作者に申請してから、シナリオを組み立てねばならんのか?。

ルールブックに書いてあるから、ルールブックに書いてないから、そんなことを言っているから廃れるのだ。ルールブックは、あくまで指導教本であり、絶対の預言書ではない。遵守する必要はない。かといって、破っても良いというわけでもないが。

ですから、私はルールの解釈はしません。無駄ですから。私にとってのルールの解釈は、受け入れるか、拒否するかだけです。

PCの行為を出来るか、出来ないかを決めるのは、ルールブックではありません。マスター(ルーラーやキーパーでも可)なのですから。ただし、同じ行為をしても、毎回判定が違うのでは、ゲームになりません。一定の指標として、ルールが存在するのでは無いでしょうか。

多くのテーブルトーク系のサイトは、ルールの解釈に力を割いています。少し巡った所では、N◎VAの神業で出来ること、出来ないことを論題にしていたり、解説していたりしました。有効的なスキルの組み合わせだとか、面白いスキルの組み合わせだとかも、やっていましたが、それは楽しそうでした(笑)。

ルールブックの解釈に、専念しているところもありまして、ヘカテは記憶を失った音羽南海子では。とかね。それは、それで個人の楽しみ方で、否定する気はありません。が、そんな人が沢山居るとすれば、そらTRPGは廃れていきますわな。シナリオソースとして、公開したりだとか、シナリオを制作すればいいのですが、解析の方にご執心のようで。

それを制作者側に質問しようとしたりするのはどうかと思います。どう答えようとも、シナリオの幅を狭めてしまうし、現在、どこかで運営しているルーラーのシナリオを否定することにつながります。FEAR側は、事前に釘を刺して、質問させなかったようですが、その方法が唯一の正解でしょう。



ちなみに『ガンパレ』騒動の発端や顛末を私は知りません。つーか、争乱になった事が理解できません。世界を解釈するする必要なんて。まったく無いし、解釈したところで、無意味ですし。そのため、メーカーが明かす公式設定とか、裏設定に興味はありませんでしたから。どうでも良いんですよ、青が何で、第七世界がどうだとか。初プレイの時に、ゲームを始めるときのシステム画面の「Overs system」とかカナ入力モードになっている辺りで、だいたい察しはついてましたし。

速水でクリアしたのちの、追加キャラ選択モードでも、演じられる役割が多種あり、おかしいなと思っていたのですが、22人モードの存在を知り、どうにも開発が間に合わず、未完で発売したと認識しました。つまり、22人全員でクリアーして初めて、カビの生えた言い方をすると、運命の糸が描き出す、タペストリが完成し、初めて全体が認識できるのでは無いかと。

小説や、映画、コミック、テーブルトークのルールも、ゲームも、すべての物語を基として構築されるモノは、発売された時から、スタッフや制作者のモノではなく、ユーザーのモノなのです。ユーザーの感じたことのみが正解であり、それを否定することはメーカーでも、原作者でも許されません。ただひたすら、制作者は、伝えたかったことを、伝えられなかったという事実に直面し、力量不足を嘆くことだけが許されるのです。

そもそも、発売当時に、それら裏設定を上手く組み込めず、のちに書籍やネットなどでフォローしようなんて、表現者として失格です。故にアルファシステム(つーか、芝村さん)は、未完の大器ばかりを発売する会社。と言う印象になってますね、私の中では。てゆーか、恥ずかしげも無く、自分をキャラクターにして、ゲームに登場させる様な人間は、ろくな表現者じゃない。

同人の内輪ネタじゃないんだからさ、もっとプロ意識持ってやろうよ。お遊びで、オマケ的にやるなら良いと思うけど。ペルソナシリーズ(アトラス)のサトミタダシのように。岡田さんが関与していた、ペルソナ1はまだマシだったが、ペルソナ2罪に至っては、サトミタダシ単独になってしまい、駄ゲー以下のクソに。そのせいか、フォローのペルソナ2罰が、岡田耕治さん主導で発売されましたな。

ガンパレも、改めてプレイしたのですが、シナリオは大したことネェな。しかも、龍の倒し方なんて、数世代前のシナリオだし。基本を押さえた、なんて良い言い方は出来ない、マンネリシナリオだべな。軍隊設定もハインラインの『宇宙の戦士』モロばくりだし。ウーンデットライオン(傷ついた獅子章なんてそのままだよ)。そもそも、私はSLGパートと『宇宙の戦士』並の現実と虚構すれすれの軍隊ごっこが楽しくてハマった口ですから。

サトミタダシも消えたし、芝村も老い先短いかな。でも、芝村(呼び捨て)より、腰が低い分サトミタダシ(呼び捨て)の方がマシかなぁ。と、考えるこの頃です。


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