ある程度の年齢に達したガンダム者は、こぞってジオンの方が好きです。ドイツっぽいから。と言う理由の人もあるでしょうが、殆どの人は、ジオンの理想に心ひかれているはずです。
そこで、単純にありがちなファンタジー小説の設定に置き換えてみましょう。
地球連邦は、帝国です。強大な軍事力で、周辺諸国(コロニー)を支配し、重税を課し、属国の人間を格下に見ている所までそっくりです。
そこに、小国ながら反旗を翻す属国の王が現れました。ジオン・ズム・ダイクンです。彼は、負け犬根性、隷属の意識を植え付けられていた人たちを、ニュータイプと言う言葉で解き放ち、予言者のごとく、ニュータイプという英雄の登場を待ったのです。
しかしその登場を見ることなく、奸臣によって暗殺され、王子と王女は辛くも逃げ延びます。
ココまで来ると、シャアが主人公ですねー。まず、自分の国を取り返し、そして帝国を打破する。この設定だったら、そこいらのヒロイックアニメと大差なかったでしょう。
でも、帝国の力にあがらえず、自分の国すら奪い返せない、ダメ王子は、永遠の反逆者としての宿命を背負うのです。
義は常にジオンにあるからこそ、皆ジオンに心ひかれるのではないでしょうか。シャアを主人公にせず、あえて、帝国側に主人公を持ってきたところに、トミノ監督のセンスを感じますね。Zガンダムの時代で、飼い慣らされたアムロを描くことで、そのことはさらにはっきりします。
志無き英雄の末路。作られた英雄の末路は、惨めなものです。逆襲のシャアでは、志を見いだしたアムロと、幻想に固執し、志を失ったシャアの立場が逆転してます。
それでも、地球連邦が必要な理由は、松浦まさふみ氏のムーンクライシスで描かれています。ジオンの独立を認めれば、他のコロニーも続く。そうなれば、小国乱立となり、旧世紀のような地域紛争が、宇宙でも、起こる。そうなれば、地球でも、分離独立が始まるかも知れない。
ソ連が、連邦からの離脱を極端に恐れたのと同じ、規模はそれ以上ですから、危機感もひとしおでしょう。連邦政府は必要なんです。と言う視点で、作りたいなぁ…素案はあるんだけどなぁ…
余談ですが、ガンダムRPGのサプリメント「一年戦争史」でキスリングが「兵士に戦う理由はいらない」と恥ずかしげも無く言っているのですが…なぜ、兵士にしかも士官になったのか、キスリング中尉に聞きたいですね。
せめて「それでも、ボクは連邦の士官だぁ〜」ぐらいは、言って欲しいなぁ。「軍人だから」とかさ。意味は同じだろうけど、理由はない。と言うのでは、誇りとか認識の違いがあると思うのだけど。理由がいらないのではなく、命令の意味を考える必要がない。のでは無かろうかと思うのですけど。