2,首屋に向かう


衛兵の言うタワー。つまりは、研究施設の前に、首屋。正確には、報奨換金所があった。アサクサの小店舗のような、小さな店構え。政府の出張機関の割りには、こじんまりとしすぎている気がする。

店の中は、大小様々に瓶詰めされた動物の首が、所狭しと並び立てられている。よく見れば、首の角度がおかしいモノばかりだ、まるで二足歩行の身体に付いていたように、首が真下に伸びている。

「どうだい、なかなかのコレクションだろう?」

カウンターを兼ねているガラスケースに突っ伏すように身を預けている初老の男が、首だけを持ち上げてこちらを見ている。

「昔はな、名前の通り、首を直接ここに持ち込んだのさ。ポッドに入れて、ある程度溜まったら、分析機関に送ってた訳さ。これなんか、傑作だろう」

黒山羊の頭部のように見えるが、やはり首が真下に伸びている。バフォメットと言う悪魔のイメージが頭の中で喚起される。

「だがな、頭の良い奴はいるもんでな。タワーに入ってバケモノと戦うより、タワーから出てきた同業者を襲った方が安全で確実ってことに気が付いてなぁ。それじゃ、数が減らん。と言うので、このFRD。ファイティングレコーダーデバイスってのが作られたのさ。あんたも、コレを受け取りに来たんだろう?」

気だるげに見えたのは、演義か。なかなかに鋭い。

「あんたが、ヤヌスを入れていれば、話は早い。簡単な作業で、FRDを入れるだけで済む。ヤヌスの埋め込みも、格安でやってるから、これを機にってんなら、チャンスだぜ。どうしても、ウェットっていうんなら、外装式のFRDもある。ただ、横取りされないように、皮膚と癒着させるがね。」

1。FRDを受け取る。

2、ひとまず遠慮する。